音楽ナタリー Power Push - KEMURI

もがいてきた20年の答えがここに

今年結成20周年を迎えるKEMURIが、アニバーサリーライブツアー「KEMURI 20th Anniversary Japan Tour "SKA BRAVO"」を9月25~27日に東名阪で開催する。

今回のツアーにはゲストとして、Reel Big Fish、Less Than Jake、Skankin' PickleというUSスカパンクシーンを代表するバンド3組が参加。Skankin' Pickleは今回KEMURIのために再結成しての登場となる。KEMURI結成当時から、メンバーが影響されたバンドであり、かつ、信頼できる友達だというこの3組を呼んでのツアーに彼らはどんな思いで挑むのか。メンバー5人に話を聞いた。

取材・文 / 遠藤妙子 撮影 / 福本和洋

今年の夏フェスを振り返って

──今年は夏フェスにもたくさん出てましたよね。印象深かったことは?

田中‘T’幸彦(G) とにかく暑かったですね(笑)。夕方の出番が多かったからか、ステージに立つと西日が当たることが多くて。あと30分やってたら倒れるんじゃないかっていうぐらいの直射日光なんですよ。

平谷庄至(Dr) 会場がすり鉢状のとこもあって、直射日光がガンガン当たって。出番前にドラムセットがステージ脇に用意されてたんですけど、そこにもずっと当たりっぱなし。マジでシンバル熱かった。暑さとの戦いでしたね。

コバヤシケン(Sax) ライブをやりながら「クーラーの効いてるスタジオで練習する意味があるのか? 暑いとこで練習しなけりゃ意味ないんじゃないか?」って思いました(笑)。

津田紀昭(B) あとは初めて出たフェスが多くて。手作り感のあるフェスだったり、パンクっぽいフェスだったり、おのおのにカラーがあって楽しめましたね。静岡の「頂 -ITADAKI- 2015」では夜になったら電気消してキャンドルみたいなのがついたりね。すごく雰囲気があって。全体的には、着いてすぐライブやって終わってから1時間ぐらいで移動っていうのが多かったんで、あんまりゆっくりできなかったのが残念だったんですけど。地方のフェスが増えるのはいいですよね。

田中 ほかのバンドを客席から観たりして。面白いですよね、客席から観るのは。お客さんが何を楽しみにフェスに来てるかわかる。楽しかったです。

伊藤ふみお(Vo)

伊藤ふみお(Vo) いろいろ印象深いことはあるけど、僕はやっぱり「FUJI ROCK FESTIVAL '15」かな。僕、なぜかわかんないけどライブ前に緊張してたんですよ。ライブもワタワタワタって進んでいっちゃった感じがして。それで途中、メンバーの顔を見ながらなんとか演奏のグルーヴ作っていって。そしたら最後のほうでBRAHMANのTOSHI-LOWと10-FEETの3人が飛び入りしてくれて、みんなで「SUNNY SIDE UP!」で踊ってね。

津田 TOSHI-LOWくんと10-FEETのNAOKIがライブ中に俺の足元にしゃがみこんで「なんだ?」って思ったら、俺の靴下が下がってたみたいで、ピンって上げてた(笑)。俺、ベース弾いてるのに(笑)。

──飛び入りするのは全然知らなかったんですか?

伊藤 はい、全然知らなかった。ホントの飛び入りですよ。緊張して始まったライブは、メンバーと気持ちを合わせて形を作って、最後は予想外の飛び入りもいて大団円。すごくいいライブになった。緊張してたって気持ちを合わせればいいライブができるんだな、ライブを作るのはバンドの力だけじゃないんだなって感じました。KEMURIのライブに友達が乱入してくることって珍しいんですよ。KEMURIってちょっと年上だし、どう絡んでいいかわからないみたいで(笑)。それが今年のフェスでは珍しく乱入もあって。開かれた感じのライブができましたね。

──KEMURIの雰囲気がどんどんオープンになってるんだと思います。

伊藤 うん。フジロックは楽屋の雰囲気もすごくよくて。KEMURIの前にRIZEがいいライブをやって、楽屋で「スゲエよかった」ってみんな集まって話してたんですよ。そのムードもあったから自然に飛び入りしてくれたのかもしれない。そういう意味でもフェスはみんなで作るものだね。みんなで楽しむ。実際、今年のフェスはどのバンドもライブがよかったな。JOIN ALIVEで観たBRAHMANも印象的だったし、長崎で観た10-FEETもすごくスペシャルな感じだったし。キャリアが長いバンドがみんな、1つ完成してまた次に進むっていう。そういう時期、そういう時代なのかなって思いましたね。

──同時代を生きてきたバンドたち、おのおのがここにきて自分の音楽にしっかり向き合ってる感じがしますよね。

伊藤 そうそう。みんないいですよね。変にジジイ化してないし、新しい感じ、ギラギラ感がいろんな意味であるし。カッコいいなって素直に思う。

とにかく自分たちがワクワクするツアーを

──KEMURIは20周年を記念して今回の「SKA BRAVO」ツアーを開催するわけですが、格別な思いがあるんじゃないですか?

