koma'nが新作ミニアルバム「セヴンティーン・オクロック」をリリースした。
ニコニコ動画出身の4人からなるボーカルグループ・ROOT FIVEの活動と並行して、ソロアーティストとしても精力的にリリースやライブを重ね、大きな人気を獲得しているkoma'n。自身にとって2枚目のミニアルバムとなる今作では、作詞家・zoppやマンガ家・幸田もも子、写真家・青山裕企らとのコラボが実現した。彼が持つ多彩な音楽性はそのままに、今までにない新たな表情が詰め込まれた意欲作に仕上げられている。
音楽ナタリー初登場となる今回は、彼のルーツや音楽性に迫るソロインタビューを実施。また特集後半には今作に作詞で携わったzoppとの対談も掲載している。こちらでは本作の制作エピソードをざっくばらんに語り合ってもらった。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 上山陽介
koma'nインタビュー
グループとソロは真逆の活動
──koma'nさんは現在、ROOT FIVEとソロの活動を並行して行っていますね。
そうですね。ROOT FIVEはアーティスト寄りのアイドルみたいな感じで、歌はもちろん踊りもあるんですよ。なので、それはある意味“表向きの自分”というか。で、ソロとしては、わりとクリエイター気質なところがあるので、こだわって音楽的な部分を詰めていくタイプなんです。ソロでもライブとかでは表に立ちますけど、裏方的な部分が強く出ていると思います。
──活動スタイルは対極にあるのかもしれないですね。
真逆だと思います。ライブに関しても、グループではお客さんをわーっと煽ったりしますけど、ソロではまったりとピアノを弾きながら歌うシンガーソングライター的な見せ方なので。だから最初は気持ちの切り替えがけっこう大変だったんですよ。「どれが本当の自分なんだ?」みたいな(笑)。でも今はそういう活動にも慣れてきたので、両方共純粋に楽しめています。
──ただ、最近はROOT FIVEの音楽面に関してもがっつり関わられていますよね。
はい。4枚目のシングル以降は、ROOT FIVEでも曲を書かせていただいたり、それぞれのメンバーのボーカルディレクションをやらせてもらったりもしているので、ソロとしての自分と重なるところも増えてきた気はしてますね。ソロではできない曲をROOT FIVEではできるし、その逆もあるので、今まで以上にいろんな音楽を作ることができる環境はすごく楽しいなって思います。
──もう1つ、koma'nさんには作家としての顔もあって。これまでにHey! Say! JUMPやRev.from DVLなどへ楽曲提供をされています。
もともとアイドルが好きなので、そのグループのメンバーごとの声のレンジとか、どういうパートが得意なのかを研究するのが好きなんですよ。なので作家として関わらせていただく場合は、そういう部分をしっかり考えた曲を提供させてもらうようにしています。ROOT FIVEの曲に関しては「もっとも親しいグループに楽曲提供をさせてもらってる」ってイメージなんですよね。自分もそこに属してるわけですけど(笑)。
嫌いなジャンルはない
──今回リリースされるミニアルバム「セヴンティーン・オクロック」はkoma'nさんの幅広い音楽性が顕著に表れている作品だと感じました。
1stミニアルバム「Pastel Penguin」はもっとめちゃくちゃでしたけどね(笑)。ビッグバンドからファンク、昭和歌謡まで、作家としてスキルアップするために勉強の意味を兼ねていろんなことをやらせていただいて。それと比べると今回の作品は、自分としてはちょっと落ち着いた印象もあるんですけど。まあでもわりと振り切った内容にはなってるかな(笑)。
──そういった音楽性はどう育まれたものなんですか?
クラシックを聴いて育ち、小さい頃からピアノをやっていたことがあったのと、家族旅行のときにカーステレオから流れていた広瀬香美さんとか、父親が好きなさだまさしさんとか、ちょっと昔の曲を聴く機会もけっこうあったんです。そこで歌謡メロみたいな部分が体に染み付いたんだと思いますね。今でも自分の曲にそういう要素を散りばめることは多いんで。
──確かにちょっと懐かしさを感じさせるエッセンスがkoma'nさんの曲には多いかもしれないです。
あと音楽ジャンル的な部分に関しては、楽曲提供させていただく機会が増えたこともあったので自分なりに勉強するようになったんですよ。演歌やファンク、スカなど、1つのジャンルを決めて、それをテーマにしたデモを作るっていうことを2年くらい前に徹底的にやっていて。似たような曲ばかりやっていると自分自身が憂鬱になってきちゃいますからね。僕自身、音楽で嫌いなジャンルはないので、ジャンルごとに振り切った曲を作るのはすごく楽しいんです。
──で、そういったバラエティに富んだサウンドの上で鳴るボーカルもまた多彩な表情を持っていますよね。そのあたりは楽曲ごとに自然と変化していく感じですか?
そうですね。僕はニコニコ動画出身の歌い手なので、もともといろんな曲を歌う機会が多かったんです。ROOT FIVEとして活動するようになってからもいろんな声色を使うことが多いので、自然と幅が出せるようになったのかもしれないですね。でも自分ではそこまで特徴のある声だとは思っていないので、もうちょっと年齢を重ねて、酒ヤケしてきたりするともっとよくなるんじゃないかなとは思ってるんですけど(笑)。
次のページ » 気持ち悪くならない程度にぶりっこ
- ミニアルバム「セヴンティーン・オクロック」 2016年11月23日発売 / よしもとアール・アンド・シー
- 初回限定盤A [CD+DVD] 2500円 / YRCN-95266
- 初回限定盤B [CD+ブックレット] 2300円 / YRCN-95267
- 通常盤 [CD] 2000円 / YRCN-95268
CD収録曲
- 潮騒エレジー
[作詞:zopp / 作曲・編曲:koma'n] - Fighteen!
[作詞・作曲・編曲:koma'n] - サクラノ下
[作詞:zopp / 作曲・編曲:koma'n] - つまさき少女
[作詞:幸田もも子 / 作曲・編曲:koma'n] - ヒトクリ
[作詞:zopp / 作曲・編曲:koma'n] - Giving You Another Name
[作曲:村山遼・田中 / 編曲:Pastel Penguin] - calc. -fazioli ver.-
[作詞・作曲:ジミーサムP / 編曲:Pastel Penguin]
初回限定盤A DVD収録内容
- ヒトクリ MUSIC VIDEO
- レコーディング風景
- メイキング
koma'n(コマン)
男性シンガーソングライター。2008年頃からニコニコ動画に“歌ってみた”動画や弾き語りの動画などを投稿し、人気を博す。2011年に同じくニコニコ動画で活動する蛇足、ぽこた、みーちゃん、けったろとユニットを結成。√5(現:ROOT FIVE)として活動をスタートさせる。2014年4月に自身のレーベル・Pastel Penguinを設立し、ソロ名義のミニアルバム「Pastel Penguin」をリリース。このほかHey! Say! JUMPやRev.from DVLへ楽曲提供を行うなど作家としても活動している。2016年11月、新作ミニアルバム「セヴンティーン・オクロック」を発表した。