“怖い”ことをできるだけやっていこう

──ちょっと話題は変わりますが、隆一さんはソロシンガーとしての活動のほかに、LUNA SEAのRYUICHIとしての活動、舞台など役者としての活動も行っています。それぞれ違った表現が求められると思いますが、切り替えは簡単にできるものなんですか？

僕はけっこう飽き症っていうか短距離走タイプなんですよね。だからバンドを続けたら飽きる前に舞台をやるとか、また歌いたかったら今度はソロをやってみるとか、そういうふうに回していくことで自分の中に溜まってくる鬱屈した気持ちを吹き飛ばすことができるんです。毎日旅行に旅立つような、毎日冒険が始まるような気持ちで新しいページをめくっていく感じで気持ちを切り替えられるし、そのへんが自分を疲れさせないひとつの要因なのかな。

──90年代の活動ではバンド活動はバンド活動、ソロはソロというふうにもっときっちり区切っていた印象があります。そうやって簡単に切り替えられるようになったのっていつ頃からなんですか？

僕はこの5年ぐらいの間に「自分はどこまで表現者としてやっていけるんだろう？」っていうことを、長いタームで考えるようになったんです。舞台に行けば舞台のスペシャリストがいて、バンドに行けばメンバー5人で話し合うし、ソロになったらバンドや舞台で経験したことを自分の肥やしとして生かすことができる。そう考えたら、どんどん新しいことに挑戦していきたいと思えたんですね。その中でも、僕は“怖い”ことをできるだけやっていこうと思ってるんです。

──“怖い”こと？

はい。以前やった「No Mic, No Speakers」というマイクを使わないで歌うコンサートも、6時間半で104曲歌った武道館ライブもそうなんですけど、歌というものを基軸に置いてどんどんやったことがないことにチャレンジしていきたい。新しいことをどんどん自分に課していく、永遠に終わらないロールプレイングゲームみたいな感じですね。新しいボスキャラがどんどん出てきて、「ここでやられちゃうかもしれないけど、とりあえず挑んでみるか」と思いながら前進するんです。

──でもそうすることで、ご自身は消耗したりしないんですか？

今は消耗と充電が同時に行われてるのかもしれないですね。新しいことに挑戦して消耗するけど、それを乗り越えたことで新たな充電も行われるので。

表現し続けることが僕らの原動力になってる

──隆一さんをはじめ、LUNA SEAのメンバーを見ていて感じるんですが、皆さん最近は20代の頃よりもアクティブですよね。LUNA SEAのツアーが終わったと思ったら、その1週間後にはもう自分のソロライブをやっていたりするし。

そうですね。LUNA SEAのメンバーは基本的に仕事がすごく好きなので。まあ仕事というよりも、夢なんでしょうね。表現し続けることが僕らの原動力になってるし、表現させてもらえる舞台をつかみたくてこの世界に入ってきたわけだから。その初心を忘れなければ、どんなに忙しくても楽しんでやっていけるんですよ。それにバンド活動がうまくいっているので、1月までの予定だったツアーが3月まで伸びても平気なんですよね。オファーが来て「じゃあこれをやろう。あそこでもやろう」ってスケジュールを決めるんだけど、あとで「あ、これ休みが1日しかないな」と気付くことも多いし（笑）。

──外から見てると、皆さんすごく楽しそうなんですよね。

プロとしてやれていることに幸せを感じるし、いろんなジャンルを経験することで新たな知恵も得ることができるし。今はとっても楽しいですね。

次は「バンドではやらないタイプ」のロックアルバム

──ではソロとしても、今後はもっと活発なスケジュールが予定されているんでしょうか？

このシングルを出したら、そろそろオリジナルアルバムを作りたいと思っていて。最初はバラードアルバムを作ろうかというアイデアがあったんですけど、今はロックを意識した内容にしようと思ってます。LUNA SEAでもメロディを書いたり歌詞を書いたりはしてましたけど、今回は自分がバンドではやらないタイプで、だけど同じような匂いのするロックに挑戦してみたくて。

──確かにソロとしては、そこまでロック色が強い作品はあまりなかったですもんね。

そうですね。当然今回の「七色」も収録されると思うので、アルバムはロックだけではなくて、もっと緩急のついた内容になるんじゃないかな。

──そちらも楽しみにしつつ、まずは今回のシングル「七色」に込められたメッセージがいろんな世代の人たちに届くといいですね。

はい。今回は、このドラマの内容もすごく伝えたいことの1つであって。今の日本って先進国の中では自殺者が多い国だし、震災ではたくさんの人が亡くなって「生きる望みってなんだろう？」って考えた人も多いと思うんです。今回の楽曲はぜひ、今を元気に生きている人たちに聴いてほしいですね。