清竜人による2つのプロジェクト、清 竜人25と清 竜人TOWNがこの夏、立て続けに幕を下ろした。
“一夫多妻制”アイドルユニット・清 竜人25は、千葉・幕張イベントホールでの解散コンサート「ラスト♡コンサート」でおよそ3年におよんだ活動に終止符を打ち、幸せな余韻を残してステージを去った。一方、清 竜人TOWNは観客と演者の垣根を完全に取り払った豪快なパフォーマンスを繰り広げ、わずか12回のライブで解散。どちらも短い活動期間ながら、音楽シーンに大いなる刺激を与えた。
9月20日には清 竜人25の解散コンサートを収めたBlu-ray&DVD「ラスト♡コンサート@幕張メッセイベントホール」と、清 竜人TOWN唯一の作品となる「TOWN」が同時リリースされた。音楽ナタリーでは、ひさびさに個人名義での音楽活動に戻った清竜人にインタビューを行い、2つのプロジェクトについて振り返ってもらった。
取材・文・ライブ撮影 / 臼杵成晃
スケベなことしか考えてなかった
──清 竜人25とTOWNが終わって間もなく、どこかを旅しているであろう様子をTwitterにたびたびアップしてましたよね。あれ、なんだったんですか?
特になんでもないんですけど……6月17日に25が終わって、TOWNも7月11日にファイナルを迎えて、もろもろの作業が7月いっぱいでまとまったんで、12月頭のツアー(参照:清竜人の4年ぶり弾き語りツアー、追加公演は日本青年館で)までは何もやることがなかったんですよ。ちょっとした打ち合わせなどはあったけど、基本的にはお休みなんで、家にいてもやることはないし、ちょっとプラプラしてみようと。
──どこをプラプラしてたんですか?
なんとなく日本列島を縦断した感じですね。
──何か得るものはありました?
そういうのは全然なかったです。スケベなことしか考えてなかった(笑)。スケベ旅行。何かを吸収したわけではないし、次につながる何かに関係するものでもない。
清 竜人25にスピンオフは必要ない
──今回は改めて、清 竜人25とは、そしてTOWNとはなんだったのかを振り返っていただきたいと思います。25のラストコンサート(参照:清 竜人25、夢でも現実でもない3年間のラブストーリーの結末)は、清さん自身にもグッとくるところがあったんじゃないかなと。
そうですね、うん。約3年間活動してきて、メンバーそれぞれ思うところはあったと思いますけど、僕はメンバーとしてもそうですし、プロデューサーとしての立ち位置もあって。表と裏のどちらも知っている唯一の人間なので、いろいろと感慨深いところはありましたね。
──解散の直前にはよく夫人たちに「私たちがいなくなったら寂しくなるよ」って言われてましたよね(参照:清 竜人25ラストインタビュー 幸せな夫婦が、ここにいた。)。実際に離れてみてどうでしょう。寂しく感じますか?
まっっったくないです。憑き物が落ちたような(笑)。
──あはははは(笑)。あの頃を懐かしく愛おしく思うようなことは……。
一切ないですね。いやホント、すごい開放感で、知らないうちにちょっと小走りしてるぐらいの(笑)。一緒にいるのが嫌だったわけじゃなくて、たぶん気を張ってたんでしょうね。無意識のうちに。ある種「メンバーを養わなければならない」という気持ちもあったし、自分に適した仕事のペース感ではなかったので。今はやっと自分のペースに戻れたと言うか。
──夫人たちのうち咲乃さん、亜美さん、可恩さんの3人がそれぞれの道で活動を再開しています。最初にソロ活動を始めた亜美さんは25時代からの飲んべえキャラを生かした仕事が好評で(参照:清 竜人25の第3夫人・清亜美、ソロ名義で活動スタート)、可恩さんは25加入以前からのバンド活動を再開させました(参照:清 竜人25の第6夫人・可恩、バンドで再始動)。咲乃さんについては、まさか25からYouTuberが出てくるとは予想外でしたが(参照:清 竜人25の第1夫人・清咲乃がYouTuberに!姓を改め再出発)。
彼女(咲乃)はそこまで芸能界に執着した感じでもなかったし、ちょうどいい塩梅の落としどころだったんじゃないですかね。Twitterとかでもあえてメンバーとは交流しないようにしてるんですけど……僕はある種、清 竜人25の世界観の創造主なわけですよ。物語の作り手としては、最後はきちんとページを閉じたかったので、自分でその幕引きをしたからには、以降まったく別の世界線でいたいという気持ちが僕には強くあって。スピンオフは必要ないかなと。
──解散コンサートは、3年間で作り上げたすべてのレパートリーを披露したあと、25結成以前のソロ楽曲「ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング」で締めくくるという構成でした。突飛なものだと思っていた25の世界観がそれ結成以前の楽曲となめらかにつながることで、パラレルワールドが閉じていくような感覚に陥りました。本当に見事な幕引きだったので、あのイチャイチャが見られないのが寂しくはあるものの、スピンオフを必要としない潔さにも納得がいきます。
ええ。引き際、散り様はよかったんじゃないかなと思います。
ただのパスティーシュではない青春パンクを
──一方、TOWNは25解散発表からラストコンサートまでの約半年間を並走させるような形でスタートしました。一旦25の幕引きをしたあとで始める流れでもよかったんじゃないかと思うのですが、なぜあのタイミングで?
