小松未可子|「ボールルームへようこそ」の世界を鮮やかに彩る、Q-MHzとの意欲作

小松未可子が11月8日にニューシングル「Swing heart direction」をリリースする。

タイトル曲は現在放送中のテレビアニメ「ボールルームへようこそ」2クール目のエンディングテーマで、小松が同アニメのエンディングテーマを担当するのは2クール連続となる。シングルの発売を記念した今回のインタビューでは、「ボールルームへようこそ」の世界に寄り添った歌詞が印象的な「Swing heart direction」や個性的なカップリング曲、さらに彼女とタッグを組んで約1年が経過したQ-MHzとの関係性などについて語ってもらった。

取材・文 / 須藤輝 撮影 / 石原敦志

「ボールルーム」を背負いつつ、普遍的に響く歌詞

──ニューシングルの表題曲「Swing heart direction」は、競技ダンスをテーマにしたアニメ「ボールルームへようこそ」第2クールのエンディングテーマです。小松さんは2クール連続で同アニメのエンディングテーマを歌われることになりました。

はい。ありがたいことに。

──8月にリリースされた第1クールのエンディングテーマ「Maybe the next waltz」は曲名の通りミディアムテンポのワルツでした。なので、今回も競技ダンスの種目に絡めた楽曲になるのかなと思いきや、アップテンポのピアノロック。

小松未可子

前回は、主人公の(富士田)多々良が初めて覚えるステップがワルツだったことから、アニメの監督から「エンディングはワルツで」という具体的なオーダーがあったんです。だから「ボールルームへようこそ」という作品そのものの世界観が楽曲のテーマになっていたのですが、今回は特に監督からのリクエストはなかったんです。そこで、2クール目からはストーリー上でも(緋山)千夏という、多々良の新しいパートナーになるキャラクターが登場し、また新たな一歩が紡がれていくので、エンディングテーマの曲調もガラッと変えてみました。

──そこでピアノをフィーチャーしたのはなぜ?

今年5月にリリースしたアルバム「Blooming Maps」の制作中に、Q-MHzの皆さんと「ピアノを使った楽曲をもう少し歌ってみたいです」という話をしていたんです。「Swing heart direction」はポップなイメージの曲になることは決まっていたので、そこから「じゃあ、ピアノロックというのはどうだろうか」とQ-MHzの皆さんにご提案いただきました。

──小松さんの意向が反映された楽曲でもあるんですね。

はい。もちろん、「ボールルームへようこそ」という作品が最初にあってでしたが、私の希望も取り入れていただけた曲です。

──作詞はQ-MHz名義ですが、おっしゃる通り「Swing heart direction」という曲名からしてうまいですよね。つまり“Swing”は振り子のように揺れて定まらない気持ちを表しつつ、同時に競技ダンスのムーブメントとしてのスイングにもかかっている。

そうなんです。歌詞にしても、作品のテーマをしっかり背負ったものにしてくださいました。

──冒頭から「触れあったり離れたりの ふたりだけど」と、多々良と千夏の関係を表すような歌詞になっています。

これからの2人の行く末を予期させるようでもありますし、仮に「ボールルームへようこそ」の世界から離れて見ても“ふたり”の関係性にスポットを当てているので、例えば恋愛的にも通じるような要素も見出せたりします。普遍的と言いますか、聴く人の視点によって歌詞から想起できるイメージが変わってくるのも面白いなと思います。

Q-MHzが設けたハードルを乗り越えて

──この曲のボーカルは、単純にキーが高いというのもあるのかもしれませんが、声がよく跳ねていると言うか。例えばトランペッターがハイノートをばんばんヒットさせているような華やかさと爽快感があります。

ありがとうございます。

──レコーディングはいかがでした?

小松未可子

Q-MHzさんの作る楽曲は、難しいです(笑)。もちろんキーの高さもそうで、この楽曲が一番映えるキーと、自分が歌えるギリギリのキーとの間でけっこうせめぎ合いがありました。ですが、それも自分に設けられたハードルだと思ってがんばりました。だからレコーディングは、わりと試行錯誤しながらのチャレンジだったように感じます。

──前作にあたる「Maybe the next waltz」もあからさまに難しい曲でしたもんね。

そうですね(笑)。確かに難曲が続いているなあと思います。私も、ライブで歌うときはいつも「ああ、今日もちゃんと歌えるだろうか……」という緊張感を持ってるんです。そうやってハードルを乗り越えていくという点では、「ボールルームへようこそ」になぞらえるならば、特別なバリエーションにチャレンジしたり、ダンスの大会に臨む多々良たちの気持ちとリンクする部分もあるのかもしれません。

──そして、「Swing heart direction」のピアノ演奏は末光篤(SUEMITSU & THE SUEMITH)さんです。

はい。制作の段階で、Q-MHzの皆さんから「今作のピアノは、末光さんに弾いてもらえたらいいよね」というお話が出たんです。

──それが実現したと。

はい。本当に素晴らしい演奏をしてくださって。個人的には、末光さんのピアノがこの楽曲のカラーを決定付けてくれたように思います。だから私も、そのカラーをどう守っていけるか、どう寄り添っていけばそのカラーが際立つだろうか、と考えながら歌いました。

小松未可子「Swing heart direction」
2017年11月8日発売 / TOY'S FACTORY
小松未可子「Swing heart direction」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1944円 / TFCC-89637

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小松未可子「Swing heart direction」通常盤

通常盤 [CD]
1296円 / TFCC-89638

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CD収録曲
  1. Swing heart direction
  2. Pina colada & Caipirinha
  3. Piece of Peace
  4. Swing heart direction -Instrumental-
  5. Pina colada & Caipirinha -Instrumetal-
  6. Piece of Peace -Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
  • "Swing heart direction" Music Video
  • "Swing heart direction" Music Video Offshoot + Interview
小松未可子(コマツミカコ)
小松未可子
1988年11月11日、三重県生まれの声優、歌手。2010年にアニメ「HEROMAN」の主人公ジョセフ・カーター・ジョーンズ役で声優としてのキャリアをスタート。2012年1月より放送のアニメ「モーレツ宇宙海賊」では主人公・加藤茉莉香の声を務め、4月には同アニメのイメージソング「Black Holy」で個人名義による歌手デビューを果たす。2012年、2013年には埼玉・さいたまスーパーアリーナでの「Animelo Summer Live」に、2014年1月には東京・日本武道館での「リスアニ! LIVE 4 SUNDAY STAGE」に出演するなど、大規模フェスにも数多く招聘される。2016年9月よりTOY'S FACTORYに所属し、同月Q-MHzプロデュースによるシングル「Imagine day, Imagine life!」を発表。2017年5月には引き続きQ-MHzの全面プロデュースで通算3枚目のオリジナルアルバム「Blooming Maps」をリリースした。8月にはテレビアニメ「ボールルームへようこそ」エンディングテーマの「Maybe the next waltz」をシングルリリース。11月には同アニメの2クール目エンディングテーマとなったニューシングル「Swing heart direction」を発表する。