エレキコミックと片桐仁（ラーメンズ）による女装アイドルユニット・キケチャレ！の1stアルバム「LIFE」が6月14日にリリースされる。

RAM RIDERをプロデューサーに迎えて制作されたこのアルバムには、Negicco、あゆみくりかまき、DOTAMA、ばってん少女隊、むすびズム、ベッド・インといった旬のアーティストたちがフィーチャリングゲストとして参加。全収録曲が強烈なインパクトを放つ作品に仕上がった。

今回の特集ではキケチャレ！のヤッリーことやついいちろうとばってん少女隊のインタビューを実施。お互いの印象や、ラップ対決を繰り広げるコラボ曲「フリースタイル男女」の誕生エピソードを振り返ってもらった。

取材・文 / 土屋恵介　撮影 / 須田卓馬

「LIFE」のテーマはワールドミュージック

──やついさんとばってん少女隊の皆さんが最初に会ったのはいつでしたか？

やついいちろう　去年の「やついフェス」（「YATSUI FESTIVAL! 2016」）に出てもらったんですよ。その前に、CDをもらって曲がいいなって思ったんです。でも、ちゃんと話したのは今年に入ってからだよね？

ばってん少女隊　はい！

やつい　めちゃくちゃいい子たちで、元気って印象がありますね。

上田理子　よかったー（笑）。

──逆に皆さんのキケチャレ！の印象は？

上田　髪型がカッコいいです。ピンクが入ってて素敵で、メイクもすごいなって。

希山愛　やついさん、めっちゃ似合ってます。

やつい　あとの2人（今立進、片桐仁）はどう？

上田　今立さんはかわいい、きれいでした。

春乃きいな　こういう女の人いそうだなって。片桐さんは表情が面白いです（笑）。

瀬田さくら　でも最初見たときはびっくりしました。いつものやついさんと全然違うから。

やつい　そりゃそうだよね。女装してるからね（笑）。

──まず初めにやついさんにキケチャレ！のアルバム「LIFE」の話を聞いていきましょう。多彩なコラボ満載の作品となりましたが、どんなテーマで制作されたんですか？

やつい　タイトルは、完全に小沢健二さんのアルバム「LIFE」からいただきました（笑）。アルバムのテーマ的には、ワールドミュージックを作ろうと思ったんです。今までのキケチャレ！の曲を踏襲するとわかりやすすぎるし、そういうものにはしたくなかったんです。あと、普通にわかりやすいものにしたくなくて、もっとリズムが面白いものとか、「世界中の音楽を1枚にする」みたいなイメージがあって。3人で全曲歌うっていうのは決めてましたね。いろんな方とコラボして、曲ごとにテーマになる国を決めて、全曲聴くといろんな国の音楽を楽しめるようなアルバムにしようというコンセプトでした。その話をプロデューサーのRAM RIDERさんにして、その後は曲ごとに「この曲はこういう感じにしてくれ」って話していきました。だから、けっこう制作に携わりましたね。作詞作曲はラムさんだけど、曲ごとのテイストは僕が全部決めています。

──コラボ相手は、どういう基準で選んだんですか？

やつい　曲のタイプでっていうのはありましたね。あと、キケチャレ！はコンセプト色が強いので、自分たちと近いイメージの人ともやりつつ、真逆のタイプの人とかとやろうと考えました。Negiccoとは前もやったことがあるし、手島優さんはキケチャレ！と同じテイストだなとか、あとうちら3人組なので、3人組とやるのいいなと思って、あゆみくりかまきにオファーしたり。

──そうした中で、ばってん少女隊とコラボしようと思った理由は？

やつい　それこそばってんさんは、キケチャレ！とは真逆じゃないですか。元気だし、年齢も半分以下だし。それで一緒にやったら面白いだろうなって。

──ばってん少女隊の皆さんが、キケチャレ！とコラボすると聞いたときは、どう思いましたか？

上田　最初に、キケチャレ！とNegiccoさんとのミュージックビデオを観せてもらって、スタッフさんから「コラボさせていただくんだよ」って伝えられて、「え！」ってびっくりしました。

春乃　あんまりほかのアーティストさんとコラボをやったことがなかったし。でも、曲の中にいつもの6人以外の声があるのが面白かったです。

ばってん少女隊、初ラップに大奮闘

──コラボ曲「フリースタイル男女」は、オールドスクールテイストなラップチューンになりましたね。

やつい　ノリとしては、Aerosmith対Beastie Boysのイメージです。僕らがエアロで、ばってんがビースティ。僕らが昔のロックを流してる中に、ビースティが入ってくるみたいな感じで作りました。今回、みんなは初めてラップしたんだよね。

ばってん少女隊　はい！

上田　ラップは経験がなかったので、難しかったです。最後の歌詞に、「男も女も大人も子供もアイドルも芸人も関係なーい！」ってあるんですけど、レコーディングで何度も噛みました（笑）。

春乃　言葉の順番がごちゃごちゃになっちゃって、難しくて。

西垣有彩　歌詞を見ながらレコーディングしたんですけど、ほかのところを読んじゃうんですよ。

やつい　ほかのところを読んじゃうの？ なんで？

西垣　勢いが付いちゃうと、歌詞カードに目が行かず、自分のノリでいっちゃうんですよ。

希山　勝手に振り付けて、わーってやりたくなっちゃうんだよね。

やつい　そんなにテンションをアゲて歌ってくれてたの。それはありがたいなあ。ラップとばってんのみんなの元気な感じが、相性よかったですよ。

ばってん少女隊　ありがとうございます！

瀬田　私、ラップを意識して聴いたことも歌ったこともなかったから、新鮮で楽しかったです。レコーディングも、登場人物の気持ちになって歌いました。この曲は聴いてる人が乗っちゃうくらい、楽しくしなきゃダメだなと思って。

星野蒼良　私も、ラップをするのが初めてだったし、新しいことができるいい機会だなって思いました。

西垣　私はラップが全然ダメで、しかも一番難しいと思ってたすごい早口の部分が私のパートになったんです。「歩いてもらえますか？」って全然早口で言えなくて、本番でも「あるるるくあ？」ってなっちゃって（笑）。でも、がんばりました。ちゃんと振りも入れながら歌いました。

星野　できあがった曲を聴いたら、サビとかキケチャレ！さんとばってん少女隊の一体感が出ててノリノリになれるし、いい曲だなと思いました。歌ってるときは、いつも自分たちが歌ってる感じとは全然違うから、いっぱい練習して、レコーディングで歌うときもできるだけテンションをアゲて歌ってました。

やつい　ありがたい。うちら、ひとっかけらも練習せずにレコーディングしましたけどね（笑）。

上田　でも、キケチャレ！さんのラップがうまくて、「おー、すごい！」って思いました。私、「敵は男でも女でもなーい」ってところが好きです。

瀬田　あと、「こくぎかーん！」ってところも好きです。

やつい　そこはラップでもなんでもないけどね。ただのセリフだけど、よかった？

瀬田　はい！

希山　私もラップは歌えるか不安だったんですけど、なんとか歌えました。

やつい　希山さんは、ハスキーな声で特徴があるから目立つよね。

希山　でも、自分じゃわからないんです。

やつい　まあ、本人にしてみたら普通の声だからね（笑）。

希山　はい。でも、ラップを歌ってみてすごく楽しいなって。ノリノリになれるから、いつかは、ばってん少女隊でもラップを歌ってみたいなって思いました。

やつい　いいじゃないですか。ばってんに合うと思いますよ。