KJRGLインタビュー|「日プ」「ボイプラ」経験者たちがソニーからデビュー、「海中3部作」で表現したこと

KJRGL(カジャーグル)の1st EP「prelude~the brilliant blue」が11月27日にリリースされた。

今年9月にSME Japan×SME Koreaの合同プロジェクトの一環でデビューを果たしたKJRGLは、日本人メンバーのAKIRA(川口明)、KOUKI(阪本航紀)、RIKU(町田陸)、韓国人メンバーのDIEN(ジョン・ホジン)、SAERON(イ・セロン)、そしてアメリカ国籍を持つISAAC(ジョン・アイザック)からなる6人組グローバルボーイズグループ。INIを輩出した「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」やZEROBASEONEを生んだ「BOYS PLANET」といった人気サバイバルオーディション番組経験者やソニーミュージックのグローバルアーティスト育成プロジェクト「TORA PROJECT」のトレーニー、韓国事務所の元練習生などが在籍している。本稿では、KJRGLメンバーの多様なバックグラウンドや“海中3部作”と題された作品の制作について、6人へのインタビューを通じて掘り下げる。

取材・文 / 坂本ゆかり

夢をあきらめずに歩んできた6人

──音楽ナタリー初登場となりますので、自己紹介を兼ねてグループ結成までの経歴を教えてください。

KOUKI 僕はAAAの西島隆弘さんに憧れてアーティストを目指し、2019年の「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」に挑戦しました。その後、KJRGL結成に向けたプロジェクトに最初のメンバーとして参加しました。

KOUKI

KOUKI

AKIRA 2番目に参加したAKIRAです。僕は中学生のときにEXILE TRIBEさんに憧れて歌を習い始め、ソニーミュージックが世界で活躍するアーティストを育成するために立ち上げた「TORA PROJECT」に1期生として参加しました。KJRGL加入を決めたのは、KOUKIの映像を見せてもらったのがきっかけです。

──KOUKIさんが、カッコよかった?

AKIRA いえ、かわいかったです(笑)

一同 あはは。

RIKU 3番目にグループに合流したRIKUです。僕は子供のころからBTSさんに憧れて、アイドルを志しました。関西でダンススクールに通いながらオーディションを受けて事務所に所属し、「BOYS PLANET」(2023年放送の韓国のサバイバルオーディション番組)に参加した縁で、このプロジェクトに加わりました。

DIEN その次に、僕とSAERONが参加しました。僕は子供の頃から人前に立って注目を浴びることが好きで、アイドルを目指すようになりました。韓国で事務所の練習生をしたこともあるし、友達の家に居候しながらモデルなどのアルバイトをしてオーディションを受けていた時期もありました。僕もRIKUと同じく「BOYS PLANET」出演後、KJRGLに加入することになりました。

SAERON 僕は母が歌手なので、子供の頃から母のステージを観て育ちました。中学時代にアイドルのステージを観て元気をもらい、歌手を目指すようになりました。でも高校1年生のときに「歌手は向いてないかも?」と思い、小劇場で演劇をするようになったんです。そんなときにスカウトされて、アイドルの道に進みました。歌もダンスも演技もできる……それが僕の強みになっていると思います。

──SAERONさんは全部日本語で答えてくれましたが、いつから日本語を勉強しているんですか?

SAERON 今年の1月にひらがなから勉強を始めました。

──それでこんなにうまいなんて、すごいですね。では最後に合流したISAACさん、お願いします。

ISAAC 僕はアメリカに住んでいる頃、姉と一緒にハリウッド・ボウル(アメリカ・ロサンゼルスにある野外音楽堂)にオムニバスライブを観に行って、アーティストのパフォーマンスに感動して「僕もいつかこの人たちみたいにステージに立って、たくさんの人に力をあげたい」と思うようになりました。TikTokに公開した動画をきっかけに事務所にスカウトされて、2年間の練習生生活を経て、今ここにいます。

──KJRGLには、グループコンセプトがあるんですよね。

AKIRA はい。KJRGLという名前は、日本語のクジラと韓国語のクジラ=ゴレ(GOLAE)の造語です。クジラは声(音波)で会話をし、群れを成して暮らしています。しかし人間が海中で使うソナー(超音波)が彼らの世界を壊し、その声が届かなくなり孤独な生き物になってしまった。KJRGLは、失った声、仲間、自分を取り戻すクジラの物語を、夢をあきらめずに歩んできた僕たちが体現する……というのがコンセプトになっています。

AKIRA

AKIRA

──そんなKJRGLだけの魅力は何でしょうか。

SAERON 多国籍グループなので、異なる魅力がたくさんあります。メンバーそれぞれのキャラクターが立っているけれど、集まるとひとつになる。そんな不思議な魅力があるグループじゃないかな。

起床時に落下、ベッドは半壊状態

──「キャラクターが立っている」ということですが、AKIRAさんはどんなキャラクターなのですか?

