音楽ナタリー PowerPush - 忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM~#1 入門編~
本物のロックスター、スクリーンで蘇る クリープハイプ、KANA-BOONから見たキヨシロー
忌野清志郎の映画「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM ~#1 入門編~」が、2月10日より全国の劇場で公開される。
この映画は「忌野清志郎完全復活プロジェクト」の一環として制作されたもの。「#1」が公開されたのち、「#2」「#3」と続編も予定されている。第1弾の「#1 入門編」は1980年代から2008年2月に日本武道館で行われた「完全復活祭」まで、さまざまな時代の清志郎のライブ映像で構成されたもの。「よォーこそ」や「デイ・ドリーム・ビリーバー」、「スローバラード」といった「入門編」にふさわしい名曲のパフォーマンスをたっぷりと味わうことができる。
この映画の公開を記念して2月1日にはスペースシャワーTVで特別番組「『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM~#1入門編~』公開記念SPECIAL」が放送された。番組では映画の映像が一部公開されたほか、映画の監督を務めた太田旬のインタビューや曽我部恵一、OKAMOTO'Sのオカモトコウキらのコメント動画をオンエアし映画の魅力が伝えられた。今回ナタリーではその中から、クリープハイプ(尾崎世界観、長谷川カオナシ)、KANA-BOONの2組のインタビューを紹介する。リアルタイムで清志郎やRCサクセションと出会わなかった彼らが、忌野清志郎という人物をどう見ているのか。番組では放送されなかった部分も盛り込んだこのテキストから、清志郎やこの映画の魅力を感じ取ってほしい。
取材 / 村尾輝忠 文・構成 / 小林千絵 インタビュー撮影 / 佐藤類
「ロックンロールスター」って聞いて思い浮かべる像と似ていた
──お2人が清志郎さんを知ったのはいつですか?
尾崎世界観(Vo, G) 中学生くらいのときですね。テレビで観たのが最初で、見た目のインパクトがすごいなという印象でした。
──そのあと作品を聴いたりはしましたか?
尾崎 CDで「ぼくの好きな先生」という曲を聴いたときに「自分が小学生のときにすごい好きだった図工の先生のことを歌ってる!」って思いました。それくらい似ていたんです。
──曲を知ったのはリアルタイムではなかったと思うんですが、古さみたいなものは感じませんでしたか?
尾崎 なかったですね。まあ流行ってる音楽と違うなとは思いましたけど、古さは感じなかったです。
──長谷川さんはいつ清志郎さんを知りました?
長谷川カオナシ(B) 大学生のときに先輩に教えてもらって知りました。
──どういう印象でした?
長谷川 「ロックンロールスター」って聞いて思い浮かべる像と、清志郎さんが似ていました。見た目もすごくインパクトがあるし、歌声も一発で清志郎さんってわかるし。
──好きな曲はありますか?
長谷川 先輩から借りて聴いたCDの中に「人間のクズ」という曲があって。僕は自分で音楽のプレイリストを作るんですけど、「負けないぞ」っていうときに聴くプレイリストにこの曲を入れさせてもらって、よく元気付けてもらってます。大好きな曲です。最後に子供たちのコーラスで「クズクズクズ」って入ってるんですけど、その皮肉がいいですよね。あとはつらかったことをコメディタッチにして、リスナーを励ましてくれるという、その感じを見習いたいなと思います。
すごく大きくて、包まれる感じ
──映画「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM ~#1 入門編~」の感想を教えてください。
尾崎 いろんな時代の清志郎さんが観れて、でもやってることはずっと変わらないし、ぶれてなくて。すごくカッコいいなって思いました。自分も音楽活動を長く続けていきたいなと思ってるので、すごく刺激になります。
長谷川 自分が生まれる前のライブ映像から、2000年代の映像まであって。僕は生で清志郎さんのライブを観たことがなかったので、大変貴重なものを観たなと思いました。いろんな年齢の清志郎さんが登場していましたけど、歌ってることはずっと変わっていないし、その芯みたいなものを感じられたのがよかったですね。
──印象に残ったシーンを教えてください。
尾崎 曲の途中に、清志郎さんがCHABO(仲井戸麗市 / G)さんのところに行って何かしゃべってるシーンがあって。何を言ってるかはわからないんですけど、そこがよかったですね。ずっと一緒にやってきて、それでもライブ中に話しかけたりするっていう感覚がすごくいいなと。
長谷川 僕はRCサクセション時代のレコーディングのシーンです。もしかしたら素の姿なのかもしれないですけど、ポーズを取るなどカメラにサービスをしていて、スターだなと思いました。常にエンタテイナーなんだなと思います。
尾崎 俺らにはそういうのないもんね(笑)。
──印象的だった曲はありますか?
