バンド編成でライブパフォーマンスをしたい

──西中島きなこ名義の活動では、今春にアーティスト名はそのままに、西中島さんに代わってライブに出るメンバーとして関東在住の女性2名が加入しました。しかし6月には新メンバーが卒業し、その活動体制は終了となりました。西中島さんはTwitterで「ライブはボクが自分でやらないと意味がないと思うので、機会があれば何か出ます」とコメントされていますが、その言葉の意図とは？

なかなかライブ活動ができない僕の代わりに、関東在住の女性2人が「西中島きなこ新体制メンバー」としてライブ限定の活動を始めてくれたのですが、スタッフから「それって本当に西中島さんのリスナーが求めているライブ活動なの？」と言われまして、僕なりにいろいろと考えてみたんです。実際、ライブ会場に僕のリスナーさんが足を運ぶことはなかったようですし、ライブの内容も僕が目指している方向性とは違ったので、申し訳ないですが終了に至りました。

──今後は西中島さん自身も積極的にライブを行っていきたい気持ちもあるのでしょうか？ またライブではどのような表現をしたいですか？

条件面やタイミングがあえば積極的にライブを行っていきたいです。でも、ボーカルは繊細な表現ができる女性にお任せしたいと考えています。もともと僕はバンドをやっていたので、ライブではドラマーやベーシストをサポートメンバーに迎えてパフォーマンスする方向が理想です。この場を借りてメンバー募集をしてもいいなら、プレイヤーと、楽曲に参加したい女性ボーカリストを募集させてください。お問い合わせはコチラ（西中島きなこ | お問い合わせ）。

定額の配信サービスなら自分の楽曲を届けられる可能性を感じた

──8月1日発表の「トリップする男女」を皮切りに、毎週水曜日に新曲や既発曲のリマスタリングバージョンをSpotifyやApple Musicほかで配信する企画も始まりました。これはどのような思いから企画されたのですか？

今まで作ってきた自分の大切な自信作を無駄にしたくないという気持ちから始まった企画です。CDを買ったり、ダウンロードをしてまで音楽を聴かない人たちにも定額の配信サービスなら自分の楽曲を届けられる可能性を感じました。お試し感覚で聴いてもらえるだけでも僕はうれしいです。

──最近では井上陽水さんや松任谷由実さんの楽曲解禁も話題になりましたが、西中島さんはサブスクリプションサービスにどのような印象を持っていますか？

とてもポジティブに受け止めています。今は携帯電話やパソコンさえあれば簡単に音楽が楽しめる時代なので、少しでも僕に興味を持ってくれた人が手軽に作品を聴いてくれる環境はとてもありがたいです。あと、今年たくさんの音源を配信でリリースしている最大の理由は、やっぱりSpotifyやApple Musicの影響が大きいと思います。オリジナル曲が多くあってもCDにして流通に乗せるのはいろいろと大変な部分も多く、なかなかリリースへのモチベーションにはつながりませんでした。だけど配信なら手軽にアウトプットができるので、僕に合っているような気がしたんです。8月15日にリリースした配信アルバム「Grooming」なんて10年くらい前に完成していた曲だけを集めているにも関わらず、その中の楽曲をSpotifyさんが公式プレイリストに加えてくれました。そういったことも配信リリースへのモチベーションになっています。

──宅録で楽曲を制作することの多い西中島さんですが、今回配信される既発曲のリマスタリングバージョンはすべてスタジオの機材を使って信頼するエンジニアさんに仕上げていただいたそうですね。その理由と、エンジニアさんとの作業がどのようなものだったかを教えてください。

エンジニアの湯原大地さんとは10年くらい前にスタジオで出会いました。メンバーとしてライブに参加してもらったこともあります。リマスタリング音源では僕がミックスまでの作業を行い、全体の質感や音圧の微調整などは湯原さんに託しました。すでに配信されている音源と聴き比べてもらえれば、音の広がりなどの違いを楽しんでもらえると思います。

──9月12日に配信された「サマーナイトスムージー」はオカザえもんフレンズプロジェクトの一環として、963＋ふええくん＋西中島きなこ名義で制作されたものです。ポップなダンスナンバーに仕上がっていますが、この曲の制作エピソードを教えてください。

アイドルの963さんがボーカルをしてくれることが決まったとき、アレンジはふええくんに任せようと思いました。ふええくんとの出会いは数年前です。最新の洋楽から、大瀧詠一、ゆうゆ（岩井由紀子）、フリッパーズ・ギター、桜田淳子にも詳しい女の子はレアだったのですぐに興味を持ちました。作詞と作曲は僕が担当していますが、ふええくんのカラーが全面に出た楽曲になっています。

儚い歌モノを意識したソロ曲を今届けたい

──西中島さんが一連の配信曲の中で一番大事にしている曲が「調和と恵み（Remastered）」だそうですね。この曲は3月にタワーレコード限定でリリースされた楽曲のリマスタリングバージョンで、西中島さんがスカウトした一般女性がボーカルを務める楽曲です。自身が思うこの曲の魅力とは？

「調和と恵み」はもともとはインスト曲で、ボーカルの部分は鍵盤ハーモニカだったんです。人生の中で誰もが感じるセンチメンタルな部分を比較的キャッチーなサウンドでアウトプットできたのがよかったです。イラストレーターのつちもちしんじさんが描いてくれたジャケット絵もこの曲に合っているので、ぜひチェックしてください。

──「調和と恵み（Remastered）」をはじめ、西中島さんのソロプロジェクトの楽曲はメロウで繊細な印象です。コラボプロジェクトではポップな曲が多い印象だったのですが、このタイミングで改めてリスナーにメロウな曲を届けようと思ったのはなぜですか？

初期のユーミン、森田童子さん、Simon & Garfunkelなどの歌モノに強い影響を受けてきた僕にとって、ソロでアウトプットする楽曲は基本的に儚い歌モノを意識しています。自分が最も好きな世界観を知ってもらえるタイミングとしては今がベストかなと思いました。

──SpotifyとApple Musicでの配信スケジュールは11月末まで公開されていますが、その後も続いていくのでしょうか？

まだすべての納品は完了していないのですが、2018年末、12月26日までは毎週シングルを配信リリースしていく予定です。もしかしたら来年も継続している可能性があるので、今後も毎週SpotifyやApple Musicのチェックお願いします。

──最後に、今後の展開や目標があれば教えてください。

2018年は僕の暮らす大阪でも地震や台風などの自然災害が次々と起こったので、今まで以上に普通の日常を大切にしたいという気持ちが強くなりました。ライブ活動は今後も難しいかも知れませんが、オファーは常に受け付けています。少しでも多くの方々に自分の作品を知ってもらえる機会が増えたら幸いです。