KOUKI いっぱい食べて、いっぱい寝て、いっぱい筋トレをしている人です。

SAERON お母さんです! 昨日もみかんをくれました。

DIEN 優しすぎること、いい人すぎることが問題です。もうちょっと厳しくてもいいと思います!

AKIRA わかりました! もっと厳しく子供たちを育てます(笑)

──RIKUさんは?

DIEN スタイルがいい! 見た目に反して、みんなの面倒をちゃんと見てくれます。ツンデレですね(笑)。

KOUKI うん。関西人特有の鋭さがあるんですけど、意外とピュアです。

──では、KOUKIさんは?

DIENSAERONISAAC かわいいです。赤ちゃんです。

DIEN 顔もかわいいし、そう伝えると「僕はカッコいい!」と反論するところもかわいいです(笑)。

KOUKI 年下の3人に赤ちゃんって言われるのは、不服!

DIENSAERONISAAC アハハ。

──DIENさんはどうでしょう。

DIEN イケメンです! かわいいです!

DIEN

DIEN

SAERON 自分で言う?(笑) と、このようにチームの中で一番テンションが高い、というかテンションが高すぎる人です(笑)。

AKIRA ムードメーカーですね。

DIEN 褒められた。もっともっと!

KOUKI めちゃくちゃ素直。パッションもあって、このチームの中だったら一番視野が広いメンバーかな。

──SAERONさんは?

RIKU 真面目だし、とにかく頭がいい。

ISAAC 模範生ですね。

──自分で真面目だという自覚はありますか。

SAERON あります(笑)。僕は母が芸能人なので、自分が真面目に育たないと母の仕事に支障が出ると思って、子供の頃からきっちりしていて……こういう性格になりました。

──末っ子のISAACさんはどうでしょう。

AKIRA すごいですよ(笑)。天然というか……。僕らは2段ベッドで寝ているのですが、朝とんでもない大きな音がしたと思ったら、2段ベッドが半壊状態。そしてISAACが下に落ちていたことがあって(笑)。

ISAAC 目が覚めて「急いで起き上がらなきゃ!」と思ったら破壊していたんです。僕も自分がこんなにも力があると思っていなくて、びっくりしました(笑)。

ISAAC

ISAAC

DIEN でも、ISAACは優しいですよ。僕がちょっとしんどそうだと察したときは、何も言わずに寄り添ってくれます。

AKIRA 僕はISAACから一番オーラを感じる。存在感が心強いんですよ。

本物を見るまで信じません

──皆さんは、シングル「overture~the blue wave」を9月18日に配信リリースして念願のデビューを果たしました。夢を叶えた今の気持ちを教えてください。

RIKU でもまだ、実感がないんです。本当はまだデビューしていないのかも(笑)。

──皆さんはどうでしょう? 実感があんまりないという人は?

一同 はい!(挙手する)

──まだファンの皆さんに会えていないし(取材は11月上旬に実施)、デジタルでのリリースだと実感を得るのは難しいのかもしれませんね。でも、11月27日に1st EP「prelude~the brilliant blue」がリリースされます。CDという形でリリースされれば、実感が湧くのではないでしょうか。

SAERON 僕がアイドルとして夢見ていたことの1つが、CDリリースなんです。もうすぐこの夢が叶うので、ワクワクしています。想像するだけでもうれしい。フォトカードとかブックレットとか早く見たいし、僕も欲しい!

SAERON

SAERON

──まだ皆さんは現物を見てないんですね。

RIKU 僕は本物を見るまで、CDが出るって信じません(笑)。

海中3部作で表現したいこと

──では、1st EP「prelude~the brilliant blue」について伺います。プレデビュー時から作品に「prologue(序章)」「overture(序曲)」「prelude(前奏曲)」と前置きがありますが、どういったコンセプトでしょうか?

RIKU 「prologue~the deepest blue」から“海中3部作”というコンセプトを掲げています。2作目にあたるデビュー作「overture~the blue wave」を経て、3作目は楽曲ではなく、EPそのものが完結編になっています。ミュージックビデオも、1作目の「prologue~the deepest blue」は深海にいますが、2作目の「overture~the blue wave」、3作目の「prelude~the brilliant blue」で徐々に水深が上がっていく。曲も映像も写真も、すべてが連動したコンセプトになっています。

RIKU

RIKU

──「prelude~the brilliant blue」にはスキットやモノローグなどのトークパートが入ってるのも面白いですね。

AKIRA 制作チームには「今この瞬間のKJRGLの雰囲気を収めたい」と言われました。「自分たちの声を取り戻す」というコンセプトのグループなので、3カ国語を母語に持つ僕らがどんなコミュニケーション取って、どうやってひとつになっていくのかを表現したいって。

──そうなんですね。ちなみに、皆さんは実際にどうやってコミュニケーションを取っているのですか?

ISAAC 日本人メンバーは韓国語、韓国人メンバーは日本語を勉強中です。今は韓国語ができるRIKUがコミュニケーションのハブを担っています。