伊藤 まずKEMURIが再結成するとは思ってなかったし、再結成は奇跡的なことなんですよね。再結成するときに話したことって、激しさは失わないようにやりたいってことで。ただ昔を懐かしむように、昔と同じことをやったら再結成の意味はないし。

──再結成後のKEMURIは本当に精力的ですもんね。

伊藤 「石の上にも三年」って言葉があるように、再結成して3年はアルバムを出し続けよう、新人のつもりでやろうって。

平谷庄至(Dr)

平谷 だから結成3年目のバンドのつもりです(笑)。新人のつもりでどんどん新しいことやろうって。

伊藤 そうそう。そういう思いとそういう活動が、絶対にこの先のKEMURIを作ることになっていくからね。で、結成20年っていうのも視野に入ってきて。自分たちがバンドを結成した頃に感じたことを、自然な形でやりたくて。それで今回の「SKA BRAVO」ツアーを企画しました。

──20年前に自分たちがワクワクした気持ちを、今の20代の人たちに伝えたいっていう?

津田 それももちろんですけど、とにかく我々がワクワクすると思うんですよ。自分たちが影響を受けた好きなバンドばかりを、自分たちで日本に呼んで一緒にツアーをする。コレはワクワクしますよ。対バンはアメリカのバンドで、KEMURIが日本代表っていうね。身が引き締まります。

伊藤 正直、一部のスーパースターは別にして、昔に比べて洋楽のライブは動員が落ち込んでるから、アメリカからアーティストを呼ぶなんて大変なんだけど、結成20年という節目としては、自分たちがバンドを結成したときにワクワクしたバンドたちと一緒にやることが、絶対にKEMURIのこれからの20年にとって一番いいんじゃないかと思って。そしたら「絶対に面白いと思う」ってメンバーもスタッフもみんな言ってくれて。こんな無謀なことをみんなが面白がって大賛成してくれた。そういう人たちが周りにいる今のKEMURIは本当にいい状況なんだなって。で、去年、マイク・パークはThe Bruce Lee Bandとして来日してて、「来年、KEMURIは20周年だから、Skankin' Pickleでやれないだろか?」ってマイクに言ったら、「KEMURIのスペシャルイヤーだからやるよ」って言ってくれて。The Bruce Lee Bandも素晴らしいんだけどね。

──Skankin' Pickleは一度解散したバンドですけど、今回のツアーのために再結成したんですね。

伊藤 そう。ありがたいですよね。

KEMURI 20th Anniversary Japan Tour "SKA BRAVO"

2015年9月25日(金)大阪府 なんばHatch
<出演者>
KEMURI / Reel Big Fish / Less Than Jake / Skankin' Pickle
2015年9月26日(土)愛知県 DIAMOND HALL
<出演者>
KEMURI / Reel Big Fish / Less Than Jake / Skankin' Pickle
2015年9月27日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
<出演者>
KEMURI / Reel Big Fish / Less Than Jake / Skankin' Pickle
ベストアルバム「SKA BRAVO」
2015年6月17日発売 / ONECIRCLE

CD+DVD
4536円 / CTCD-20023/B

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CD
2700円 / CTCD-20024

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KEMURI 20th Anniversary Tour 2015「F」

  • 2015年10月4日(日)北海道 Zepp Sapporo ※ゲスト:10-FEET
  • 2015年10月10日(土)兵庫県 神戸VARIT.
  • 2015年10月11日(日)京都府 KYOTO MUSE ※ソールドアウト
  • 2015年10月16日(金)千葉県 千葉LOOK ※ソールドアウト
  • 2015年10月17日(土)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
  • 2015年10月18日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
  • 2015年10月22日(木)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2015年10月23日(金)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2015年10月24日(土)千葉県 KASHIWA PALOOZA
  • 2015年10月31日(土)長野県 Sound Hall a.C
  • 2015年11月1日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2015年11月3日(火・祝)新潟県 新潟LOTS
  • 2015年11月7日(土)神奈川県 Yokohama Bay Hall
  • 2015年11月8日(日)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2015年12月5日(土)宮城県 Rensa ※ゲスト:SHANK
  • 2015年12月6日(日)岩手県 Club Change WAVE
  • 2015年12月12日(土)長崎県 DRUM Be-7
  • 2015年12月13日(日)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2015年12月19日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2015年12月20日(日)香川県 DIME
オリジナルアルバム「F」
2015年7月15日発売 / ONECIRCLE

CD+DVD
4536円 / CTCD-20025/B

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CD
2700円 / CTCD-20026

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KEMURI(ケムリ)

KEMURI1995年結成のスカコアバンド。「P.M.A(Positive Mental Attitude/肯定的精神姿勢)」をバンドの哲学として、活動を展開する。当初からアメリカのレーベルと契約していたため、「アメリカからの逆輸入バンド」として話題となった。ハードコアやパンク、レゲエといった要素を取り入れたサウンドが特徴で、日本のスカコアシーンの代表的存在。2007年12月9日のZepp Tokyoでのライブを最後に解散したが、2012年9月、Hi-STANDARDからの呼びかけに応じ、「AIR JAM 2012」にて約5年ぶりに復活を果たす。2013年1月、南英紀(G / 現 Ken Yokoyama Band)の脱退と初代ギタリスト・田中‘T’幸彦の復帰を発表。その後、ツアーや音源リリースなどを重ね、精力的に活動をする。結成20周年を迎えた2015年6月にベストアルバム「SKA BRAVO」を、7月に11thアルバム「F」をリリースした。