ナタリー PowerPush - Kidori Kidori

Kidori荘の住人たち

「1+1+1=3だ」

──「Come Together」には「上京を決意したときの気持ち」という明確なテーマがあるそうですが。

Kidori Kidori

マッシュ この曲に関してはそうですね。3人で東京に行くことを決めた段階では「おまんま食いっぱぐれちゃうんじゃないか」みたいな不安もあったんです。だけど我々はこれからしっかり精進を重ねていくから、お客さんにもしっかりついてきてほしいなっていう気持ちなんかが「Come Together」には込められてる。今作のリード曲なんですけど、なんでリード曲かっていうとそういう今のバンドからのメッセージが表現できてるってことが大きいですね。

──この曲の歌詞に出てくる「1+1+1=3だ」はンヌゥさんを含む3人のことですよね?

マッシュ ここはThe Beatlesの「Come Together」の一節をそのまんま引用してるんですよ。だからパロディなのかもしれんし、パロディだけど僕らのことなのかもしれない。

──そこの解釈はリスナーに託すわけですね。

マッシュ そう。もうなんか煙幕が得意技なんで。シャッシャッシャッシャッ(笑)。

──ははは(笑)。煙幕っていうのは、日本人にはダイレクトに理解しにくい英語の歌詞をメインにしているところにもつながってくる感じがしますね。

マッシュ そう。だから本音を言うと、歌詞の和訳すら載せたくなくて。リスナーが自分で訳したほうが絶対面白いはずなんですよ。例えばこの曲にある「A hand to your heart」って歌詞は、動詞ないけどどういう意味になるんや?みたいな。僕自身が難しい言葉をあんまり知らないからなんですけど、難しい言葉は使わないようにしてるし、自分で訳すと自分なりの意味が見えてくるというか。でも和訳なしにすると興味持つ人を限定させるかなってことで和訳は入れてます。

──今作にはンヌゥさんの参加音源が入っているんですか?

マッシュ 2、4曲目がンヌゥで、あとはライブでサポートしてもらってるandymoriの藤原寛さんが弾いてくれてます。2曲目は「HighApps Vol.18 SPECIAL!!」の会場で売り始めた会場限定音源からの1曲。4曲目の「99%」(読み:ナインティナインパーセント)は3カ月連続企画で毎回異なる7inchのアナログを販売したんですけど、それの1発目の音源です。

Kidori Kidori / Come Together

先輩バンドandymoriの藤原寛をサポートに迎えて

──3月の「HighApps Vol.18 SPECIAL!!」のときはサポートベーシストに藤原さんを迎え、同月の大阪ワンマンでは藤原さんとTHE ORAL CIGARETTESのあきらかにあきら(B)さんがライブサポートをしていました。ンヌゥさんの脱退から2~3週間後と急でしたけど、かなり対応が早かったですね。

マッシュ いやー、あれはたまたま人づてに紹介していただいてうまくいったってだけで。急でしたけど、もともと知り合いだったあきらも助けてくれたし、藤原さんの鉄人級のテクニックと本能的なプレイで乗り切らせていただいた感じです。

──7月に各地を回ったイベントツアー「HighApps TOURS 2014」でも藤原さんがサポートを務めていましたが、一緒に回ってみてどうでした?

マッシュ そうですね。藤原さんはすごい面白いフレーズ弾くし、アンサンブルは当たり前なんですけど、これまでとは全然違うものになった。もともと俺も川元もandymoriが大好きなんですよね、3ピースの先輩バンドやし。すごい鉄人にいろいろお勉強させてもらってる感じです。

Kidori Kidori

──プレイに関して何かアドバイスしてくれるんですか?

川元 レコーディングに参加してもらったときに、いろいろ相談したんですけど、なんか漠然としたこととかでもちゃんと聞いてくれるし、 “いいお兄さん”って感じで助けてもらってますね。

──アドバイス以外に面白い話ってありました?

