ネットのメンバー募集で知り合って、片道1時間半かけて会いに行った

──おふたりは北海道出身なんですよね？

酒井　はい。私は札幌市で、謙太は美唄（びばい）市というところです。

──美唄市ってどの辺にあるんですか？

重松　札幌から車で1時間半くらいのところで。人口も3万人弱のそんなに大きくない街なんです。

──そんな、住む場所も遠く離れた2人が出会ったのは？

酒井　私は中学生くらいからバンドに興味を持って、高校に入ったら本格的にバンド活動を始めたいって思ってたんです。そんなとき、謙太が当時組んでいたバンドのメンバー募集をネットの掲示板で見つけて。

──昔は楽器屋の貼り紙が主流だったけど、今はネットで出会う時代なんですねえ。

重松　時代をフル活用した感じですね（笑）。

──それで、酒井さんは美唄市まで会いにいったんですか？

酒井　そうなんです。高校には本格的にやってる人がいなかったし、地元でもなかなか一緒にやりたいと思える同年代の人が見つからなくて。それで謙太たちと知り合って、ちょっと会いに行ってみよう！ と。親にはすごく感謝なんですが「ドライブがてら送ってってあげるよー」と、片道1時間半を加入してからも毎回送り迎えしてくれたんです。

重松　僕らがいた美唄では、友達の家の倉庫をスタジオにして結構自由に使えてたんです。だから、こっちに来てもらったほうが環境的にはかなり整ってて。

酒井　（両手をひろげて）こんなでっかいクモが出たりしましたけど。糸も太くて、あれでボタン留められるんじゃないか!? ってくらい（笑）。

重松　あははは（笑）。そんなこともあったなあ。

結局は素のままを出すのが一番合ってる

──酒井さんが加入した当時はまだ4人組バンドだったとか。

酒井　そうなんです。私たち以外にボーカルとドラムがいて。だから私は完全にベースの募集で入ったんですよ。でもその後、ボーカルとドラムが抜けることになり、代わりの人が見つかるまで私が歌うことになって。

重松　そうこうしてるうちに今日まで来た……って感じですかね（笑）。地元でもライブを精力的にやるようになって、今の音楽性にだんだん近づいてきて。

酒井　でも、このカタチに固まるまではちょっと時間がかかりました。これがチュールだって思えるものに行きつくまでは、ライブをやってもなんだか悪いことをしてるような気分になったり。

──それ以前はどんな音楽を？

酒井　ガラじゃないだろ、っていうようなハードな感じのを無理矢理やったりしてました（笑）。

重松　方向性が定まらなくて、楽曲にしてもライブにしても、ちょっとモヤがかかったような感じになってましたね。

酒井　でも結局は素のままを出すのが一番合ってるってことがわかって。そこからはパフォーマンスもガラッと変わっていったと思います。

──ライブと言えば、酒井さんは憧れのアーティストがいるそうで。

酒井　はい。もともと私はGLAYのJIROさんの大ファンでベースを始めたんです。GLAYのライブでワーッて花道を走っていく光景にすっごい憧れて。私たちが今やってるのは比べものにならないくらい小さいステージだけど、いつかあんな風に走ってみたいなって（笑）。

重松　あと、背中に羽つけて飛びたいってよく言ってるじゃん。

酒井　あれはただ言ってるだけです！（苦笑）