音楽ナタリー Power Push - Ken Yokoyama

40代“ギター小僧”がたどり着いたロックンロール

自分はよくも悪くも古いんだ

──若い頃とは“カッコいい”の基準が違ってきてるんじゃないですか。

横山健(Vo, G)

確かにキース・リチャーズとかカッコいいですもんね、あんなシワシワになっても。でも自分のことになるとそう思えないっていうか(笑)。30代でKen Band始めた頃もまだシュッとしてカッコよかったなあ、とか思ったりもするんですよ。時間の流れって残酷だなあと(笑)。あとは感性の面でもそうですね。僕はWANIMAがすごい好きなんですけど、彼らみたいな感性を僕は持ち得ない。ファッションセンスにしたってそうで。そういった新しい子たちが出てくると、自分はよくも悪くも古いんだってことを認めざるをえないんですね。でも認めることでまたモチベーションが出てくる。認めることで今回の「I Won't Turn Off My Radio」が書けたんですよ。認めたらいいことあるじゃんか、という気分です、今は。

──認めるまでに葛藤はありました?

ありました。やっぱり男として自分がだいぶ古くなってきてるのを認めるのはつらいことでもあるし、屈辱的な部分もありますよね。でも一度飲み込んでしまったら……本当に飲み込めているのかわかんないですけど、今はけっこう居心地いいですよね。僕は先輩たちみたいに、ある一定のスタイルに準じるよりも、僕は僕自身でありたいから。

──自分に正直に生きたい。

そうです。そこまでカッコつかないというのもあるけど。

──老いていくのも素直に受け入れるし、音楽性が変わっていくのも自然なことってことですね。

そうですね。もしかしたら音楽性やライフスタイルや発言も含めて、全部をまるっと「横山健」ってことでまとめられれば済んじゃうじゃないかって気がします。

──横山健スタイル。

はい。ずいぶん大風呂敷ですけど。

熱量を後世に残したい

──「これからの世代に残したい」という考えが生まれたのは子供さんができてからですか。

横山健(Vo, G)

そうだと思います。あと自分でレーベルをやってることも大きいのかな。若いバンドマンを比較的多く見る機会があるので。

──具体的には何を残したいと思うんですか。

うーん、そうすねえ……僕は「熱」を残したいですね。自分で言うのもなんですけど、ものすごい熱量の高い人間ではあると思うんですよ。ものを作るときに突っ走る熱とか、1つのことを好きになったときにのめり込む熱とか。人にものを伝えるときのしつこさとか。例えば曲作りのノウハウなんて教えてもしょうがないと思うんです。でも「ものを作るときにはこういう熱をもってやるんだぞ」ってことを若手のバンドマンとか、これから楽器を持つ子供だけでなく、音楽と関係なくてもこれから世の中を生きていく子供たちには教えてあげたいですね。残さなきゃいけない、伝えなきゃいけないと思う。

──音楽のスタイルとかではなくて、熱量ですね。

はい。さっきの、政治の話とチンコマンコは同じことだぞっていう話もね。SEALDsの子たちが、直接僕から聞いたわけじゃなくても、なんらかの形で熱をキャッチしてくれて、ああやって形にしてくれるなら、もっともっと熱を持つことの大切さは発信していきたいと思いますね。

──今作の熱量こそが横山健、ということですね。ライブでお客さんがどう反応するか楽しみですね。横山健の新しいモードに。

ほんとそうね! 今までのダイブでモッシュみたいなカオスなライブも最高なんだけど、それだけじゃない、今までにない新しい空間をこのアルバムで一緒に作ってみないか、という気持ちはありますね。

ニューアルバム「Sentimental Trash」 / 2015年9月2日発売 / PIZZA OF DEATH RECORDS
[CD] 2365円 / PZCA-73
収録曲
  1. Dream Of You
  2. Boys Don't Cry
  3. I Don't Care
  4. Maybe Maybe
  5. Da Da Da
  6. Roll The Dice
  7. One Last Time
  8. Mama, Let Me Come Home
  9. Yellow Trash Blues
  10. I Won't Turn Off My Radio
  11. A Beautiful Song
  12. Pressure Drop
Sentimental Trash Tour
2015年9月25日(金)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
2015年10月6日(火)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
2015年10月7日(水)石川県 金沢EIGHT HALL
2015年10月9日(金)新潟県 新潟LOTS
2015年10月10日(土)群馬県 高崎club FLEEZ
2015年10月16日(金)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
2015年10月18日(日)青森県 Mag-Net
2015年10月19日(月)秋田県 Club SWINDLE
2015年10月21日(水)岩手県 Club Change WAVE
2015年10月22日(木)宮城県 Rensa
2015年10月24日(土)山形県 山形ミュージック昭和Session
2015年12月19日(土)神奈川県 Yokohama Bay Hall
2016年1月20日(水)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
2016年1月21日(木)島根県 松江 AZTiC canova
2016年1月23日(土)熊本県 熊本B.9 V1
2016年1月24日(日)鹿児島県 CAPARVO HALL
2016年1月26日(火)長崎県 DRUM Be-7
2016年1月27日(水)福岡県 DRUM LOGOS
2016年1月29日(金)愛媛県 WstudioRED
2016年1月30日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
2016年2月10日(水)静岡県 SOUND SHOWER ark
2016年2月11日(木・祝)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
2016年2月13日(土)大阪府 なんばHatch
2016年2月14日(日)愛知県 DIAMOND HALL
Ken Yokoyama DEAD AT BUDOKAN RETURNS
2016年3月10日(木)東京都 日本武道館
<出演者>
Ken Yokoyama / SLANG(ゲスト)
Ken Yokoyama(ケンヨコヤマ)

1969年10月1日生まれ。Hi-STANDARD、BBQ CHICKENSのギタリスト。2004年にソロアーティストとしての活動を開始し、Ken Yokoyama名義によるアルバム「The Cost Of My Freedom」をリリースした。Ken Bandとしてライブ活動を開始してからも、2005年の2ndアルバム「Nothin' But Sausage」をはじめ定期的に作品を発表。2008年1月に初の東京・日本武道館公演を実施したほか、2010年10月には「DEAD AT BAY AREA」と題したアリーナライブを神戸と幕張で敢行した。2011年にはHi-STANDARDのライブ活動再開や「AIR JAM 2011」開催など、ソロ以外の活動も続々展開。2012年11月に5thアルバム「Best Wishes」をリリースした。2013年11月にはドキュメンタリー映画「横山健 -疾風勁草(しっぷうけいそう)編-」が全国60館の劇場にて公開され、2014年9月に「Stop The World」を収めたCDが付属したDVD「横山健 -疾風勁草編-」を発売した。2015年7月には8年4カ月ぶりとなるシングル「I Won't Turn Off My Radio」をリリースし、テレビ朝日系「ミュージックステーション」に初出演。大きな話題を呼んだ。9月にニューアルバム「Sentimental Trash」を発表し、同月より年をまたいだ全国ツアー「Sentimental Trash Tour」を開催する。