マッシュ 異様なまでにネコがなついてましたね(笑)。ツアー先のパーキングエリアで休憩したときに藤原さんがいなくなって、遠くを見たら藤原さんがネコと戯れてて。「ネコから寄ってきたんだよー」なんて言ってましたけど動物好きみたいで。北海道行ったときも「ちょっと待って。えらいもん見つけてしまった」って言って、クマ牧場のパンフレットをずーっと見てました(笑)。

川元 ライブハウスまでの道中1時間ぐらい、車の中でクマ牧場のパンフレット見ながら「クマ超好きなんだよ!」なんて話をずっとしてたな。

アジアのバンドを日本に集めたい

──マッシュさんは海外在住経験もありますが、今後海外展開は考えていますか?

マッシュ 海外ではまだやったことないからやってみたいですね、「Glastonbury Festival」とか特に憧れます。それと昔レコード屋のワールドミュージックコーナーでCD売ってた身としては、アジアにとんでもないカッコいいバンドがいっぱいいてるのを知ってるから、そいつらをいっぺんに日本に招集してイベントをやってみたいですね。

──面白そうですね。タイとかインドネシアのバンドを観る機会もなかなかないですし。

マッシュ そうそう。例えばタイはロック大国らしくて、トップ10チャートがほとんどロックが埋まるような国なんですって。ほかにも香港とか台湾あたりのシューゲイザーっぽいやつらがけっこう日本でも最近がんばってますね。あいつら集めてライブしたらコアなファンもいっぱい来るよなあ。

──楽しいイベントになりそうですね。

マッシュ そうですね。自分がおまんま食うためもあるけど、音楽自体がもっと豊かなものになってほしいって気持ちが一番強いから面白いことをたくさんしたいです。ただ単にインスタントラーメンみたいな音楽をやって、自分がメシ食いつつ、周りの人間の私腹を肥やすだけの音楽なんてものは面白くないから。音楽全体を文化としてしっかり成長させたいというか。きちっとそんなことも意識して僕らはこれからもやっていきたいなと思っています。

Kidori Kidori
ミニアルバム「El Blanco 2」 / 2014年8月13日発売 / 1836円 / HIP LAND MUSIC / Polka Dot records / RDCA-1035
「El Blanco 2」
収録曲
  1. Zombie Shooting
  2. Mass Murder
  3. Come Together
  4. 99%
  5. El Blanco
  6. テキーラと熱帯夜
Kidori Kidoriのタデ食う虫もウキウキツアー
  • 2014年9月12日(金)
    千葉県 千葉LOOK
  • 2014年10月3日(金)
    埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
  • 2014年10月10日(金)
    新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
  • 2014年10月13日(月・祝)
    北海道 Sound Lab mole
  • 2014年11月8日(土)
    愛知県 池下CLUB UPSET(※ツーマン)
  • 2014年11月9日(日)
    大阪府 Shangri-La(※ツーマン)
  • 2014年11月15日(土)
    東京都 新代田FEVER(※ツーマン)
8月9日(土)12:00より東名阪公演のオフィシャル先行受付スタート!!

【Kidori Kidori オフィシャル先行】
受付期間:8月9日(土)12:00~8月18日(月)18:00

Kidori Kidori(キドリキドリ)
Kidori Kidori

大阪・堺で結成され、2008年より本格的に活動を開始。バンド名は村上春樹の小説「ねじまき鳥クロニクル」に由来する。UKロック、パンク、ハードコア、ジャズ、ファンク、プログレ、テクノ、J-POP、ワールドミュージックなど、幅広いジャンルの音楽を帰国子女のマッシュ(Vo, G)の感性で昇華したサウンドが特徴。2011年7月に初の全国流通盤「El Primero」を、2012年8月に「La Primera」を自主レーベル「Polka Dot records」よりリリースした。2014年3月にンヌゥ(B, Cho)が脱退し、バンドはマッシュ、川元直樹(Dr, Cho)の2人にサポートメンバーを加えて活動することを表明。また拠点を大阪から東京に移すことに伴い、同年3月より4カ月連続の自主企画ライブ「引っ越し記念☆大阪けじめのワンマン」「引っ越し記念☆東京よろしくね企画」を大阪と東京で開催した。8月13日に新体制第1弾となるミニアルバム「El Blanco 2」をリリース。