尾崎 「世界中の人に自慢したいよ」。この曲、ビデオクリップもすごく好きなんですけど、映画でもカッコよかったですね。
長谷川 ジョン・レノンの「Imagine」のカバー(「イマジン」)をこの映画で初めて観たんですけど、「You may」を「夢」と歌っていたりとか、ちゃんと清志郎さんの「イマジン」になっていて、それが印象的でした。
──ほかのアーティストにはない、清志郎さんならではの魅力ってなんだと思いますか?
尾崎 やってることが広いなと思います。すごく大きくて、包まれる感じがする。こっちも包まれようとするし。ほかにそう思わされるアーティストってなかなかいないですね。
次のページ » 大事なのは誰にでもちゃんと伝わること
- Contents Index
- クリープハイプ インタビュー
- KANA-BOON インタビュー
- 映画「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM ~#1 入門編~」2015年2月10日全国一斉公開
- 「忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM ~#1 入門編~」
忌野清志郎。キヨシロー。ボス。キング。ゴッド。ソウル・ブラザー・ナンバー2。
不世出のバンドマンであり、ソウル・シンガーであり、日本のロック・シーンを変えたあの男が、スクリーンという名のライブハウスに帰ってくる!
ド派手なメイク、心に痛烈に突き刺さる歌声、一度でも見たら決して忘れられなくなる強烈な存在感。清志郎は、聞く者を熱狂させ、笑わせ、泣かせ、突き放し、さびしさに寄り添い、他にたとえようのない力や予想もつかない方法で励ましてきた。RCサクセションを率いて1970年にデビューして以来、40年にわたって送り出した数えきれないほどの名曲群とともに、その魅力のすべてを余すところなく伝えるべく、大迫力の映像とサウンドで伝えるフィルム・アーカイブ・シリーズ第一弾がついに公開される。
「雨あがりの夜空に」「トランジスタ・ラジオ」「君が僕を知ってる」「デイ・ドリーム・ビリーバー」「JUMP」……。「入門編」を銘打った第一弾では、RC~ソロとしての清志郎のキャリアを代表するあの曲やあの曲がずらりとセレクトされた。ホームグラウンドとした日本武道館や日比谷野外音楽堂での選りすぐりの名演や、1984年の西武球場や、2008年の「完全復活祭」といった伝説のライブ、ブッカー・T&ザ・MG'sやBLOCK HEADSといった海外の強者バンドとの共演映像、本邦初公開の貴重なシーンなどをミックスした2時間のパフォーマンスは、まるで1本のコンサートを観ているようで、1人のバンドマンとしての清志郎のカッコよさを、時空を超えてダイレクトに伝えてくれる。清志郎の魅力をわかりやすくひもとく「入門編」であると同時に、長年のファンをも興奮させる瞬間が隅々まで詰まっているのだ。
今、この時代に清志郎が足りない。もっと清志郎が必要だ。名曲「よォーこそ」でずっと歌ってきたように、未来のためにこれからも「聞かせたい歌がたくさんあるのさ!」
監督:太田旬
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
クリープハイプ
尾崎世界観(Vo, G)、長谷川カオナシ(B)、小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)からなる4人組バンド。2001年に結成し、2009年に現メンバーで活動を開始する。2012年4月にアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」をメジャーレーベルからリリースし、同年10月に発表した1stシングル「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」がオリコンCDシングル週間ランキングで初週7位にランクイン。2013年5月の3rdシングル「憂、燦々(ゆう、さんさん)」は資生堂「アネッサ」のCMソングに採用された。2014年12月に3rdアルバム「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」をリリースした。