ナタリー PowerPush - チュール
環境の変化がもたらした成長の証 1stアルバム「ココロノウタ」
レコーディングは理科の実験みたいだった
──それもアレンジャーさんの影響ですか?
酒井 だと思います。これってこんな音が出るんだ! とか、いろいろ発見ができたんですよ。例えば、録るときにマイクを置く位置を変えることで、ミックスのときに音に奥行きが出るんだ! とか。あと「願い」っていう曲も、ピアノの弦の上にフェルトみたいな布を置いてミュートっぽく弾いたりとか……。
──なんか、やり方がアナログですよね。理科の実験みたい?
酒井 そうそう! まるで実験してるみたいでした(笑)。
重松 僕も今回、ギタープレイに関してすごく勉強になりました。雑なのが決して悪いわけじゃないというか、それも味になり得るって思ったんですよね。僕が弾いた「苺日和」のピアノはすごくズレたり、ぶっちゃけ下手だったんですけど……でもそれが皆と合わさったときはいい味になったりするんだなって。自分で言うのも変なんですけどね(笑)。
酒井 いやでも、あのバラツキ感っていうか、よっこいしょ、よっこいしょって感じは謙太にしか出せないよね。
重松 (苦笑)。それから、ブライアン・メイ(QUEENのギタリスト)みたいにコインでギターを弾いたりもしたんですよ。そしたら、ちょっとザクザクした温かみのある音が出て、それも面白いなって。本当に理科の授業みたいでした(笑)。
──得たモノはかなり大きそうですね。
酒井 はい。しかもその音の探り方も、現場にいるみんなで一緒にやっていく感じが良くて。
重松 僕は音に対して細かいところまで興味が持てるようになりましたね。こうしたら、どういう効果が生まれるのか?とか。勉強になりました。
かかわってくれた人の数だけ大事なモノになっていく
──今のお話を伺ってから、また改めてCDを聴いてみると面白そうですね。
酒井 あはは。ぜひ!(笑) 今作は、確かにチュールのCDなんですが、かかわってくれた人みんなが自分の作品のように、「ココをこうしたい!」っていう意見を持ってて。それがうれしかったし、自分たちの音楽にそんなに思い入れを持ってくれるって、すごいことだなぁって。
──だんだん、チュールが自分たちだけのものじゃなくなって来てる気も?
酒井 しましたね。デビュー曲「見てみてよ」と2ndシングル「思想電車」のときは全部自分たちでアレンジまでして、それがチュール100%だし、一番嘘のないものだって思ってたんです。でも3rdシングル「やさしさを考えてみる」からプロデューサーの島田昌典さんに入ってもらって。他の方の感情やアイディアを取り入れたことで、私たちも変わったんですよね。
──というと?
酒井 その人のことをより知れるし、一緒に作ったっていうことで、よりいっそう作品が愛おしいモノになるというか。かかわってくれた人の数だけ大事なものになっていくって感じたんですよ。
──そう思えたことは、今後の音楽活動に良い影響を与えそうですか?
酒井 はい、そう思います。だって、最初はそんな気持ちになれるとは思ってなかったし……。
──決して意固地になってたわけじゃないけど、最初は他の人のニュアンスは入れたくないみたいなところがあったんですよね。で、今回はそれが開けたと。その心理面の変化って、東京に住んだっていう環境の変化も関係してそうですね。
酒井 私は東京に来てから、普段聴く音楽の幅もだんだん広くなっていったんです。そうすると、自分から生まれる曲も、こんな楽器が入ってたらいいなぁとかアイデアが浮かんだりして。
──いい傾向ですね。
酒井 あと、自分たちのために一生懸命考えて、動いてくれる周りの人たちを見ると、その出会いもうれしいなって。チュールは2人で前に立ってるけど、その後ろにはもっと何十人といるバンドみたいな感じがしてきて。
──自分の囲いみたいなものを取ったら、その先が見えるものがあったということでしょうか。
酒井 丸くなったんでしょうかね(笑)。年をとって。
重松 確かに、他の人が僕らの曲を聴いて出してくれる客観的なアイデアが素晴らしいってことは多いので。それを知ってからは、僕も気持ちが変わりましたね。
初のツアーでは、どんな顔が見れるのかな?って
──ところで、アルバムの発売直後には、チュールがリクエストに応えてライブをする企画があるそうですが。
酒井 はい、キューンレコードのインターネット動画番組「はみでろ!キューンch.」で開催します! みなさんから楽曲を募って、それを私たちが歌わせてもらうという企画です。
重松 レギュラーラジオで、すでにそういうカバー曲のコーナーをやってるんですが、今回はまた改めてという感じですね。
──期待しています! あとは初のワンマンライブツアーも決定。2月5日スタートですが、年明けから忙しくなりますね。
酒井 ありがたいことです。札幌、東京、大阪とやるんですが、ワンマンってことは、お客さんがチュールだけを見に来てくれた人ばかりってことじゃないですか。だから、どんな顔が見れるのかな?っていう期待と、純粋に会場全体で同じ時間を過ごせるっていう楽しみがありますね。今も曲作りはずっとコツコツやってるので、ツアーではもっといろんな面が見せられたらなって思います。
重松 ツアーに関しては、今作「ココロノウタ」の楽曲がメインになっていくと思うので。これをライブでどう出すか、どう届けるか、どうアレンジするか……ってことをこれから本番に向けてがんばりたいと思います。ぜひ遊びに来てほしいですね。
はみでろ!キューンch.
チュールのスペシャルリクエストライブ開催決定!
オリジナル曲・カバー曲など、事前にファンから募集したリクエスト曲を演奏します。
放送日時:2010年12月2日(木)21:00~22:00
FM802「ROCK KIDS 802」presents
~LIVE UP NEXT 2~
- 2010年12月9日(木)
大阪府 心斎橋 BIG CAT
OPEN 17:45 / START 18:30
☆Grand Open Years Fes☆
Last Tiger Revolution Count 3
- 2010年12月28日(火)
東京都 渋谷milkyway
初めてのワンマンツアー
Nice チュール meet You♪
- 2011年2月5日(土)
大阪府 梅田Shangri-La
OPEN 16:30 / START 17:00 - 2011年2月13日(日)
北海道 札幌cube garden
OPEN 16:30 / START 17:00 - 2011年2月19日(土)
東京都 渋谷WWW
OPEN 17:30 / START 18:00
チュール
酒井由里絵(Vo,B)、重松謙太(G)による2ピースバンド。2003年、高校生同士の2人を中心に北海道で結成。柔らかくも力強い意志を感じさせる歌詞と、酒井の透明感あふれるボーカル、おおらかなサウンドで徐々に注目を集める。ライブ会場限定で発売した3曲入りシングル「Train」は500枚以上を売り上げ、昨年4月に札幌cube gardenで行われたワンマンライブも大成功のうちに終了。その後活動拠点を東京に移し、2010年2月、シングル「見てみてよ」でメジャーデビュー。