音楽ナタリー Power Push - 吉川友
ソロアイドルの流儀
ずっとアプガがうらやましかった
──最近では好きな楽曲のタイプも変わってきているように思います。
それはありますね。昔はモー娘。さんなどのアイドルらしい楽曲が好きだったんですけど、最近はカッコいい系のほうが好きで。先輩の後藤真希さんが歌うクールで大人っぽい楽曲が理想だということをスタッフさんに伝えて、「URAHARA テンプテーション」を作ってもらったという経緯もありますし。
──「URAHARA テンプテーション」は吉川さんのイメージを象徴した、かなり挑発的な楽曲ですよね。「跪くのよ」って歌詞がドスの効いた声で吉川さんから発せられると、ライブ中でもその場に平伏したくなります(笑)。
私の中では藤本美貴さんの「ロマンティック 浮かれモード」みたいに誰もが知ってる“神曲”と呼ばれるような楽曲になってくれたらいいなって思ってます。「跪くのよ」で全員が一斉にシャッと平伏すような(笑)。イントロを聴くだけでワーッて会場が震えるような曲にしていきたいです。
──露出度の高い衣装も相まって、この曲での吉川さんはSっ気全開の女王様キャラというイメージが強いです。ということも手伝って「URAHARA テンプテーション」=吉川友と結びつける人も多いのでは?
それまでのシングル曲では元気な前向きソングばかりだったので、今の私をそういう大人なイメージで見てくれているならとてもうれしいですね。
──確かにデビューからしばらくは明るい元気な曲が多かったですよね。でもそれは当初吉川さんが抱いていたご自身のイメージ通りの楽曲だったと思うんですよ。そして10代から20代になって、そのイメージにも徐々に変化が見えてきているということなのかなと。
その通りですね。今回のアルバム「YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~」がその象徴のような気がします。
──アルバムとしてはベスト盤の「Best Of YOU!」を挟んで、今作は2013年の2nd「Two YOU」以来、2年半ぶりのオリジナルアルバムになります。「Two YOU」と比べると、確かに大人っぽい楽曲が増えてますね。
今回はいろんな私を1枚に詰め込んだアルバムになってます。バラードや弾き語りで聴かせるような大人っぽい楽曲もありますし、デビュー当時のようなフレッシュさを感じられる楽曲もあります。
──やっぱり以前と比べても大人の恋や一歩踏み込んだ恋愛の歌詞がけっこう多くなってきてますね。
私ももう23歳になりましたから(笑)。
──アルバムを聴くと23歳というよりはもう少し年上の大人の女性というイメージを抱きます。23歳でここまで大人の世界観を表現できるのはある意味すごいなと。先ほどの「URAHARA テンプテーション」がアルバムの1曲目にあって、最初に女王様イメージを植え付けておきながら、甘い側面も徐々に見せていくという構成が面白かったです。別の顔が次々にあらわになっていくような。
「URAHARA テンプテーション」は、今の私の変化のターニングポイントとなった曲でもあるし、ひさしぶりにmichitomoさんに書いていただいた曲ということもあって、私の中でも特別な思いのある楽曲だったので1曲目に持ってきました。
──michitomoさんが生み出す楽曲は今の吉川さんとすごく相性がいいように思います。
私、ずっとアプガがうらやましくて。だってアプガの曲で私がいいなって思う曲を全部michitomoさんが作っていたんですよ。それがずっとうらやましくて、ご一緒したいなって思ってました。
──吉川さんからリクエストしてmichitomoさんに楽曲制作を依頼したんでしょうか?
リクエストはしてないんですけど、導かれるようにmichitomoさんが作ってくださることになって。そのときは本当にうれしかったです。
“吉川の一生”を歌った「WILDSTRAWBERRY」
──michitomoさんは吉川さんのことをどう思ってるんでしょうね。
先日、別の取材では「猫かぶってる」って言ってましたよ(笑)。最初は猫かぶってるんだけど、付き合っていくとだんだんと自分を見せていってくれるって。
──ある程度接していかないと自分を出せない? 壁を作ってしまうような。
そうなんです。どうしましょう。壁ドンです。
──いや、壁ドンの使い方がおそらく間違ってます(笑)。michitomoさんは今作で「URAHARA テンプテーション」のほかにも何曲か楽曲を手がけられていますが、その中でも今年の吉川さんの代表曲ともいえる「花」がアルバムの中でも存在感を示してます。
「花」は本当に私の中でも大きな存在になってます。17分もあってまずは大変だったという一言に尽きるんですけども。
──長尺というイメージが先行しちゃいますけど、曲調が何度も変わっていってとても難しい楽曲だなと。
これだけの長尺の歌ですから、最初は歌わないパートもけっこうあるのかなと思ってたんですよ。そう思いきや、途中でセリフもあったりして、ずっと口を動かしてるし、曲調もどんどん転調していくから経験したことのない難しさに直面して。でも苦手なはずの歌詞は自然と入ってきましたね。
──それは何かコツがあったんでしょうか?
