ナタリー PowerPush - 小林太郎

熟成し解き放たれたロック自身の「MILESTONE」を語る

このアルバムにどれだけ自分自身を落とし込めるか

──今回の「MILESTONE」は真ん中にインストの小楽曲「弁舌～interlude～」を置いて、前半はちょっとドロッとしたロックナンバーが並び、後半はソフトなミディアムチューンが続くという曲順も、聴いていてすごく気持ち良かったです。

静と動のコントラストでいうなら、前半が動で後半が静って感じですよね。前半はアルバム全体を引っ張っていってくれるような曲で固めて、後半はエネルギーを充満させるような曲が入っていて。で、真ん中の「弁舌～interlude～」でワンクッション置く。そういう曲順がわかりやすくていいなと思ったんです。

──同じミディアムテンポの曲でも、アルバム前半の「鴉」と後半の「白い花」とではこれだけ表現が違うんだなという発見もありましたし。

このアルバムにどれだけ自分自身を落とし込めるかって感じだったので、完成する直前になって「バラードが多いよね」って言われて初めて気付いたんですよ。アルバムの半分くらいがミディアムナンバーやバラードですもんね（笑）。

──でも、「鴉」はミディアムテンポではあるけど、もっとロック寄りの楽曲だと思います。この曲はいつ頃できたんですか？

実は高2くらいからある曲なんです。

──あ、そんなに前からある曲なんですか。

最初は「俺は鴉になる」っていうサビのフレーズはあったものの、それ以外の歌詞が思い浮かばなくて。一応デビューした頃には今とは全然違う歌詞が付いたバージョンがフルコーラスできてたんですけど、曲の景色というかなんとなく漠然としたイメージをうまく歌詞で表現できなかったんです。でも今回のタイミングで、なんとか完成させることができて。自分の問題がスッキリしたら、それまでが嘘みたいにスッと作れた感じですね。

7曲だけど濃さも情報量もフルアルバム並み

──ここまで聞いたお話を踏まえて、改めて「MILESTONE」を聴き返すと、また違った聞こえ方がしてくるんでしょうね。

7曲しか入ってない割りに、歌詞にしても本当に情報量が多いなと思うんですよ。

──それこそ10曲以上入ったフルアルバム並みの濃さですよね。聴き終わった後の満足感もフルアルバムを聴き終えたときにかなり近い気がしますし。

この濃さでフルアルバムにしたら、もう大変だな。作るほうも聴くほうも（笑）。

──そして、リリース後にライブをいろいろやることで、曲自体もどんどん進化していくんでしょうね。

曲には生き物みたいなイメージがあるので、どうなっていくのかすごく楽しみなんですよ。

──小林さんが吐き出した曲をリスナーが受け取り、その反響がまた小林さんに届くことで変わっていく部分もあると思います。

そうですね。ライブではもちろんアクションでもいろんなやり取りをしたいんですけど、心の距離をゼロにまで近づけられたらいいかなって。CDに録音された曲を聴くときってどうしても一方通行になっちゃうから、ライブではもっと体温の感じられるやり取りができたらいいなと思ってます。

収録曲

飽和
惰性の楽園
鴉
弁舌～interlude～
白い花
泳遠
廻って廻って

小林太郎イベントライブ

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012: 2012年8月3日（金）・4日（土）・5日（日）茨城県国営ひたち海浜公園
OPEN 8:00 / START 10:30 / END 20:30（予定）
※雨天決行（荒天の場合は中止）
※小林太郎の出演日は 8月3日（金）
TREASURE05X: 2012年8月23日（木）愛知県名古屋CLUB DIAMOND HALL
OPEN 16:30 / START 17:15
RockDaze!2012 -challenge- with cross fm: 2012年8月25日（土）福岡県 DRUM LOGOS / Be-1 / SON
OPEN 14:30 / START 15:00
※出演会場未定

小林太郎インストアイベント

小林太郎 SHORT LIVE ACT "MILESTONE Carnival Vol.1": 2012年7月23日（月）大阪府心斎橋Pangea
START 19:00
小林太郎 SHORT LIVE ACT "MILESTONE Carnival Vol.2": 2012年7月27日（金）東京都タワーレコード渋谷店B1 STAGE ONE
START 19:00

小林太郎（こばやしたろう）

静岡県浜松市生まれのロックシンガー。初音源として、2010年1月にインディーズ1stアルバム「Orkonpood」をタワーレコード限定でリリース。力強いボーカルと洋楽の影響を感じさせる重厚なサウンド、鋭い歌詞で、リスナーから支持を得る。iTunesによる2010年に最も活躍が期待できる新人アーティスト「iTunes JAPAN SOUND OF 2010」にも選出され、2010年4月にはインディーズ1stアルバムが全国発売された。同年夏には「ARABAKI ROCK FEST.10」「SUMMER SONIC 2010」など、新人としては異例となる16本の大型フェスに出演。10月にインディーズ2ndアルバム「DANCING SHIVA」を発表。翌月から初の全国ワンマンツアー「TOUR 2010 "DANCING SHIVA"」を全国10都市で開催した。2011年夏、新バンド「小林太郎とYE$MAN」を結成し、「SUMMER SONIC 2011」「ARABAKI ROCK FEST.11」「JOIN ALIVE」などの野外フェスに出演。2012年よりソロ活動を再開させ、同年7月に新レーベル「STANDING THERE, ROCKS」からメジャー1stミニアルバム「MILESTONE」をリリースした。

タグ