舞台挨拶はめちゃくちゃ緊張します

──山崎さんと近野さんは、それぞれ舞台は違えど人前に立って仕事をしてますよね。そこで、人前に立つときの心構えや気を付けていることがありましたら。

山崎　気を付けていること……。僕は舞台をやったことがないんで、なんとも言えないんですけど。ドラマや映画だと、お客さんはテレビの前やスクリーンの前にいるじゃないですか。現場にはスタッフしかいないから、観られてることを気にしないで役に入り込めるんです。

──例えば映画の舞台挨拶だと、お客さんが目の前にいますよね。

山崎　あっ。舞台挨拶はめちゃくちゃ緊張します（笑）。演技をするためにカメラの前に立つときとは全然違いますね。ライブと一緒にしちゃ申し訳ないんですけど、近野さんが言ったみたいに、1人ひとりの表情がすごく見えるんで、やっぱり緊張しますね。

近野　でも俺は、舞台挨拶みたいなもので緊張してる人って、役者としてすごく信用できるんですよね。自分もそうだからかもしれないけど。「この人、きっと演技はすごいんだろうな」って逆に思える。

山崎　ありがとうございます！（笑）

近野　役者という仕事はすごいですよね。カメラとスタッフしかいなくて、ほかに何にもない状態だと、何にもインスピレーション沸かないですよね！ 俺もテレビのコメント撮りをしたことがあるんですけど、訴える先にカメラのレンズしかないから、本当に戸惑う。だからそれを仕事にしてると思うと、本当にすごいと思います。

鴉の曲は弾くのが難しそう

──このPVが縁で、この先の共演につながると面白いですよね。例えば、今後鴉のライブに山崎さんが何らかの形で飛び入り参加すると、それも興味深いのでは、と思います。

近野　歌ったり？

山崎　いや、それはちょっと怖いです（笑）。

近野　アコースティックスタイルで、山崎さんに歌ってもらって、俺がギターソロ弾いてるだけとか。

──山崎さんは映画「管制塔」に出演されたときに、ギターを練習されたと聞きましたが。

山崎　一応やりました。けど簡単なやつですよ。

近野　俺、その映画観させてもらいましたけど、しっかりコード鳴ってましたよ。

──その後続けてます？

山崎　今もたまにやってます。「管制塔」しか弾けないんでそればっかり弾いてるんですけど。鴉の曲は、難しそうですよね（笑）。

近野　大丈夫です、簡単です。

──ぜひ教えてあげてください（笑）。

近野　そうですね（笑）。

ちゃんと曲が表現したい情景を描けているかを大事にした

──では最後に、近野さんにアルバム発売を控えた意気込みを話していただければ。

近野　今回は、今までの作品よりもいろいろと好き勝手にやらせてもらえたなと思ってて。例えば、今までは人の意見も取り入れて作っていこうみたいな気持ちがあったんですけど、今作はあんまりそういう気分になってないときに曲を選んだんです。だから選曲にもそういうモードが出てると思うし、デザイナーもエンジニアも、割とわがままに「この人にお願いしたい！」って主張を通して。なので、ライブでもその流れを引き継いで、自由にわがままにやっていければいいなと思います。

──3月に新ドラマーの榎本さんが加入されてから、これが初めての音源になります。今作では、音が非常にタイトになり、一本芯が通った印象を持ちました。

近野　そうですね。バンドっぽい音っていうのは、新しい鴉の色としてひとつあるのかな、と。あと、今までは割と外側に“放つ”感じで曲を録ってたんですけど、今回は、ちょっと“描きたい”なっていう気持ちがあって。

──描く？

近野　感覚としては。歌ってるときもギターを録ってるときも、感情は込めるけど、最優先するのはちゃんと曲が表現したい情景を描けているかどうか。簡単なことかもしれないけれど、だからこそしっかりやろう、表現しようと。そういう心構えを、このタイミングでしっかり打ち出したかったんです。

──なるほど。ところで、制作はこれでひと段落したんでしょうか。

近野　このミニアルバムでひと段落しつつも、でもちょっと余った、収録できなかった部分がまだあるので。今作を作って、またやりたくなってきたこと、心の中に渦巻いてることも出てきてるんで、次回作に反映できるよう詰めてるところです。

──この夏から秋への活動を経て、鴉がまた何を考えて何を出してくれるのかなというのを、ファンは楽しみにしてると思います。

近野　はい。考えます！（笑）

──そして、また新しいパッケージなり楽曲なりが完成した暁には、ぜひ山崎さんとコラボしていただけると。

近野　ぜひ。今回はさわやかなPVで演じてもらったんで、次はもっと、さわやかじゃないやつを（笑）。

山崎　はい。ダークなやつで。あははは（笑）。

鴉「列車」ビデオクリップ