ナタリー PowerPush - KEYTALK
新たな可能性を提示する“メジャー1st”アルバム
昨年11月にシングル「コースター」でメジャーデビューを果たしたKEYTALKが、3月リリースのシングル「パラレル」に続いて5月21日にフルアルバム「OVERTONE」を発表した。KEYTALKならではの疾走感あふれるサウンドはそのままに、親しみやすいメロディや歌声、一度聴いたら耳から離れないギターリフなどがさらに研ぎ澄まされ、スケール感を増した作品が並んでいる。
メジャーデビューから約半年、KEYTALKはどのように変化し、アルバムを完成させたのか。バンドの現在地に加え、思い描く未来図も語ってもらった。
取材・文 / 大久保和則 撮影 / 福本和洋
メジャーデビュー後の意識の変化
──アルバムの話をする前に、昨年11月のメジャーデビューから現在までを振り返ってもらえればと思います。実際にメジャーデビューしてみて、やはりいろいろな変化がありました?
寺中友将(Vo, G) そうですね。ひと言で言うと、意識が変化しました。インディーズ時代はどうしても自分主体で考えていた部分が大きかったけど、メジャーデビューしてからは「お客さんがお金を払って、時間を割いて来てくれる」っていうことを、それまで以上に強く意識するようになりました。例えばどんなに体調が悪くても、それを感じさせないパフォーマンスをするんだというモチベーションがさらに高くなったりとか。楽曲制作に関してはリリースされるタイミングを最大限考慮して作るようになりましたね。
──具体的に言うと?
寺中 インディーズのときはリリースのタイミングが曖昧というか、出せるかどうかわからない状況で曲を作っていたんです。メジャーになってからは発売する時期を決めつつ楽曲を作るので、例えば真冬に夏の曲を書いたり。
──それは寺中さんにとって面白い体験になっている?
寺中 面白いですね。違う季節を想像しながら曲を作るようになったことは、個人的にはけっこう大きな変化ですね。
首藤義勝(Vo, B) 僕はメジャーデビューしたことによって音楽浸けの生活ができることがすごく楽しいです。
小野武正(G) 僕もそれは感じています。インディーズ時代は物販や車の運転、事務的な作業を自分たちでやっていて、それはそれで負担とはまったく感じていなかったんですけど、今はいろいろなスタッフの方がそういった部分を担ってくれる。より音楽に集中できる環境になったし、クオリティの高い作品を生み出せる環境になったなって。
八木優樹(Dr) 僕的にも一番の変化は音楽に集中しやすい環境が整ったことですね。
首藤 あとは、インディーズ時代は漠然と制作をしていた部分もあったんですけど、メジャーになってからは何をするにしても明確な目標があって、それを成し遂げるためにはどうすべきかっていうことをチームとして考えるようになりました。
──例えば?
首藤 1つの曲を書くにしても、どういう人にどういうシチュエーションで聴いてほしいのか、その曲はライブでどんな役割を果たすのか、そういうところまで深く考えるようになりましたね。それはメジャーデビューしてからです。インディーズ時代に持っていた、「カッコいい曲を作って、カッコいいライブをやる!」っていうガムシャラな感じも楽しかったんですけど、どうやったら楽しんでもらえるかを考えながらやるのも面白いですね。
八木 あ、もうひとつ変化があったのは、全然連絡を取っていなかった友達からの連絡が増えたこと(笑)。「ラジオで流れてるの聴いたよ!」とか言われると、メジャーデビューしたんだなって実感します。
──「NHK紅白歌合戦」に出たら、急に親戚が増えるみたいな(笑)。
八木 その第1弾かもしれないですね(笑)。
小野 メディアに出ることが多くなったので、音楽に興味がある人以外にも、僕たちの音楽や活動が伝わりやすくなったんだと思います。
アルバムの方向性を変えた分岐点
──環境が変わることによって意識も変わってきているということですよね。そんな変化を実感する中、待望の2ndフルアルバム「OVERTONE」が完成しました。
八木 今までのKEYTALKの総まとめのような作品になったかなと思います。
小野 インディーズ時代の3年間が凝縮された内容ですね。あとは2ndアルバムではあるけど、メジャーとしては初めてのアルバムだし、「KEYTALKとはなんぞや?」がわかるアルバムになっていると思います。
──「コースター」や「パラレル」はKEYTALKらしさが詰まった代表曲ですよね。
首藤 そうですね。ライブを積み重ねてきたことによって4人のグルーヴもどんどんよくなってきているし、自分で聴いていても今までで一番完成度が高いと感じていて。もちろんまだまだ成長の途中ですけど。
小野 しかも「今後はこういう方向性もあるよ」っていう楽曲も入っていて、僕たちの未来も見い出せるんじゃないかと。
──最初からそういう作品にしたいと考えて?