「花」は歌詞カードに書いてある文字が小さいんですよ、長いから。あれを都度見るのはツラいってこともあってあまり見ないようにしました。その結果、自然と歌詞が頭に入ってきて覚えることができたのでよかったなと。リリースイベントのときも歌詞を飛ばすってことはあまりなかったと思います。
──曲調がガラッと変わるので気持ちの切り替えも難しい楽曲だと思うのですが。
曲の最中に衣装の早替えがありますし、気持ちとともに見た目も変化させるのはライブ中もけっこう大変で。でもほかに類を見ないことをやってるなってことで注目もしていただけましたし、がんばってよかったなって思います。
──そしてこの「花」の続編的な位置付けとなるのが新曲「WILDSTRAWBERRY」。これは吉川さん自身のことを表している楽曲と伺いました。
児玉雨子さんに歌詞を書いていただく際に、生まれてから現在までの人生を赤裸々に語らせていただいて。それをもとにした“吉川の一生”を歌った楽曲が「WILDSTRAWBERRY」です。これからもソロでがんばっていくという決意を歌った楽曲になってます。
──「花」が“女の一生”をテーマにしていたのに対して、新曲では吉川さん自身のこれまでの人生をテーマにしたと。
はい。私のこれまでの人生に加えて未来の私の理想も歌にしています。
──なるほど。ちなみに「WILDSTRAWBERRY」ってどういう意味なんですか?
文字通り“ワイルド”な“ストロベリー”です。野イチゴちゃんですよ、野イチゴちゃん!
──そう言われるとかわいらしいイメージが先行しちゃうんですけど、吉川さんの場合だと、もっと野性的なものを想像しちゃいます。
私としては衣装がヒョウ柄やサンバのダンサー風だったり、ステージではワイルドに着飾っていたりするけど、心はイチゴのように甘くて繊細ですよってことを表現したタイトルなのかなって思ってます。
──でも不思議と吉川さんに合いますね。
「今の吉川はこうです!」って説明するときは、この楽曲を聴いてもらうのが一番だと思います。
──それ以外にもアルバムには「アカネディスコ」「プラネタリウム」などの新曲が収録されていて、とても楽曲のバランス感が絶妙だなと感じました。吉川さんとしても自信作ができたんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう?
酸いも甘いもこの1枚で味わっていただけるようなものに仕上がったと思います。本当に自信作です。何回も繰り返し聴きたくなるようなアルバムになっているんじゃないかと。
──「花」のボリューム感もそうですけど、吉川さんの楽曲はすべてが濃密ですよね。1曲の世界観がとても濃いように思います。
以前と比べて声質も変わってきましたし、自分で聴いてても成長したなって思えるところがたくさんあって。これまでのアルバムの中でも本当に濃い内容のものが作れたなと思ってます。
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- 3rdアルバム「YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~」 / 2015年10月14日発売 / アップフロントワークス
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 4000円 / POCS-9104
- 通常盤 [CD] / 3000円 / POCS-1366
CD収録曲
- URAHARA テンプテーション
- アカネディスコ
- 「すき」の数え方
- あまいメロディー
- プラネタリウム
- いいじゃん
- こんな愛しちゃ
- 花
- WILDSTRAWBERRY
- Stairways
初回限定盤DVD収録内容
- WILDSTRAWBERRY(MUSIC VIDEO)
- WILDSTRAWBERRY(メイキング映像)
- 吉川友 初の台湾公演!ゆるゆるドキュメンタリー
吉川友 2015秋TOUR ~WILDSTRAWBERRYを召し上がれ~
- 2015年10月24日(土)北海道 MESSE HALL
- [第1回] START 13:30
[第2回] START 17:00 - 2015年10月31日(土)東京都 AKIBAカルチャーズ劇場
- [トークイベント] START 13:00
[第1回] START 16:00
[第2回] START 19:00 - 2015年11月14日(土)大阪府 心斎橋CLUB DROP
- [第1回] START 13:30
[第2回] START 17:00 - 2015年11月15日(日)愛知県 名古屋ライブホールM.I.D
- [第1回] START 13:30
[第2回] START 17:00 - 2015年11月29日(日)福岡県 VIVRE HALL
- [第1回] START 13:30
[第2回] START 17:00
吉川友(キッカワユウ)
2007年よりハロー!プロジェクトの研修生・ハロプロエッグとして活動をスタート。2008年には久住小春、北原沙弥香とともにテレビ東京系テレビアニメ「きらりん☆レボリューション」内のユニット・MilkyWayのメンバーとなりCDリリースを果たす。2010年11月にはユニバーサルミュージックよりソロデビューが決定したことが発表され、翌2011年5月に1stシングル「きっかけはYOU!」を発表した。その後も精力的にライブ活動を実施し、持ち前の歌唱力の高さで徐々にファンを拡大。フランスやブラジル、台湾などの海外でもライブを行い、ワールドワイドな展開を見せる。2015年5月には17分にも及ぶ大作シングル「花」をリリース。同年10月にはオリジナルフルアルバム「YOU the 3rd. ~WILDFLOWER~」を完成させた。