もともと25は長く続けるつもりはなかったし、1年ぐらいでまた別のことがやりたくなるだろうと思ってたんですけど、1枚目のアルバム「PROPOSE」(2015年9月発売)が完成したとき、25で表現したかったことにはまだ少し足りないなあと感じたんです。そのあと、解散までの流れを考えたら3年コースになるだろうなと計算して、そこまでは待ってられないからどこかのタイミングで新しい流れを始めてしまおうと。両方が相乗効果で盛り上がるように、並行してプロジェクトが成り立つと面白いかなと思ったんです。それに、TOWNで考えていたことは、一夫多妻制アイドルの25と並行してやるとより面白くなるんじゃないかと思って。
──25の活動期には一度ソロでのライブもやりましたよね(参照:清 竜人25、予想外の発表も飛び出したバースデーパーティ)。ソロを並行させようとは考えなかったんですか?
そういう気分にはならなかったんですよね。
──TOWNは音楽的にパンクの形態でしたが、現状ソロでの最新アルバムである「WORK」のラストは短いパンクナンバー「I Don't Understand」でした。当時のインタビュー(参照:清竜人「WORK」インタビュー)で「スリーピースバンドみたいな音もゆくゆくはやってみたい」という発言があったので、最初にTOWNを聴いたときは真っ先にその発言を思い出しました。
ええ。そこに気付いてくれている方もちらほらいるみたいですけど、ちゃんとつながってるし、つなげてるんです。
──ただ、TOWNを聴いたあとで「I Don't Understand」を聴くと、まだ全然音楽的だなと思いましたけど(笑)。
あははは(笑)。そうですね。打ち込みとかも入ってるし。
──あの伏線を回収しながら、音楽的にもビジュアル的にもよりコアにパンクを追求したのがTOWNなのかなと。
いろんな要素が合わさって修練してこうなったという感じなんですけど……どこかのタイミングで、スタイリッシュなパンクではない、日本独特の青春パンクみたいなのがやりたいなと思ってたんです。でも今さら単純にシンプルな形で青春パンクをやってもただのパスティーシュなんで、面白い形でできたらいいなと考えていたのが心の片隅にあって。それとは別に、25をやりつつ次のプロジェクトをと考えていたとき「ライブアルバムを出したい」というアイデアもあって、それが青春パンクとうまく結び付いたんですよね。単に青春パンクのライブアルバムを作ってもしょうがないし、そもそもライブってなんだろうと哲学的に考え始めて。少しずつアイデアを詰めていった結果、TOWNになったんです。
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TOWNは同業者に向けてのメッセージでもある
- 清 竜人TOWN「TOWN」
- 2017年9月20日発売 / TOY'S FACTORY
-
初回限定盤 [2CD+DVD]
7020円 / TFCC-86622 -
通常盤 [2CD]
3240円 / TFCC-86623
- DISC 1:TOWN LIVE RECORDING
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- TOWN
- それでいい!それがいい!
- 俺の街まで来いよ!
- やりたくないぜ!
- 青春
- I Don't Know! I Don't Care!
- 縮んでどこにもありゃしない!
- 糞小便の歌
- おい!ハゲ!ボケ!カス!
- 大丈夫!大丈夫さ!
