音楽ナタリー PowerPush - KKBOX presents フレデリック
人とのつながりが生んだ心も体も踊れるロック
フレデリックが5月6日に新作ミニアルバム「OWARASE NIGHT」をリリースする。
昨年9月にリリースしたメジャーデビューミニアルバム「oddloop」のリード曲「オドループ」のミュージックビデオが、YouTubeで250万回以上の再生回数を記録するなど熱い注目を集める彼ら。三原健司(Vo, G)の耳に残る声と、双子の弟・康司が作り出すキャッチーなサウンドやファンタスティックな歌詞は、着実に中毒者を増やしている。
今回、音楽ナタリーでは「OWARASE NIGHT」の発売および、5月13日に行われる定額制音楽配信サービス・KKBOXのチャット企画「Listen with(一緒に聴く)」に彼らが登場することを記念してインタビューを実施。新作について、KKBOXや「Listen with」の楽しみ方などを聞いた。
取材・文 / 中野明子 撮影 / 佐藤類
「オドループ」の威力
──昨年の9月にメジャーデビューして約半年が経ちますが、変化などはありましたか?
三原康司(B, Vo) はい。関わる人が増えたのが一番大きいですね。いろんな人と話すことでアドバイスがもらえるようになって。あとライブでお客さんとコミュニケーションを取ることができるようになって、特に歌詞が変わってきましたね。
三原健司(Vo, G) インディーズ時代は、自分たちの作る世界をお客さんに理解してもらうような一方通行のスタンスだったんです。僕らの音楽が好きな人だけ集まってくれればいいみたいな思いもあったし。でもメジャーに行くタイミングで、自分たちがお客さんとどう関わっていきたいのか話し合って。そこで「聴いてくれる人を増やしたい」「お客さんと向き合えるような、一緒に踊れる音楽を作っていきたい」ということになって。僕らの曲に共感してもらうにはどうしたらいいのかと話したんです。
康司 メジャーデビュー作「oddloop」に入っている「オドループ」が、お客さんに反応を返してもらえるような曲を作りたいと思って新しい試みとして作った曲なんですね。さらにライブでやったときに、目の前で拳を突き上げて踊ってる人を見てそこで手応えを得たというか。
健司 「オドループ」で自分たちの新しい音楽を追求した結果、バンドの新しい扉が開かれた感じだったんです。
──「オドループ」はライブのキラーチューンでもありますが、YouTubeではMVが250万回以上の再生回数を記録してネットでも話題を集めています。
kaz.(Dr) はい。僕たちにとってリスナーとの距離を縮める1曲になったし、リスナーにとってはフレデリックへの“入り口”の曲になっていると思います。この曲があることで、ライブでお客さんがほかの曲でも盛り上がったり、踊ってくれたりするようになったし。
赤頭隆児(G) フェスやイベントのサウンドチェックでイントロを弾くと沸くんです。そういうときに曲が浸透していることを実感しますね。
──フレデリックの楽曲の特長は、踊れることや、歌詞やメロディがループする中毒性の高いサウンドだと思いますが、メンバーの皆さんはフレデリックの音楽の強みってなんだと思っていますか?
康司 体を動かす“踊る”だけじゃなくて、心が“躍る”音楽であることですね。
健司 あとは歌詞とメロディのマッチ感。例えばフレデリックの曲を口ずさむとき「ラララ」ってメロディだけじゃなくて、歌詞もきっと一緒に出てくると思うんです。それくらい密接につながってる。康司が曲を作るとき、メロディと歌詞が一緒に出てくるからだと思うんですけど。
kaz. 僕はメロディと歌詞、それから康司くんと健司くんのハーモニーが武器だと思ってます。だからアレンジでは、どうやったら歌を生かせるかを考えながら曲を作ってますね。
壊されることに快感がある
──健司さんは、フロントマンとして康司さんが作った曲を歌うときどんなことを意識しますか? 独創的な歌詞の世界を理解することも必要になってくると思うんですが。
健司 実は歌詞については康司に意味を聞かないようにして、自分でその意味を解釈した上で歌うようにしてます。だって康司に「こういう意味があるんです」って言われた時点でそれが答えになって、自分で考えなくなっちゃうから。
康司 うん。フレデリックで歌うのはあくまでも健司なんで、僕も健司自身に答えを持ってもらわないと、と思ってるんです。
──例えば歌詞の意味やメッセージが咀嚼できなかった場合、歌う上で苦労があったりは?
