これでやっと「よし、チュールになった！」と

──話が前後しますが、“チュール”というグループ名の由来は？

重松　ひと言で言うと語感ですね。柔らかい感じの響きにしたいねって言ってて、1文字ずつ言葉を出し合って。

酒井　チュールになる前は別の名前でやってたんですが、私たちの音楽とのギャップがあまりにも違いすぎるって言われたりしてて（笑）。で、2007年の大晦日、キリのいいところで名前を変えよう！ ということで、その日のうちに変更して。

重松　チュールに決まった瞬間、ライブハウスの人とかに変更の電話をしまくったよね。

酒井　そう。これでやっと「よし、チュールになった！」と。

──この言葉には、おふたりはどんな印象を持っているんですか？

酒井　柔らかいんだけどフワフワしすぎず、ちゃんと芯がある感じがして。今の自分たちの音楽性に合ってるなって思います。

何かに焦ったり立ち止まったりしてるときも、確実に前に進んでる

──おふたりの曲作りは、普段どんな感じで進められるんですか？

酒井　私がメロディと歌詞を書いて、それを謙太に持っていくパターンがひとつ。あとは、謙太がギターのリフを私に聴かせてくれて、そのイメージでメロディと歌詞をつけるパターンがあります。

──今回のデビューシングル「見てみてよ」は？

酒井　これはギターのリフからですね。

重松　ちょうど僕が風邪をひいて寝込んでたとき、テレビをつけたら芸人さんたちが平均台の上を落っこちないようにでんぐり返しをしてて。そのとき「お、これは画期的だぞ」と、ふと思ったんです。地球が回ってる上で、この人たちは平均台の上を回ってるっていう不思議な感じが頭の中に膨らんで。そこから、地球ってそういえば回ってたんだな、止まってるように見える1日でもちょっとは動いてるってことなのかなって。

──それを歌にしてみようと思ったんですか？

重松　そうですね。大枠のテーマとギターのリフを僕から渡して、歌詞は由里絵に膨らませてもらって。

酒井　最初にその話を聞いたときは、「この人、何言ってるんだろう？」って思ったんですよ（笑）。でもよく考えると、それって面白い発想だなって。何かに焦ったり立ち止まったりしてるって思うときも、確実に前に進んでるんだっていう。

重松　上がってきた歌詞を見たときは「そうだよ、こういうことだよ」って。自分の伝えたかったこと以上のものを書いてくれたなって思いました。

自分に子供がいたらいろんな人に愛されてほしい。音楽も同じ

──サウンドも空を駆け抜けていくような、未来へのワクワク感にあふれてますよね。

重松　まさに青空のようなイメージでした。

酒井　とにかく気分爽快な感じにしたいねって言ってたんです。

重松　全体的に見てもメッセージ性が強い内容ということで、これからの自分たちの応援歌にもなるだろうし。

酒井　デビュー曲は力強い感じにしたかったんだよね。

重松　チュール参上！ って感じで（笑）。

酒井　まさにここからがスタート、という気持ちですね。

──ぜひ、2010年の音楽シーンに旋風を起こしてください！

酒井　今はとにかく、自分たちの大事な曲をたくさんの人に聴いてもらいたいんです。聴いてくれる人の生活に溶け込める音楽でありたいなって思ってます。

重松　少しでも僕たちの想いに共感してもらえるところがあれば。いっぱい曲を作って、ライブをして、いろんな人との“共感”を大事にしていきたいですね。

──なるほど。では最後に、おふたりが音楽をやる意味とは？

酒井　例えば自分に子供がいたとしたら、いっぱい友達ができてほしいし、いろんな人に愛されてほしいと思いますよね。音楽もそれと同じだと思います。愛されるものを作って、それを人に聴いてもらって、ライブでは、それをかわいがってくれてる人が集まってっていう。

──そういう気持ちを味わうことで、自分自身が満たされたいっていう気持ちもありますか？

酒井　それは確かにあると思います。でも、メンバーだけじゃなくて、音楽は本当にいろんな人と作り上げていくものだと思うので。みんなが好きって言ってくれてるものを歌って、共感してもらえたら、こんなに最高なことはないって思うんですよね。