ナタリー PowerPush - knotlamp
納得の2ndアルバムついに完成 フロントマンKEITが制作の裏側を語る
“knotlampらしさ”はファンが作ってる
──アルバムを聴いた印象として、まず曲順がいいなと。5曲目の「Everlasting Stars」までガーッと行って、6曲目の「My world, your world」で立ち止まって、そして7曲目の「A thousand sorries」からまた進む。一度立ち止まってまた進むって感じが、こじつけるようだけど、今回の一連の流れにつながるような気もして。
あー、なるほど。曲を作ってる時点ではゴールは決めなかったんですよ。とにかくいい曲を作って、それを並べたときがおのずとゴールになるだろうって。だから今回は自分でも予想もしなかった曲が作れて。で、最初は全体のイメージを設けなかったんで、逆に最後に曲順を決めるときはこだわりましたね。
──6曲目で立ち止まり7曲目で再びスタートを切る。そのスタートの切り方も、7曲目はミディアムな曲だし、一歩一歩しっかり進むイメージで。
はい。僕もその流れは大好きで。7曲目は僕らはWEEZERのような泣きのパワーポップのつもりで。で、そこから後半に向ってまた勢いを出していくっていう。
──その7曲目や最後のアコースティックな「Until you sleep」は新機軸だと思うし、楽曲のバラエティは豊かになりましたね。
僕らはknotlampがメロディックパンクだとは思ってないし、枠を作ってはダメなバンドだと思ってるので、作品を作るたびに今までやってないサウンドをどんどん取り入れていきたいんです。その中で核となるのは歌とメロディで。僕はメロディには自信があるんで、それがあればどんなアレンジでも大丈夫だろうと。あとはファンが何を求めているかですよね。“knotlampらしさ”っていうのは、実はファンが作ってるというか、ファンが喜ぶ曲を作りたいので。だから新しいものを取り入れたいけど、それは今までのknotlampを継承した上でですよね。ファンのほうを向いていれば、おのずとそういう変化の仕方をしていくと思うし。
──でもアコースティックで終わっていくのは意外でした。「メロディックパンクだとは思ってない」とおっしゃいましたが、メロディックパンクのバンドなら、最後は勢いある曲で終わらせる作品が多いと思うんです。だからこのラストは新鮮で。
アコースティックの曲をやったのは、knotlampの曲の原型をそのまま見せようって思ったんですね。メロディだけでもknotlampだよってことを示したかったし、このメロディに合うアレンジが、たまたまアコースティックだったってのもあるし。で、作品として考えると、この曲で終わるのが一番自然に思えたんです。あと僕らは今後、どんどん幅が広がっていくんだって意味合いも含めて、今までにないタイプの曲で終らせたかったんです。
僕らにとって重要な分岐点
──あと歌詞ですが、ただ前に進むんじゃなくて、喪失感も含めてますよね。4曲目の「Fragment」では“だから失って強くなれたんだ”って歌詞もあるし。
さっき僕、「音楽に救われてる」って言いましたけど、やっぱり自分は不甲斐ない人間でダメだなって思うことがたくさんある。だからこそ「俺はダメな人間だけど、だからがんばろうと思ってるんだよね。みんなもそうだろ?」ってことを、音楽を通して言ってるんですよね。ただ「笑おう」って歌うよりも、「これだけダメだけど笑える」とか「これだけダメだから前へ行こうと思う」って歌詞のほうがリアルだし、実際、自分がそうだから。ホントにね、歌詞を書くってことは自分と向き合わざるを得ない。すると弱い自分も認めなきゃいけないわけで。それをやって初めて聴いてくれる人に伝わるんだと思うし。で、僕が伝えたいのは……誰でも自分は1人だって思うことがあって、いわゆる平均的なレールから外れちゃったなって思うこともあるかもしれない。そんなときに「音楽だけは君を1人にはしないはずだよ」って。そこは伝えたいとこではありますよね。
──その思いはアルバムタイトルの「Dot of the Galaxy」にも通じることですか?
タイトルの意味やイメージはリスナーに委ねたいんですけど……宇宙の闇のように暗い中でも輝いてるひとつの点のような希望、というか。宇宙の中のひとつの点はすごく美しいはずで、そういう希望を持ってもいいんじゃないかって。そういう気持ちでつけたタイトルです。
──わかりました。延期したおかげって言うとなんですが、いろんなものに気付いたようだし、今後も変わっていきそうですね。
そうですね。メンバーのこと、バンドのこと、レーベルのこと、いろんなことに気付いた。今作は僕らにとって、とても重要な分岐点のアルバムになるのは間違いないと思ってて。最重要アルバムですね。で、今後のknotlampに期待してほしいです。この次のアルバムは、もっともっと良くなるはずですから。あと今、ツアー中なんですが、すごく盛り上がってますよ。まだリリースされてない時期のライブでも、お客さん、みんな歌ってて。「いつ覚えたの?」って訊きたくなるぐらいで(笑)。
CD収録曲
- Into the sky
- Libra
- Twisted arrows
- Fragment
- Everlasting stars
- My world, your world
- A thousand sorries
- Liberty Bell
- Coda
- Aerosphere
- Until you sleep
DVD収録内容
2010.3.25@赤坂BLITZ「THE GROWING SQUARE」
- LAST TRAIN -新しい朝-
- Everlasting Stars
- Another Escape
- 遠くへ
knotlamp(のっとらんぷ)
2007年にLD&K Recordsより1stミニアルバム「Blind Side」をリリース。数多くのロックフェスやライブイベントに出演し、メロディアスな楽曲と強力なライブパフォーマンスで注目を集める。メロディックパンクシーンを牽引する存在としての期待が高まる中、2010年9月7日に2ndフルアルバム「Dot of the Galaxy」を発表。ジャンルの枠に収まらない音楽性を獲得している。