バンドのがんばりを楽しみにしている

──2～3月のンヌゥさん失踪から脱退までが1つの “騒動”になってしまいました。センシティブな話題になりますけど、「ンヌゥさんは東京に出てくることがつらかったのかな」とファンは考えを巡らせたと思います。

マッシュ　そのへんの話とか脱退の旨を聞く最後の話し合いのときに、「なんでそういうことになったのか？」って話を聞いてて、原因は「急な環境の変化がしんどかった」ってことだったんです。彼の体調的にはストレスがすごい溜まってて、急な環境の変化に精神がついてこれなくなってしまった。それで「気付いたらおかしくなった」って話してたけど、「本当は音楽をまだやりたい」とも言ってたんですよ。僕ら2人には「自分が抜けるからといって解散とかは考えずに、バンドを続けてくれ」って言ってくれてましたし。なんかあのときはすごいしんどそうやったけど、今は回復傾向にはある感じです。連絡も取り合ってますよ。

──じっくり様子を見つつ、ンヌゥさんの健康を祈りたいですね。

マッシュ　そうそう、焦らずにね。なので今はそれぞれの道をがんばっていこうっていう感じです。

──Kidori Kidoriのがんばりが、ンヌゥさんの糧にもなっていく感じがしますね。

マッシュ　うん、僕らががんばってるのをすごい今あいつは楽しみにしてくれてて、最近も「バンドいい感じやん、がんばるわ、俺も」みたいな感じでメールをくれました。昔からあいつがずっとエフェクターの修理をしてくれてたんですけど、「なんか壊れたりしたらまた言ってくれ」みたいな話もしてるし、良好な関係です（笑）。

“白”を意味する「El Blanco」

──新作「El Blanco 2」は2013年7月リリースのミニアルバム「El Blanco」に続く作品となりましたが、同じコンセプトで作られたんですか？

マッシュ　まず「El Blanco」はスペイン語で「白」っていう意味なんです。2013年6月にカタカナのキドリキドリ名義から今の表記にバンド名を改名したんですけど、前作「El Blanco」は改名後1発目のCDで気持ちを真っ白にして新たに1からがんばるぞっていう意味合いの作品。それに対して今作は色としての「白」をピックアップした作品で、日常や感情の中にある白が持ってる、あったかい部分と冷たい部分が基軸になっています。白にある拒絶感とか冷たさっていうのは、繰り返される日常の虚無感も表してるというか。1作またいだタイトル曲「El Blanco」がその冷たい部分を表現していて、白の持つあったかい部分は6曲目「テキーラと熱帯夜」で出せたかなと思ってます。

帰国子女マッシュ 英語と日本語の使い分け

──マッシュさんは5歳までウェールズに住んでいたこともあってかほとんどの曲の歌詞が英語ですが、「テキーラと熱帯夜」は日本語ですね。日本語と英語はどのように使い分けてるんですか？

マッシュ　英語で書くメリットは、日本人には母国語じゃないから一発で意味がわからないってところかな。歌詞が気になったときに歌詞カードを見てもらえることもあるし。ゆえにメッセージ性が強くても、そこでしっかり受け止めてもらえるっていうふうに思ってるんです。でも日本語でそれをやってしまうと、直接的すぎて日本における初期のフォークソングみたいになってしまうので、「テキーラと熱帯夜」もそうだし、あんまり日本語では強い言葉を使わないようにしているつもりです。

──2曲目「Mass Murder」は「大量虐殺」なんで、確かに日本語だとエグい印象は受けますね。

マッシュ　メッセージ性や社会性のある言葉を使った社会的、政治的なことを歌った曲が多いんで、日本語でやるとどうしてもちょっと堅い感じになってしまうんです。

──タイトル曲「El Blanco」はいつ頃作った曲なんですか？

マッシュ　曲自体はけっこう前からあったんですけど、完成させたのはホンマここ2カ月ぐらいの話ですね。

──この曲の歌詞の和訳にある「君のいない新しい日」っていうのはンヌゥさんのことなのかなって感じたんですがどうなんでしょう。

マッシュ　想像に任すほうが俺は面白いと思うんで、基本的に詞に関して俺らは「意味は考えてくれ」っていうスタンスでやってきてるんです。意味を制限されるのは俺らだけでいい。ここで歌ってるのがンヌゥのことなのか、誰のことなのかとかみんなの中で制限される必要はないから。それだったら「テキーラと熱帯夜」の「君に会いたいや」もンヌゥのことなのかみたいになりますし。

──確かにそうですね。

マッシュ　意味をここで明言することはないので、それぞれ自由に聴いてほしいですね。