小林幸子×中川翔子「風といっしょに」対談|「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」公開から21年、歌い継がれる名曲

3曲に21年がギュッとなってる

──カップリングにはもう1曲、さち&じゅり(小林幸子&井端珠里)名義の「ポケットにファンタジー」が……。

左から中川翔子、小林幸子。

中川 (遮るように)これが入るのがエモい!

──(笑)。これは初代テレビアニメシリーズの3代目エンディング曲です。当時の音源がそのまま収録されていますが、改めてお聴きになりました?

小林 実はまだ聴けていないんですよ。

「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」より。©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」より。©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon ©2019 ピカチュウプロジェクト

中川 これは、歌ってるご本人よりオタクのほうが100倍くらい聴いていると思う(笑)。「子供の頃は大人に憧れて、大人になってみると子供に戻りたい」という歌ですよね。子供の頃ももちろん聴いていたんですけど、どっちの気持ちもわかるようになると、「ああ、人生ってRPGだなあ」と思います。サトシにはポケモンマスターになるという夢があるけど、ポケモンリーグで勝てなかったりするじゃないですか。くじけたり、理不尽なこともある。だけど、傷ついたときにまた夢を見つける。それぞれの人生によって、夢も思い出も傷も違うっていうことが、「ポケットの なかみは だれだって ファンタジー」と歌われていて。ホントこの歌の通りだなと思います。

小林 そんなふうに感じてくれていたのね。同じ歌を聴いても、何を感じるかってそれぞれみんな違うじゃないですか。今回も、子供たちがどういうところでどんなふうに学習してくれるのかなって、すごくワクワクします。

中川 このシングル、本当にすごい1枚ですよね。3曲に21年がギュッとなってる。エモすぎる。

──確かにそうですね。ポケモン楽曲のボックスセットを聴く時間がない人は、これを濃縮版として聴けばいい。

中川 これ1枚で大丈夫です(笑)。

2度目の東京オリンピック

中川 幸子様はサトシくらいの10歳の頃って、どんな感じのお子様だったんですか。

小林 私、10歳でデビューしましたから。

中川 えっ!

小林 東京オリンピックの年にデビューしたんです。今年で芸能生活55周年ですよ。

中川 うわー! デビューして2度目の東京オリンピック!

小林 この55年で日本は本当に変わりましたね。今は子供たちへの虐待みたいなことが起こるでしょ。昔のほうがそういうことはなかった。みんなお金に余裕はなかったけど、心は決して貧しくなかったですね。戦争で全部なくした人たちが、みんなで1つになってがんばろうって高度経済成長を支えて。子供たちとポケモンがみんなで手をつなぐような感じで、未来の日本をよくしようという気持ちでいた。

──ポケモンたちが力を合わせてミュウツーの心を動かすシーンとも重なるお話ですね。

中川 確かに。人生って、いろんな場面が重なりますね。

小林 人間が生きていくことって、そういう繰り返しなんでしょうね。

左から小林幸子、中川翔子。