ナタリー PowerPush - チュール
環境の変化がもたらした成長の証 1stアルバム「ココロノウタ」
今年2月にシングル「見てみてよ」でメジャーデビューした男女2人組ユニット、チュール。揺れ動く心の機微を繊細にすくいとった酒井由里絵(Vo,B)の歌詞は、その後リリースした2枚のシングルでも冴え渡り、彼女の持つ独特の感性と、それを楽曲に落とし込む技量に驚かされた人も多いだろう。
約1年半前に北海道から上京した彼らにとって、東京生活に待ち受けていたのはときに抗いたくもなる“環境の変化”。しかし、その経験があったから今回のアルバム「ココロノウタ」が完成したといっても過言ではない。今回はチュールの2人に、デビュー以降の変化も含めて語ってもらった。
取材・文/川倉由起子
5年前の北海道時代の曲を入れられた
──ついにチュール初のオリジナルアルバムが完成しましたね。
酒井由里絵(Vo,B) はい、やっとできました(笑顔)。
──二人が上京したのが去年だから、この中にはもちろん北海道時代の曲も入ってるかと思うんですが……。まず、一番古い曲から教えてもらえますか?
酒井 作った時期が最も古いのは12曲目の「約束の木の下で」ですね。これはまだ高校生だったんで、5年前くらい?
重松謙太(G) それくらいだね。
──5年前ですか。そんなに古い曲を入れたのは一体どういう思いから?
酒井 この曲は、当時一緒にやっていたドラマーが辞めるって決まったときに書いた曲で。彼はもともと私の幼なじみで、保育士を目指してがんばってたんですけど、私はどうしても辞めてほしくなかったんですよ。なので「どうか辞めないで! いつでも戻ってきていいから」っていう気持ちを込めて作ったんです。
──当時のむき出しのままの心境が綴られているんですね。では、その想いを「桜の木」に見立てて書いたのは?
酒井 春に辞めるっていうのは世間でいう別れの季節と重なるし、ジーンとくるなって。彼は正規メンバーじゃないのに、ビックリするくらい一生懸命やってくれてたんですよ。当時、私たちは本当にもがきながら活動してて、そういう辛い時期を一緒に過ごしてくれたので……。だから、この曲はかなり思い入れが深いですね。
──重松さんはどうですか?
重松 由里絵が言ったように、聴いてると確かに当時のことが思い出される曲ですね。僕にとっても思い入れは深いです。あと、こうしてアルバムに北海道時代の曲を入れられたこと自体もありがたいなって。いいんじゃない? って言ってくれたスタッフにも感謝です。
酒井 これくらい昔の曲もあることで、ここまでの時間の流れを感じられたり、1枚を通して自分たちが成長したんだなってことがよくわかったんです。
東京では、心の奥底の悶々とした気持ちを書いたものも多い
──それにしても、今回の13曲には本当にいろいろな感情がつまってますね。「約束の木の下で」以外にも、風景の歌あり、甘酸っぱい恋愛ソングあり、妹への歌あり、環境が変化して戸惑う歌あり……。
酒井 そうですね。それはすごく思います。北海道にいたときって、周りの風景や雰囲気のことを書いてみたり、謙太と話し合って「こんな風景を伝えていきたい!」って内容が決まったりしたことが多かったんですよ。でも東京に来てからの曲は、自分の悶々とした心の奥底から出てくるものが多いなって。
──風景から心へと、対象が少しずつ変化したんですね。
酒井 はい。だから今回は、その気持ちがどうしたら伝わるかなって考えて書いたものが多いんです。なので「ココロノウタ」っていうタイトルが本当にアルバムに合ってるなって思いますね。
──確かに。歌詞は、お2人の日記をめくっているような感覚がしますもんね。たぶん、北海道時代を知ってる方は特に……。
重松 そうだと思います。
酒井 実は全13曲の半分以上が北海道時代の曲なんですよ。本当に、北海道と東京のそれぞれで感じたいろんな気持ちがつまっていますね。
「あ、音楽を純粋に楽しんでる」って
──サウンド面でいうと、2曲目の「苺日和」は酒井さんが初めてリッケンバッカーのベースを使ったそうですね。ブログで拝見しました。
酒井 この曲は石崎光さんというアレンジャーさんと作業させてもらったんですが、光さんがリッケンベースを持っていて、弾かせてもらってすぐ欲しい!と思ったんです。見た目がかわいくてひと目惚れしちゃったんですよ(笑)。
──少しレトロなかわいらしいビジュアルでしたよね。
酒井 そうなんです! あと、音もすごくかわいくて。ベース単体でも遊び心がある音で、ちょっとアナログ感があるというか。まるで電気を通してないかのような音が温かくていいなって思ったんですよ。
──それもあってか、「苺日和」ではベースの音が特に際立って聴こえました。ところで、今回のアルバムって全体的に音数が多いですよね?
酒井 あ~、確かに。レコーディングでは本当にいろんな楽器を弾かせてもらいましたね。「苺日和」では謙太がピアノを弾いてるし、見たこともないようなオルガンの音を入れたり、みんなでハンドクラップをして録ったりもして。私は今回のレコーディングで「あ、音楽を純粋に楽しんでる」って、よく思ってましたね。
はみでろ!キューンch.
チュールのスペシャルリクエストライブ開催決定!
オリジナル曲・カバー曲など、事前にファンから募集したリクエスト曲を演奏します。
放送日時:2010年12月2日(木)21:00~22:00
FM802「ROCK KIDS 802」presents
~LIVE UP NEXT 2~
- 2010年12月9日(木)
大阪府 心斎橋 BIG CAT
OPEN 17:45 / START 18:30
☆Grand Open Years Fes☆
Last Tiger Revolution Count 3
- 2010年12月28日(火)
東京都 渋谷milkyway
初めてのワンマンツアー
Nice チュール meet You♪
- 2011年2月5日(土)
大阪府 梅田Shangri-La
OPEN 16:30 / START 17:00 - 2011年2月13日(日)
北海道 札幌cube garden
OPEN 16:30 / START 17:00 - 2011年2月19日(土)
東京都 渋谷WWW
OPEN 17:30 / START 18:00
チュール
酒井由里絵(Vo,B)、重松謙太(G)による2ピースバンド。2003年、高校生同士の2人を中心に北海道で結成。柔らかくも力強い意志を感じさせる歌詞と、酒井の透明感あふれるボーカル、おおらかなサウンドで徐々に注目を集める。ライブ会場限定で発売した3曲入りシングル「Train」は500枚以上を売り上げ、昨年4月に札幌cube gardenで行われたワンマンライブも大成功のうちに終了。その後活動拠点を東京に移し、2010年2月、シングル「見てみてよ」でメジャーデビュー。