軸になるのはメロディ

──アルバム「INPUT ∝ OUTPUT」が完成しました。サウンド、歌詞を含めまさに現在のバンドの状況が生々しく反映された作品だと思いますが、メンバーの皆さんの手応えはどうですか？

w-shun（Vo, G）　去年1年間ずっとレコーディングしてたんですよね。一番初めに取りかかったのがシングルの「Paint it Out!!!!」なんですけど、あの曲は4人でジャムセッションをしている段階から「メロディがすごく立ってるな」と思えるものができて。その方法論を継続していく中で、ほかのアルバムの曲もできあがってきたっていう。前作（「reality ＆ liberty」）までは足し算で音を重ねていくことが比率的には多かったんですけど、今回は曲の軸が最初から見えてたし、そのポテンシャルを生かそうという意識もあって。だから、わりとシンプルに仕上がってるかもしれないですね。

──リアルなバンド感がそのまま表現されているというか。

w-shun　「今の技術と経験値を生かすとこういう作品になった」っていう感じですね。しかも音に攻撃性もあったし。曲の骨組みができた段階で、メンバー全員が「これを信じよう」と思えたのも大きかったと思います。

dEnkA（G）　以前は「もっと分厚く、もっと重く」っていう意識があったんですよ。ギターに関しても前作、前々作はだいぶ音を重ねてたんですけど、今回は有効なフレーズを選んだというか。そんなに重ねなくても成り立つアレンジを考えてたので、そこはボヤけることなく形にできたかなって。ちゃんと時間をかけてレコーディングできたので、いろいろ試せたのもよかったですね。軸になるメロディは崩さず、オケをどういうふうに組み立てればいいかっていうことを考えながらギターの音やフレーズを決めていきました。

──軸になるのはあくまでもメロディと歌。

w-shun　そうですね。メロディを生かすために、実は細かくコードを組み立ててたりもするので。音はシンプルなんですけどやってることはけっこう複雑です。だからライブでやるのは大変だと思うんですよね。ベースに関しても、普段は入れないようなフレーズが入ってるし。

dEnkA　ベースは難しいよな、今回。

w-shun　コーラスパートもけっこうあるしな。

亜太（B）　（笑）。メロディをちゃんと残すために、普段の手癖を矯正したところもありましたからね。今までにはなかったプレイスタイルにもトライしてるので、ベースラインの幅はだいぶ広がったと思うし、いろんな表現ができたんじゃないかなと。確かに、ライブでできるのか？っていう不安はありますが（笑）。

w-shun　ギターも全然覚えられないんですよ。こいつ（dEnkA）に「ここどうなってんの？」って教えてもらってるんですけど、曲の1番と2番で全然違うことをやってたりもして。リハーサルでアルバムの新曲をやってるんですけど、今が一番ツラいかも（笑）。新しい曲を身体に染み込ませるのはやっぱり大変ですね。

──ドラムに関してはどうですか？

ナオミチ（Dr）　みんなが言ってるように1曲1曲の芯がしっかりしてたので、その色を濃くしていくっていう感じでやれましたね。メロディとドラムのリズムがユニゾンしてるところもけっこうあるんですよ。ボーカルが跳ねてるところはドラムも一緒に跳ねてたり。そういうことも今まではあんまりやってなかったんですよね。音作りに関しても、前はアルバム1枚通して同じ音で録ってたんですけど、今回は1曲1曲に合うような音を選んで。サウンドプロデューサー、エンジニアの方と相談しながらじっくり音を作れたのもよかったです。

──アレンジにしてもサウンドメイクにしても、ストイックに追求していった？

w-shun　まあ、現場ではギャーギャー言いながらやってましたけどね（笑）。基本ふざけっぱなしというか、マジメになりすぎるとやれないので。遠回りばっかりしてましたからね、実際は。「こんなことやってみようぜ」って思いついたことをどんどんやって「やっぱりやーめた」とか（笑）。結局1周して最初のアレンジに戻ったりもしてましたけど、そういうことも必要だと思うんですよね。探究心っていうか、いろいろと試してみないとバンドの懐も深くならないと思うし、そうやって4人で作ってるときこそ「バンドをやってる」って実感できる瞬間なんで。