八木 いや、結果的にです。最初はコンセプトとかも設けずにみんなで曲を出し合ったんです。それで「さあレコーディングしよう」ってなったときに、プロデューサーのTGMXさん(FRONTIER BACKYARD)から「もう一回、曲を作る期間があったほうがいいんじゃないか?」という提案があって。
寺中 最初は2ndフルアルバムとして作ろうとしていたんですけど、そのミーティングを経てメジャー1stフルアルバムを作ろうっていう意識になって、作品の印象ががらっと変わりました。インディーズのままで2ndフルアルバムを出していたら、また違った内容になっていたと思います。
小野 結果として、アルバムを作るにあたって、そのミーティングが大きな分岐点になりました。今回僕が作った「BEAM」「はじまりの扉」はそのミーティングを受けて自分なりに“KEYTALKらしさ”を考えてできた曲ですし、半分くらいはそういう楽曲が入っています。
──TGMXさんの存在が大きかったと。
寺中 そうですね。TGMXさんはインディーズのときからお世話になっていて、自分の範疇にないさまざまなことに気付かせてくれる存在でして。バンドメンバーだけじゃなく「KEYTALKチーム」で作ったアルバムだと思っています。
- ニューアルバム「OVERTONE」/ 2014年5月21日発売 / Getting Better
- 初回限定盤A [CD2枚組+DVD] 3996円 / VIZL-680
- 初回限定盤A [CD2枚組+DVD] 3996円 / VIZL-680
- 初回限定盤B [CD+DVD] 3456円 / VIZL-681
- 通常盤 [CD] 2916円 / VICL-64168
- 通常盤 [CD] 2916円 / VICL-64168
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CD収録曲
- バミューダアンドロメダ
- コースター
- MURASAKI
- BEAM
- はじまりの扉
- お祭りセンセーション
- パラレル
- メロディ
- Siesta
- シンドローム
- YGB
- 雨のち。夏、
- プルオーバー
初回限定盤A付属CD「KTEP SP」収録曲
- orange and cool sounds
- MABOROSHI SUMMER
- 太陽系リフレイン
- マキシマム ザ シリカ
- 桜の風吹く街で
- S.H.S.S. (Live)
- fiction escape (Live)
- sympathy (Live)
初回限定盤A&B付属DVD 収録内容
- 「KEYTALK Member Interview Files」
- 「MURASAKI」ミュージックビデオメイキング
- 「コースター(USTREAM Ver.)」ミュージックビデオ
KEYTALK(キートーク)
2009年7月結成。首藤義勝(Vo, B)、寺中友将(Vo, G)、小野武正(G, Cho)、八木優樹(Dr, Cho)の4人からなるロックバンド。2010年3月に1stシングル「KTEP」を発表し1000枚を即完売させる。結成当初は寺中がボーカルを務めていたが、2010年より徐々に首藤と寺中のツインボーカルスタイルに。2012年4月には初の海外ライブを台湾で行い活動範囲を拡大させていく。2013年には全国40カ所におよぶツアー「ONE SHOT WONDER TOUR 2013」を敢行し成功を収める。同年11月にビクターエンタテインメントよりシングル「コースター」でメジャーデビュー。2014年3月にはシングル「パラレル」、そして5月21日にニューアルバム「OVERTONE」をリリース。