ゆるく“TEKITWO”なラップ曲
──「うすうす」や「TEKITWO」のようなクラブユースのダンスミュージックサウンドは、これまでのKAQRIYOのイメージにはない曲だと思いました。
心鞠 syvaさん、引き出し多すぎますよね。こういう曲まで書けるんだってびっくりしちゃった。
ノア クラブミュージックっぽいというのは、デモをもらったときにみんなで話していたんですよ。
涙丸 派手な照明で歌ったら絶対気持ちいい曲だよ。ライブに向けて楽しみができたよね。
季 「うすうす」は先にTwitterで音源が公開されて、YOMIBITO(KAQRIYOTERRORファンの呼称)さんたちからも「クラブで流れてそう」みたいな反応がありました。ライブでどんな感じになるのか楽しみですね。それとこの曲でちょっとした挑戦をしていて……。
──どんな挑戦ですか?
季 曲の終盤、メンバー全員でハモるパートがあるんですけど、ここで私が一番低いパートを担当しているんです。これまでハモりで一番低いパートを担当したことがなくて。不安だったけど、やってみたら意外とうまく歌えたので、注目してほしいですね。
心鞠 私はもう1曲のダンスナンバー「TEKITWO」がアルバムの中で一番好きです。私、普段聴く音楽はゆるいラップが多くて、この曲はKAQRIYOで唯一自分が聴いてる音楽に近い要素を持っているんですよ。
涙丸 心鞠はデモが届いたときから、この曲が大好きだったよね。
心鞠 これはあとからスタッフさんに聞いたんですけど、実は「TEKITWO」は3人時代の幽世テロルArchitectのときに作った曲らしくて。当時のグループには空気感が合わなかったから寝かせていた曲らしいんですが、5人になって「Persona_」をリリースしたときに、今のKAQRIYOならこの曲が歌えるだろう、と思ってもらったみたいなんです。
涙丸 「TEKITWO」はカッコよく決まってる曲でありながら、歌詞がすごく自由なんですよ。
DKI タイトルからしてもう自由だよね。
涙丸 歌詞の中に「簡単でにゃんにゃん」というところがあって。え、なにこれ自由すぎる!って興奮したなあ。
スタッフ GESSHI類が「50分ぐらいで書いた」と言ってたよ。
心鞠 短い! 本当に適当じゃないですか!(笑)
5曲中4曲が心鞠の歌い出し
ノア 「TEKITWO」は心鞠が本当に生き生きと歌っているんですけど、私はこういうゆったりとした曲になじみがなかったから、歌うのが難しかったんだよね。どう歌えばいいかわからなかった。
心鞠 私は速い曲のほうが苦手かも。「Human fly」とかは、ハイテンポなラップで進む曲だからちょっと大変で。
ノア 逆に私は「Human fly」が得意な曲だったかな。私はアップテンポなラップの曲がすごく好きなんです。デモが送られてきたときにンションの高い喜びのLINEを送ってしまって(笑)。あとから読み返してすごく恥ずかしかった……。
心鞠 この曲はロンドに似合ってると思う。
ノア 韻の踏み方だったり、イントネーションだったり、後乗りの感覚だったり、KAQRIYOに入っていろんな歌い方を教わったんですよ。で、これまでは教わったことをちゃんと体現するだけで精一杯だったんですけど、「Human fly」は考えながらも楽しんでレコーディングできた。今までそういう経験がなかったから、それがすごくうれしくて。
──「Human fly」は作曲のクレジットがちょっと特殊ですよね。トラック制作がcyverMINKさんで、作曲が水谷和樹さん。
涙丸 今までにないKAQRIYOの色を別の作家さんが発掘してくれるのは本当にありがたいですね。
心鞠 ラップのフロウ、実はBeastie Boysをオマージュしているんですよ。
季 「ちぇっちぇっちぇっちぇっちぇっちぇちぇけらー」とか。かなり寄せて歌っていたり……。
──そういう遊びがある曲も珍しいですね。
心鞠 新しい作家さんにサンプリング、という組み合わせでもどこかKAQRIYOらしいのが不思議だよね。
ノア 「Human fly」は心鞠が歌い出しから飛ばしている感じがすごく好き。
心鞠 実は新曲5曲中、4曲の歌い出しを私が担当しているんです。歌い出しって、その曲の雰囲気を壊しちゃいけないから、すごく大事だと思っているんですよ。だからどの曲も、どう歌うかをすごく考えました。
涙丸 この話、社長にしたら全然気付いてなかったんですよね(笑)。
心鞠 うん。歌い出しを誰にするかは特に意識してなくて、キーの高さや歌詞の言葉に合うメンバーで決めているみたい。心鞠が4曲も歌い出しをやるとわかって、逆に驚いていたくらいだったから(笑)。
──それは心鞠さんの存在感がグループ内で増しているからじゃないですか?
季 確かにそうかもしれない。
心鞠 そうだったらうれしいな。
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発音にうるさかった