2022年4月、同じ事務所に所属するアンスリュームのライバルグループとしてデビューしたキングサリ。「生きる / 活きる / イキる / 熱きる / 射切る」という5つの“いきる” をコンセプトに掲げる彼女たちは、ジャンルにとらわれない自由度の高い音楽性、ライブパフォーマンスを武器に精力的に活動を展開している。メンバー自ら振付やグッズのデザインを手がけるなど、クリエイティブな志向を持ったグループだ。
音楽ナタリーでは、9月11日にミニアルバム「UTOPIA」をリリースしたキングサリにインタビュー。今年4月に加入した新メンバー神崎零、日女白りこの魅力、アルバム収録曲の聴きどころ、10月8日に東京・Spotify O-EASTで開催されるバンドセットワンマンライブへの意気込みなどを語ってもらった。
取材・文 / 川崎龍也撮影 / 藤木裕之
押したいところがありすぎる
──キングサリは「生きる、活きる、イキる、熱きる、射切る」という5つの“いきる”をコンセプトに活動しているとのことですが、グループが持つ強みについて皆さんは具体的にどのように捉えていますか?
村咲ちい メンバー1人ひとりが主役になれる個性豊かなところですね。
ネ兎ねう あと、バンドさんに楽曲を提供していただいていることもあって、バンドサウンドをバックにした激しいパフォーマンスが特徴です。
──これまで何度かライブを観させていただいたのですが、コンセプトに縛られずに自由にパフォーマンスをしている印象を受けました。
村咲 作曲家さんのこだわりがあふれている楽曲ばかりで。曲の振り幅が無限大なので、自分たちのいろいろな魅力を届けられるし、どんなジャンルでも歌いこなせると思っています。
ネ兎 いろんなタイプの曲をパフォーマンスしていますし、「キングサリのコンセプトって具体的になんですか?」と聞かれると「うーん」ってなることが多々あって。わかりやすい1つのコンセプトがあるほうがいいと思うんですけど、何を押し出すべきなのか……あまりにも押したいところがありすぎて自分たちでも迷っています。キングサリにはグッズデザインを担当しているメンバーもいるし、衣装も自分たちで考えているし。具体的にはデザイン班というデザインができるメンバーが数人いて、グループのロゴやTシャツのデザインをしてます。
──楽曲の振付は村咲ちいさんが担当されているそうですね。
ネ兎 お客さんと一緒に楽しめるような振りを作ってくれるんです。ちいちゃんの振付、めちゃくちゃ好きです。
村咲 私は高校のときにダンス部に所属していて、振付やフォーメーションを自分で考えていたんです。本格的なスキルも知識もないですが、いつかこの経験を活動に生かしたいなと思っていた中、前に所属していたグループで1回振付を作らせてもらって。キングサリに入ったあとも、自分がグループに貢献できるのは振付だなと思ったんです。デビューのときから振りを作らせてもらっていて、今までに11曲の振付を担当しました。
イメージと真逆な新メンバー2人
──今年の春から神崎零さんと日女白りこさんを新メンバーに迎えて活動していますが、新体制の手応えはいかがですか?
あやさ 役割が似ているメンバーが2人ずついるイメージです。私と零ちゃんがライブで勢いを付ける役割で、りこちゃんとえみるんは歌声が繊細な女神ポジション。ねうちゃんとちいちゃんはグループを土台から支えてくれるので、リーダーみたいな存在です。
栗原えみる そうかな?
ネ兎 うーん、あやさの見解でお願いします(笑)。
あやさ えええ(笑)。めっちゃわかりやすく言うと、クールタイプとアクティブタイプとキュートタイプです!
──役割がはっきりしているんですね。
あやさ はい。新体制になってから約半年が経って、はっきりしてきました。
──日女白さんと神崎さんは加入前、キングサリにどんなイメージを持っていました?
日女白りこ 私は昨年の「TIF」(アイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」)を配信で観ていたとき、たまたまキングサリのパフォーマンスを目にして。全員かわいいし、曲もカッコよくて、こんなに完璧なグループがあるんだと驚きました。その後お客さん目線でキングサリを見ていく中で、常に変化し続けている姿に惹かれて、新メンバーオーディションを受けました。
神崎零 私はもともとアイドルに詳しくなくて、加入のお話をいただくまでキングサリのことを知りませんでした。加入するにあたって、プロデューサーさんから「あえて過去のキングサリの映像を観ないでほしい」と言われたので、実際に活動を始めるまでどんなグループなのかわからなくて。ただ、「新しいキングサリのキーパーソンになってほしい」とも言われているので、ほかのメンバーとは違う、私ならではの泥臭い魅力を出せるようにがんばっています。
──4月に行われた新体制お披露目ライブはいかがでしたか?(参照:キングサリ、新体制お披露目ライブで堂々たるパフォーマンス!バンドセット公演など発表続々)
神崎 ライブまでの準備期間が20日間くらいしかなくて、けっこう大変でした。
日女白 めちゃくちゃ詰め込んだよね。
神崎 もう違う世界に行きそうでした(笑)。
ネ兎 でも、新メンバー2人とも立派にステージに立ってましたよ。
日女白 ホントですか? ガチガチでした。
栗原 いやいや、そんなことない(笑)。うちのほうが緊張で吐きそうでした。どのライブでも吐きそうになってるんですけど、2人のデビューライブのときは特に緊張してたかも。
ネ兎 ファンの方から「ぴったりな子が見つかってよかったね」と言われました。新体制になるときってマイナスな意見がつきものだと思うんですけど、今回に関してはほとんど聞きませんでした。それはひとえに短期間でがんばってくれた2人のおかげですし、キングサリに入ってくれてよかったです。
栗原 天然ポンコツちゃんな面もありますけど(笑)。靴を右足だけ2つ持ってきたのがホントに面白すぎて。
日女白 愛知に遠征した日にヒールの高さが違う靴を右足だけ持ってきてしまって。めちゃくちゃ詰みました……。
あやさ いつも冷静な感じなので、あのときの慌てっぷりが愛おしかったです(笑)。ヨシヨシっていう気持ちで見守っていました。零ちゃんはライブでは「いくぜお前ら!」みたいなイケメンポジなのに、実は一番乙女なんです。
栗原 最初はりこがふんわり系で、零がズバズバ言うタイプなのかと思ったら真逆で。最初のイメージと違いましたね。でもそれはそれでめっちゃいいなと思ってます。
村咲 りこちゃんは華奢でお顔がよすぎて、最初に会ったときは「うわあ、アイドルだなあ」「かわいくて真面目だなあ」という印象だったんですけど、一緒に過ごしていく中で、ちゃんと芯があってカッコいいと思うようになりました。何よりも歌声が素晴らしくて、ずっと聴いていたいと思う唯一無二の声を持っています。零ちゃんは「こんな子が新メンバーとして入ってきてくれたら最高だな」という願望にドンピシャな子で。仲よくなるにつれて、天然でかわいらしい性格が見えてきました。でもライブでの煽りやパフォーマンスはカッコよくて、見惚れちゃいます。同じメンバーの私たちも楽しくなっちゃうくらい盛り上げてくれます。
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私たちの理想が詰まったアルバム