ナタリー PowerPush - 清竜人
無骨なポップ職人の緻密な“仕事”
今後を示唆する“わかりません”
──さまざまなサウンドがうまく収まったアルバムの中で、ラストの「I Don't Understand」だけは質感としてボッコリ浮いてる感じがあるんですけど（笑）、これは……？
最後の曲にしたら潔いかなあと（笑）。スリーピースバンドみたいな音もゆくゆくはやってみたいなと思ってて。今後の流れを踏まえても、こういう曲を最後に入れておきたかったんです。
──タイトルも「わかりません」ですからね（笑）。緻密に作りこまれた9曲目までの世界観を、最後の最後に放り投げるような感覚すらあって。
この先への布石じゃないですけど、そういう意味合いも含めて。いつも最後の曲はなんとなーく、次のことを考えたものにしてたりするんで。
──ということは、「MUSIC」が活動初期からの構想であったように、この構想についても二手三手先まで考えている？
いや、そこまでは考えてないですよ。でも……いつもアルバムを作るときはギューッと集中しすぎちゃうんで、できあがる頃には「もう聴きたくない、音楽なんていらない」って気持ちになるんですけど、今回は「WORK」というコンセプトもあってか、いい距離感で制作に向かえたというか。どっぷりではなく、ある意味あっさりと作れたんで、次またすぐに何かやりたいなって気分がありますね。
──ことさらあっさりと話されてますけど、このアルバムっていわゆる傑作の類いだと思うんですよ。才能あるアーティストがさらに経験値を積んだからこそ生まれた傑作で、ご本人としても自信は相当あるんじゃないかと思うんです。
もちろん今までも自分自身納得できる作品を出してきましたけど、今回は本当に一歩引いた目線でアルバム作りができたので、これまでとは違った充実感はありますね。
最近は西野カナちゃんばかり聴いてます
──これまでも楽曲のクオリティは高く評価されていましたけど、このアルバムが出ることで、アーティスト清竜人とは別に、作詞・作曲・編曲に秀でたクリエイターとしての一面がさらに注目されるんじゃないかと思います。過去には堀江由衣さんに曲を提供していますが、そういった作家仕事の依頼も増えるんじゃないかと。
どうなんでしょうね。最近は家で1人で緻密に作り込む作業が楽しくなってきましたけど、昔はすごく苦手だったんです。それこそ仲間とバンドでジャーンと鳴らしたほうが早いというか。自分の中でも少しずつモードとしてシフトしてる感じはあります。
──連綿と続く“ポップ職人”の系譜の末端が今ここなのかなと。歴代ポップ職人の中でも異色のビジュアルですけど（笑）。
いや、単純に今年の夏は暑かったんで。短くしようかなって。
──いろいろ極端ですよ（笑）。リリースごとに見た目が大きく変わりすぎて。ここまでビジュアルイメージが固定されていない人も珍しいですよね。単純に飽き症だから？
そうですね。気分転換に髪型変えるっつうのはあります。
──では最後に余談ですけど、最近の日本の音楽でよく聴いてるもの、これはすごいと思った作品はありますか？
最近は西野カナちゃんばかり聴いてますね。楽曲自体もよくできてるし、本人のパワーもすごくて。歌詞を読んでいても興味深いんですよね。
収録曲
- Zipangu
- Katie
- All My Life
- LOVE & PEACE
- UNDER
- The Movement
- Microphone is…
- Championship
- Disclosure
- I Don't Understand
清 竜人 "WORK" TOUR
- 2013年12月2日（月）大阪府 大阪BIG CAT
- 2013年12月4日（水）愛知県 名古屋BOTTOM LINE
- 2013年12月6日（金）東京都 SHIBUYA-AX
OPEN 18:00 / START 19:00
チケット前売価格：5000円（税込）
チケット一般発売：10月26日（土）10:00～
※開場・開演時刻、チケット前売価格、発売日ともに全公演共通となります。
清竜人（きよしりゅうじん）
1989年生まれ、大阪府出身の男性シンガーソングライター。15歳でギターを手にし、作曲を始める。16歳のときには早くも自主制作盤を発表。そのクオリティの高さが音楽関係者の間で話題となる。2006年には「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2006」でグランプリを受賞し、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2006」に出演を果たす。映画「僕の彼女はサイボーグ」への挿入歌提供を経て、2009年3月にシングル「Morning Sun」でメジャーデビュー。同月発売の1stアルバム「PHILOSOPHY」では、自身の持つ音楽性の幅広さを証明した。その後もシングル、アルバムを精力的にリリースし、2012年5月には曲ごとに異なるアレンジャーとエンジニアを招いた4thアルバム「MUSIC」、2013年2月には自宅録音による弾き語り楽曲のみを収めた5thアルバム「KIYOSHI RYUJIN」をツアーとの連動作品として発表した。同年10月には6thアルバム「WORK」がリリース。12月には東名阪3都市で「清 竜人 "WORK" TOUR」を行う。
