川口レイジ|焦らずに、出せる最高の音を

年齢もキャリアも、聴いてきた音楽も違う人たち

──ドラマのエンディングテーマになっている「STOP」は、Carlos K.さんとの共作ですね。

Carlosさんともけっこう長い付き合いになるので、やっぱり信頼感で選ばせていただいた感じですね。ただ、息が合いすぎちゃうところがあるので、下手すると引っかかりのない曲になってしまうこともあるんですよ。Carlosさんは迷いなくパンパンパンと作っていく方でもあるので。だから要所要所で「ここは思い切ってリズム変えちゃいましょうか?」とかアイデアを出させてもらったりはしました。

──この曲もJ-POPを飛び越えた仕上がりですよね。

川口レイジ

「I'm a slave for you」と同じライン上にある楽曲ではありますよね。だからドラマのオープニングとエンディングという意味でもすごくしっくりくるというか、安心感がある(笑)。CarlosさんはJ-POPらしい曲もたくさん手がけている方ではあるけど、僕と一緒にやるときはセオリーから外れた作り方をしてくださるのが面白いんですよ。一般的なセオリーに則った楽曲だとドラムパターンの次の手が読めたりするんだけど、この曲はまったく読めないですから。「え、次こうくる?」みたいな。今、ワンマンに向けてドラマーの方に入ってもらってリハをしているんですけど、やっぱりかなり難しそうです(笑)。とは言え、全体としてはうまく調和のとれたアレンジになっているとは思うんですけどね。

──この曲ではファルセットを多用したボーカルが印象的です。

そうですね。ファルセットを使うことで「I'm a slave for you」とは違った雰囲気のボーカルになることはわかっていたので、どれだけ混ぜていくか割合を考えながらいろいろ試していきました。

──シングルにはさらに2つの新曲が収録されています。「MOVIE」は、イアン・ファーカーソンさん、Jeff Miyaharaさん、ジェズ・アッシュハーストさんとの共作ですね。

Jeff Miyaharaさんを含め、皆さんアーティストとしてすごく成熟している方々ばかりで。そこに僕が入ることで、新しすぎず、でも熟しすぎずっていういいバランスの曲になったと思います。

──すごく瑞々しい雰囲気のあるサウンドですよね。

そうそう。年齢もキャリアも、聴いてきた音楽も違う人たちが集まることで、こんな曲が生まれるなんてね、やっぱり音楽ってすごいなって思いました。一緒にやったイアンさんとジェズさんがイギリスの方だったので、サウンド的にはUKっぽさをお願いしたところもありました。

──タイトル通り、1本の映画を観たような気持ちにさせてくれる歌詞もすごくいいなと。

ほぼ日本語だけの歌詞なので、そういう意味では歌詞にフォーカスすることが多いJ-POPを好む人にも聴いてもらいやすいかもしれないですね。僕の中には“読む音楽”を作りたいという気持ちもあるので、それが1つちゃんと具現化できた気がします。すごく気に入ってますね。

──もう1曲はアヴェナ・サヴェージさん、星野純一さんとの共作で生まれた「Be mine」。

これはデビュー作「Departure」に入っていた「R.O.C.K.M.E.」の続編みたいなイメージで作ったんですよ。歌詞のシチュエーションも同じ夜のダンスホールかバーみたいな地下の場所で。前作では書ききれないかった感情を、もう少し押し進めた感じですね。もしかするとまた続きが出てくるかもしれない(笑)。

──共作作業はいかがでしたか?

星野さんは出してくれるアイデアも面白いし、人としてもすごく面白い方なんですよ。この曲でもレコーディングが1時間かからないくらいで終わるという、ミラクルを起こしてくれましたね(笑)。アヴェナはすごくクレバーで、アカデミックなこともできるし、今のポップなことにもしっかり対応できる方だったので、すごくいいグルーヴを作りながら制作ができました。ライブではこの曲で盛り上がれたらいいなって思ってます。

ワンマンは何が起こるかわからない

──本作のリリースを経て、3月27日には初となるワンマンライブの開催も決定しました。どんな内容にしようと思っていますか?

川口レイジ

今、一生懸命準備しているところなんですけど、僕としてはどんなことになるのかわからないライブにしたいんですよ。何が起きるかわからないほうが楽しいのはお客さんはもちろん、僕も同じなので。

──え、川口さん自身も何が起こるかわからないライブにするということですか?

はい(笑)。もちろん決めるところはしっかり決め込んでやらないとめちゃくちゃになってしまうとは思うんですけど、その日ならではの空気感で、自由にできる余白をたくさん残しておきたいんですよね。だから楽器の方にも「ここはこういう雰囲気でお願いします」みたいなイメージを伝えるだけにしているパートもあったりして。譜面通りに演奏してもらうだけじゃ、絶対にいいグルーヴは出ないと思うので。

──どんな内容になるか楽しみですね。

僕がまず楽しみです(笑)。これまでのレパートリーを音源以上にパワーアップさせて披露したいと思っているので、楽しみにしていてほしいですね。

ライブ情報

Kawaguchi Reiji 1st One-Man Live「Departure」
  • 2020年3月27日(金)東京都 TSUTAYA O-nest