ナタリー PowerPush - KAREN
5年間の活動に終止符 バンド解散の真相語る
脱退したいというメールにとっさに「やだ」と返信
──曲作りは主に誰が中心だったんですか?
木下 でも1stの頃から作り方は結構変わってきてたかな。1stの頃とかは、例えば僕がメロディをつけた曲もあるし。トディーがリフ持ってきて作った曲もあるし。リズム隊の2人が引っ張っていって作った曲もあるし。
戸高 曲作りのきっかけはわりと、例えばギターリフであったりとか、メロディだったりとか。でもそれを構築していくっていう作業は、リズム隊がやっぱり重要で。歌詞とかメロディはやっぱり最終的にはアチコちゃんかなっていう感じでした。
木下 そうですね。2ndぐらいから、ほとんどセッションで作っていくっていう感じに変わっていったのかな。みんなそれぞれがやっぱり、アーティストだと思うんですよ。1人ひとりがこう、なんていうか、しっかり自分の考えを持った。だからそれは当然、幅として広くなるんですけど。
──さて、木下さんは脱退を考えて、その第一報はどなたに伝えたんですか?
木下 メンバー全員にメールしました。
──メールで?
木下 一括メールで。
一同 (笑)。
──そこメールなんですね(笑)。
木下 一括メールしちゃいました。
──なるほど(笑)。そんなメールをもらって、どう思われたんですか? みなさん。
仲俣 まずびっくりしました。
──そうですよね。兆しはあったんですか? なかったですか?
仲俣 うーん……僕は気付いてなかったですね。
──みなさん一緒の印象ですか? そうでもない?
秋山 兆し……そうですね、でも辞めるっていうほどのもんだとは思ってなかったです。だから驚きましたけどね。
──その後どうなるんですか? メールもらった。みんな驚いた……。
アチコ 驚いた。
──驚いて? それぞれがそれぞれにメール出し合う?
アチコ みんなの音楽性が、本当に良いバランスで合わさってできてた音楽だったので。やっぱりリッキーが辞めると、全然違うものになってしまうなと思って。そんな難しいことはあんまり考えてなかったかもしれないけど。とっさにまず「やだ」ってメールを(笑)、返しましたけどね。びっくりして。でもなんとなく「何か相談してくれるんじゃないかな?」っていうふうに思ってたんですよね、私は。なんとなく感じていて。彼が感じている音楽性の溝だったりとか、なんかそういうものをすべて話してくれると思ってたから。まさか答えが出てるとは思わなかったから(笑)。1回、ゆっくり考えたくて旅に出たりしましたけど(笑)。
──どこにですか?
アチコ ちょうどライブがあったりとかしたんで、少し早めに大阪のほうに行って、ゆっくりしたりとか。あとは明け方電車に乗って、海を見に行ったり。
──個人行動はともかく、バンドとしてはスタジオに入ったり、ライブだったりで顔あわせますよね。
戸高 で、まあ「ミーティングをやろうか」っていうことで、楽器を持たずにいつものスタジオに集まり。とりあえずその時点では、解散するとかっていうよりは「まあ、とりあえず話し合おう」っていうような感じで、スタジオに5人で集まって。リッキーの口から「こうこうこういうふうに思ってたんだ」っていうことを聞いて。みんな、それぞれが思ってたことをディベートし始めたっていう感じ。
5人で出してたKARENっていう音があった
──そして、最終的には解散っていう結論にいくわけですが。そのときの話の過程の中では、皆さんそれぞれどんなことを思われました?
仲俣 最初にメールをもらったときに、どういう選択肢があるかなっていうのは考えましたね。説得するのか、方向性をまたちょっといろいろ変えていくのか、4人でやるのかとか、考えたんですけど。まあ、やっぱ5人で出してたKARENっていう音があったんで。理樹くんじゃなくても「誰か1人欠けたらそれはKARENじゃないんじゃないかな?」っていうのは思って。じゃあ、それだったらKARENっていう名前での活動は一旦、解散っていう形がいいんじゃないかっていう。
──秋山さんはどうでした?
秋山 とりあえず説得っていうか、確認みたいな感じで、僕は僕で理樹くんとメールのやり取りをしたんです。初めの報告があったあとに。まあ、半分引き止め、半分確認みたいな。意志がどこまで固まってんのかな? っていうのと「理樹くんが感じているズレっていうのは、もしかしたら誤解なのかもしんないよ?」っていう確認っていうか、そういうことをして。ミーティングまでに、何回かやり取りして。僕は僕で選択肢っていうのは、いくつかあったんですけども。「やっぱり1人でも抜けたら、それはKARENではない」ということで、解散しようと。
──なるほどね。戸高さんも同じ考えですか?
戸高 そうですね。「もうちょっとやれることがあるかなあ」とは思ったんですけど、正直。でも、そこで話し合ってみて、「これはでも、もう仕方ないかな」と。不思議とそんなネガティブな気持ちにならなかったので。なんか、さっき仲俣さんと秋山さんがおっしゃってたとおり、解散っていう形でもいいのかなっていう。
──同じART-SCHOOLにいる戸高さんに「もうちょっとやれんのに、もったいねえな」みたいな気分が結構あったというのは貴重な発言だと思います。
戸高 どうだろうなあ……でも確かに、彼がKARENを当初から立ち上げた人間なんで。やろうとしてた世界観とかっていうのと、今やってること、今できている曲、その世界観のズレは確かにあるよなっていうのは感じてはいました。
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KAREN(かれん)
2005年結成。メンバーはアチコ(Vo)、ART-SCHOOLの木下理樹(G,Vo)・戸高賢史(G)、downyの仲俣和宏(B)・秋山隆彦(Dr)の計5人。都内を中心にライブを重ね、2008年5月に「MAGGOT IN TEARS」、2009年8月に「sunday girl in silence」と2枚のアルバムをリリースしている。