- ケツの穴ちっちゃいね!
- ほどほどに生きましょう!
- DISC 2:配信音源
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- TOWN
- それでいい!それがいい!
- 俺の街まで来いよ!
- やりたくないぜ!
- 青春
- I Don't Know! I Don't Care!
- 縮んでどこにもありゃしない!
- 糞小便の歌
- おい!ハゲ!ボケ!カス!
- 大丈夫!大丈夫さ!
- ケツの穴ちっちゃいね!
- ほどほどに生きましょう!
- DISC 3(初回限定盤のみ)
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DVD:TOWNドキュメンタリー映像(約120分)
- 清 竜人25「ラスト♡コンサート@幕張メッセイベントホール」
- 2017年9月20日発売 / TOY'S FACTORY
-
完全限定生産盤
[Blu-ray Disc+2DVD]
9720円 / PPTF-7015
- 収録曲
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- Will♡You♡Marry♡Me?
- ラブ♡ボクシング
- どうしようもないよ...
- Call♡Me♡Baby
- アバンチュールしようよ♡
- プリ~ズ...マイ...ダ~リン♡
- Sundayはわたしのモノ♡
- マリッジブルーを抱きしめて♡
- やっぱりWifeがNo.1♪
- Christmas♡Symphony
- Coupling♡
- ねえねえ...
- The♡Birthday♡Surprise
- 鬼の目にもナ♡ミ♡ダ♡
- キネマトグラフを♡ / 清竜人&清咲乃
- I Love Youはあなただけ♡ / 清竜人&清亜美
- まるで嘘のように...♡ / 清竜人&清美咲
- 譲れない...In My Heart...♡ / 清竜人&清可恩
- My Lovely♡ / 清竜人&清優華
- アカシック♡レコード
- ハードボイルドに愛してやるぜ♡
- 天上天下唯我独尊
- My Girls♡
- Mr.PLAY BOY...♡
- A・B・Cじゃグッと来ない!!
- マイ♡ワイフ♡イズ♡アイドル
- 逢いたいYO~♪
- 誓いのワルツ
- 25♡
- 愛してる♡キスしたい♡Hしたい♡
- LOVE&WIFE&PEACE♡
- ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング
- KIYOSHI RYUJIN SOLO TOUR
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- 2017年12月1日(金)東京都 めぐろパーシモンホール
- 2017年12月7日(木)京都府 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
- 2017年12月8日(金)愛知県 千種文化小劇場(ちくさ座)
- 2017年12月19日(火)東京都 日本青年館ホール
- 清竜人(キヨシリュウジン)
- 1989年生まれ、大阪府出身の男性シンガーソングライター。15歳でギターを手にし、作曲を始める。16歳のときには早くも自主制作盤を発表し、そのクオリティの高さが音楽関係者の間で話題となった。2006年には「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2006」でグランプリを受賞し、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2006」に出演を果たす。映画「僕の彼女はサイボーグ」への挿入歌提供を経て、2009年3月にシングル「Morning Sun」でメジャーデビュー。その後もシングル、アルバムを精力的にリリースし、2012年5月には曲ごとに異なるアレンジャーとエンジニアを招いた4thアルバム「MUSIC」、2013年2月には自宅録音による弾き語り楽曲のみを収めた5thアルバム「KIYOSHI RYUJIN」をツアーとの連動作品として発表した。同年10月には6thアルバム「WORK」をリリース。その後2014年9月から2017年6月にかけては“一夫多妻制”アイドルユニット・清 竜人25として活動。およそ3年におよぶプロジェクトで6枚のシングルと2枚のアルバム、合計31曲のオリジナルソングを作り上げた。清 竜人25と並行し、2016年12月に立ち上げたプロジェクト・TOWNでは「演者と観客との境界線を取り払う」というコンセプトのもと、公募によるメンバーや観客を巻き込んでのライブを敢行し、合計12回のライブをもって2017年7月に解散。2017年9月に清 竜人25の解散コンサートを収めたライブBlu-ray+DVD「ラスト♡コンサート@幕張メッセイベントホール」、TOWNの活動を記録したライブアルバム+ドキュメンタリーDVD「TOWN」が同時リリースされた。12月にはひさびさのソロツアー「KIYOSHI RYUJIN SOLO TOUR」を行う。