音楽ナタリー PowerPush - 小松未可子×ナカムラヒロシ×サイトウ "JxJx" ジュン
みかこしから広がる“大丈夫”の輪
小松未可子がニューシングル「Latimer road」をリリースした。表題曲「Latimer road」は、これまでも「終わらないメロディーを歌いだしました。」など多くの楽曲のプロデュースを手がけてきたi-depのナカムラヒロシが作詞と作曲を担当。またカップリングの「MAGIC RADIO」はYOUR SONG IS GOODのサイトウ "JxJx" ジュンが、小松が出演するラジオ番組「リッスン? ~Live 4 Life~」の11月度エンディングテーマとして書き下ろしている。
今回ナタリーでは、小松とナカムラ、サイトウの3人による鼎談を企画。楽曲制作の裏話や、ベテランアーティストである2人から見たシンガー・小松未可子の魅力などをたっぷりと語ってもらった。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 笹森健一
最初に言ったのは「ビブラートをやめよう」
──この3人がこうやって集まっているのは、すごく珍しい光景だと思うのですが……。
小松未可子 不思議な集まりですよね。すごい人たちに挟まれています。
ナカムラヒロシ よくわからない3人だよね。
サイトウ "JxJx" ジュン そうですね。
──小松さんとナカムラさんは、2人とも三重県桑名市出身だそうですね。
ナカムラ そうなんですよ。三重県出身はボチボチいるけど、同じ市なのは珍しいですね。同郷の子をプロデュースさせてもらえるなんてないから、これは運命や!みたいに思ったんですよ。
──第一印象はどうでした?
ナカムラ まず地元が一緒っていうのは大きな追い風だったんです。やっぱり気持ちは上がるじゃないですか。そこから冷静に彼女の歌に触れて、最初に言ったのは「ビブラートをやめよう」ってことで。
小松 はい。
ナカムラ もう普通に歌っても全然いいんですよ。「コブシ禁止」とか「ファルセットやってみよう」とか、本人にとってやりにくいことをさせたかもしれないですね。でも1言ったら5返ってくるみたいな感じで、彼女はものにするのが早いんですよ。だからレコーディングはすぐ終わります。
小松 それでも長引いているほうかなと思ったんです。歌い方についてのディスカッションをすることとかがそれまではなかったので。
ナカムラ 「コレどう思う?」って聞きまくるもんね(笑)。だから“みかこしと作ってる”って感じがすごくある。仕切ってもらって導かれるように歌うシンガーと、一緒に探そうっていうシンガーがいると思うんですよ。彼女の場合は一緒に探していくタイプだから。
仮歌に自信が持てなかった
──小松さんから見て、サイトウさんのプロデュースはどうでしたか?
小松 初対面は歌入れの日で、こんなに自由にやっていいものなのか!と思いました。それとレコーディングのとき、歌入れのスタジオのブースとコントロールルームがけっこう離れていたんですよ。でも何かあるたびにサイトウさんはこっちのブースに来てくださって。そのコミュニケーションがあったので、すごくやりやすかったです。
サイトウ いちいちブースに行く派なんです(笑)。トークバックよりそっちがいいかなって。
小松 ナカムラさんの場合は、最初から同じ部屋にいるんですけどね(笑)。
ナカムラ ヘッドフォンかけてこうやって座ってんのがいいかなって。あの黙ってないといけない緊張感とかも悪くないし。
サイトウ それ、すごくいいですね。
ナカムラ コミュニケーションをとるにはガラス1枚も邪魔になるときがあるからね。だからブースに行くのって偉いと思う。
小松 重たいドアを6回くらい開け閉めしていただいて(笑)。
──サイトウさんは小松さんと一緒に仕事をしてみてどうでしたか?
サイトウ 実は僕、ソロの女性ボーカルの曲を書くのって初めてで。
小松 そうなんですか!
サイトウ まず自分の話で恐縮ですが、仮歌を作るのがすごく難しかったです。キーがやっぱり高いじゃないですか。僕の声が裏声になって気持ち悪い仮歌ができて(笑)、これ自分のイメージがちゃんと伝わるのか大丈夫かなって思ってたんですよ。当日も歌入れ直前まで「出ますか?」「大丈夫ですか?」みたいなのをいろいろと聞いていましたよね(笑)。
小松 すごく心配してくださって。
サイトウ ただ最初にこの曲のメロディを小松さんの声で歌われたときに、きた! これだ!って感じで、いきなりイメージ通りだったんで、感動しましたね。曲が一気に鮮やかになったというか。自分の心配はなんだったんだみたいな。単に自分の仮歌に自信がなかっただけだったのかっていう(笑)。本当、小松さんの歌を聴いて救われた感じになりました。
小松 私は仮歌のときにイメージを膨らましちゃうところがあるので。こういう意図があるのかなとか考えてしまって少し心配だったんです。でも「自由にやってください」ってサイトウさんに言ってもらえて私も救われて。それでもっと楽しんでやろうって思いました。
サイトウ そうなんですね、最初はいろいろと探り合っていたんですね(笑)。で、CDでは聴いてましたけど、やっぱり実際に生で歌ってもらって思ったんですが、とにかく歌が上手な人なんだっていうのが第一印象。実際にいろいろなテクニックを散りばめてもらったり。最終的に言ってしまってましたからね、「歌、上手ですね」って。これプロに向けて言うことかなって思いながらも(笑)。
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- ニューシングル「Latimer road」2014年11月5日発売 / スターチャイルド
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / KICM-91548
- 通常盤 [CD] 1296円 / KICM-1549
初回限定盤 CD収録曲
- Latimer road
[作詞・作曲・編曲:ナカムラヒロシ(i-dep)] - MAGIC RADIO
[作詞・作曲・編曲:サイトウ“JxJx”ジュン(YOUR SONG IS GOOD)] - Latimer road(off vocal ver.)
- MAGIC RADIO(off vocal ver.)
初回限定盤 DVD収録内容
- 「Latimer road」MV
通常盤 CD収録曲
- Latimer road
- フリルとタイト
[作詞・作曲:小松未可子 / 編曲:朝本浩文] - Latimer road(off vocal ver.)
- フリルとタイト(off vocal ver.)
小松未可子(コマツミカコ)
1988年11月11日、三重県生まれの声優、歌手。2010年にアニメ「HEROMAN」の主人公ジョセフ・カーター・ジョーンズ役で声優としてのキャリアをスタート。2012年1月より放送のアニメ「モーレツ宇宙海賊」では主人公・加藤茉莉香の声を務め、4月には同アニメのイメージソング「Black Holy」で個人名義による歌手デビューを果たす。7月にはミニアルバム「cosmic EXPO」、11月7日に2ndシングル「冷たい部屋、一人 / 夏至の果実」を、2013年2月13日には1stフルアルバム「THEE Futures」をリリース。同7月には3rdシングル「終わらないメロディーを歌いだしました。」を、12月には4thシングル「虹の約束」を発表する。またその一方で2012年、2013年には埼玉・さいたまスーパーアリーナでの「Animelo Summer Live」に、2014年1月には東京・日本武道館での「リスアニ! LIVE 4 SUNDAY STAGE」に出演するなど、大規模フェスにも数多く招聘される。そして同年11月、ナカムラヒロシ(i-dep)とサイトウ“JxJx”ジュン(YOUR SONG IS GOOD)を制作陣に迎えたシングル「Latimer road」をリリースした。