多方面で活躍するギタリスト・KASHIF(カシーフ)が、初のソロアルバム「BlueSongs」を完成させた。
神奈川・横浜の音楽クルー「Pan Pacific Playa」の一員として10年以上にわたって活動し、一十三十一、スチャダラパー、(((さらうんど)))、G.RINA、Sugar's Campaignといったアーティストのライブで才覚を発揮してじわじわと注目を集めているKASHIF。引く手数多のギタリストである彼が、トラックメーカー、作曲家、シンガーソングライターとしての実力を遺憾なく発揮したのが「BlueSongs」だ。
幅広いアーティストと交流のある彼だが、今作には作詞を手がけたイルリメこと鴨田潤と、2曲にボーカルで参加した一十三十一以外はゲストを入れず、あえてほぼ1人きりですべてのサウンドを作り上げた。打ち込みを主体としたひんやりとしたサウンドに、脈打つように静かに流れるKASHIFの歌とギター。その凜とした佇まいを表現したアルバムジャケットの肖像画は、大滝詠一の名作「A LONG VACATION」のジャケットなどで知られるイラストレーター・永井博がこの作品のために描き下ろした。
今回の特集では、KASHIFが現在に至るまでのキャリアを追いながら、彼がいかにして「BlueSongs」にたどり着いたのかを探った。またKASHIFをよく知るアーティストや本作の参加者から届いたコメントも掲載。さまざまな言葉から、KASHIFの人物像が浮かび上がってきた。
取材・文 / 松永良平 撮影 / 草場雄介
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KASHIFインタビュー
- KASHIF「BlueSongs」
- 2017年5月3日発売 / Billboard Records
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[CD] 2592円
HBRJ-1025
- 収録曲
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- Breezing
- On and On
- The Night
- Clean Up
- Desperate Coffee
- PPP I Love You(Part2.1)
- You
- Neverland
- Be Colorful
- BGM
- PPP I Love You(Part3)
- KASHIF(カシーフ)
- 横浜を拠点とする湾岸音楽クルー「Pan Pacific Playa」所属のギタリスト、作・編曲家、ボーカリスト。同じくPan Pacific Playaに所属する“ネオドゥーワップバンド”JINTANA & EMERALDSのメンバーでもある。2006年よりKASHIFとしてPan Pacific Playaで活動を始め、インディーズシーンでさまざまなアーティストのサポートを務める。ギタリストとしての活動を主軸としつつも、楽曲提供やサウンドプロデュースでも頭角を現し、ソロではDJをしながら同時にギターを弾く形でセルフセッションする“ギターDJ”スタイルでも活動中。2017年5月に初のソロアルバム「BlueSongs」を発表する。
アーティストが見たKASHIF
illicit tsuboi
先日自分も制作に関わり発売になったKANDYTOWNのIO「Mood Blue」というアルバムは “BLUE” という単語を象徴する色を感じさせる名盤でした。このアルバムにも同じワードがキーになってる。人は「BLUE」に何を想うか。そんな興味味深い答えが聴くとぼんやり見えてくる。それが正解かどうか、数々ジョイントしてるけどまだ実際にお会いしたことのない本人に機会ある時に聞いてみよう。
鴨田潤(イルリメ) 「BlueSongs」作詞担当
去年の日本語の回想がKASHIF君のalbum
XTAL
アルバム制作前に、こんな感じどう?っていうヒントを提案したのと、最後曲順考える役で、関わらせてもらいました。初めてデモ聴かせてもらった時、この感じで間違いない!と思ったの鮮明に覚えてます。KASHIF君が提示したこの音楽の世界観が、多くの人の生活に入り込むこと願ってます。
GONNO
一聴して昨今のシティポップリバイバルの流行を狙ったものとは一線を画す、音楽作品として素晴らしいアルバムだと思いました。
リフやドラムの置き方ひとつひとつに、音への愛情がこもってる。
G.RINA
たくさんのサポート演奏や日々のことに追われながらも、こつこつと自分の音を紡ぐ夜長のジョギング走、何周目だかででくわして、がんばりましょーと声をかけあった夜もありました。走りきった後コンクリートにねそべったときのひんやりした背中や見上げた夜空、じぶんだけの、でも世界とつかの間につながったような多幸感。そんな成分を集めたような音でした。KASHIFさんのアルバムをやっと聴くことができて、とてもうれしいです。
スチャダラパー
ANI
まだまだずっと先に完成するかと思ってたけど、けっこう早めにできたんですね。
おめでとうございます。
SHINCO
噂のシティボーイ、遅過ぎるデビュー。待った甲斐あり過ぎます!
砂原良徳 「BlueSongs」マスタリング担当
KASHIF君といえばサポートでギターを弾いているイメージしか無かったのですが、作曲もアレンジも素晴らしかったと思います。Mixは自分でやったとの事ですが、どの曲もレベルや音質が揃っていて非常に作業をスムーズに進める事が出来ました。
関美彦(波音収集家)
かつてある雑誌のコラムに書いた。無人島に持って行くレコードは何がいいか。
僕はその時「波の音のレコード」と書いた。
ターンテーブルに黒いヴァイナル、白い波、夏の太陽。
今なら僕は無人島にKASHIFくんのBlueSongsを持って行く。南の島で黄昏の青山通りの女の子を思い出しスコールをあびるだろう。
彼は旧知のギタリスト 下北沢のライブハウスで出会った。
何年かしてlyrical schoolのアルバムのクレジットに彼の名前を見つけた。偶然だが僕のバンドの北山ゆう子が彼のギターが好きだと言った。スタジオで出会い直した。
歌うギタリスト、街のサーファー、BMWのカーステに灼けたカセットテープ。確実にモテるなあ…このアルバム。
ZEN-LA-ROCK
アルバムを聴く前に本人とお茶をしていて、結構色々聞いて「期待をイイ意味で裏切る内容」的な事を言っていたので、まぢかよ?どんななのかな? と思ってましたが個人的にはKASHIF君120%でしたw
音制作含めMIXまでも自分でやるってすげーす。
改めておめです!クラシックス!!!
Photo:藤田慎一郎
永井博 「BlueSongs」ジャケットイラスト担当
たぶん2年くらい前だとおもうけど(3年前かも?)ツイッターで自分からレコード出す時ジャケットの絵描かせてくれないですか?って営業した。自分ではいつもの風景だとおもったけど、わたしの展示での人物画が気に入ったらしくて、自分の肖像画がいいっていわれた。シャツのストライプがむずかしかった(^^;)。
一十三十一
マイメンKASHIFくんついに素敵なブリージン出します。こんなにブルーでいいのかしら。we wish!
吉澤嘉代子
常温の声はいつの間にか生活に浸透する。
彼はいつも、過剰も不足もないまっすぐな眼差しで、世界を観察しているように見える。
ご主人の買い物中外で繋がれて待っている犬のように。