健司 ないですね。その場合は、自分では答えを出さずに歌ってしまう。それも面白いんですよ。僕の歌を通してお客さんが意味を考えてくれるから。そこで新しい発見があったりするんです。
康司 でも双子だからなのか、感覚で歌詞を理解して、受け入れてくれてることが多いですね。昔、健司以外の人とバンドをやってたときは、ボーカルの人に歌詞を理解してもらうのが難しかったなあ。
健司 まあ、意志の疎通が早いのは双子の特権なのかなって(笑)。
──フレデリックの楽曲は、編曲がバンド名義ですけど、どうやってアレンジを作っていくんですか?
康司 まずは僕がだいたいのアレンジを作って、それをメンバーに聴かせるんですよ。そこから全員で話し合って、僕が作ったものをみんなで壊して再度作り上げていく感じですね。
──1回作ったアレンジを壊すのは、もったいない気がしてしまうんですが……。
康司 僕としてはもったいないとは思ってないんです。だってデモ段階では僕1人の音楽だし、それで満足できるならバンドをやってる意味がないですもん。音楽でも普段の生活でも、自分が経験したことのないことに興味があって、常に新鮮な気持ちを味わいたいんですね。だから、メンバーの考えや経験が反映されるアレンジの作業はいつも楽しみなんです。壊されることに快感があるというか。
kaz. でも最近、康司くんが作ってくるデモに俺が叩きたいリズムや、やってみたいアレンジが多くて。デモのアレンジのままでいくケースが増えてる。康司くんの中に、各自の好みやクセがデータベース化されてるのかもね。
健司 康司のやってることがそのままフレデリックになってきた感じもあるし、我々も新しいアレンジの引き出しを増やさんといかんなとは思ってます。
次のページ » 「終わり」を歌う理由
日本をはじめ、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、タイでサービスを提供しており、1,200万人の利用者を持つアジア最大の定額制音楽配信サービス。スマートフォン、パソコン、タブレットなどで、いつでもどこでも1,000万曲以上の多彩なラインアップの楽曲を聴き放題で楽しむことができるだけでなく、離れたユーザー同士で、リアルタイムに同じ楽曲を聴きながらチャットを楽しむことができる「一緒に聴く“Listen with”」といったソーシャルコミュニケーション機能が特徴となる定額制音楽配信サービス。通常会員登録ならば1日間、Facebookアカウントでの登録ならば7日間、無料でお楽しみいただけます。
「Listen with(一緒に聴く)」とは
友達や有名人・アーティストと一緒にリアルタイムで同じ音楽を聴きながらチャットができるソーシャル機能。アーティストが自身の曲に加え、影響を受けた曲や好きな曲を再生しながら、ファンの皆さまとチャットで会話することができるため、今まで知らなかったアーティストの新しい一面を発見することができます。また、KKBOXが提供しているアジア各国(台湾、香港、シンガポール、マレーシア、タイ、日本)のファンと同時に楽しむことができる、グローバルサービスのKKBOXならではのイベントです。
収録曲
- オワラセナイト
- DNAです
- シャンデレラ
- どうにもこうにも
- セーターを脱がさないで
- 愛の迷惑
- さよならカーテン
フレデリック
2009年6月結成。三原健司(Vo, G)と三原康司(B, Vo)の双子と、赤頭隆児(G)、kaz.(Dr)の4人からなる。幅広い音楽要素から生み出されるユニークなサウンドと、アッパーなライブパフォーマンスでファンを増やしている。2012年「MASH FIGHT!」にて特別賞を受賞。2014年3月に柏原譲をプロデューサーに迎えたミニアルバム「うちゅうにむちゅう」をリリース。同年9月にメジャーデビュー作となるミニアルバム「oddloop」を発表し、その後初の東名阪ワンマンライブ「踊ってない夜が気に入らNIGHTツアー」を開催した。2015年5月にメジャー2ndミニアルバム「OWARASE NIGHT」をリリース。