2025年8月にデビュー20周年を迎えるにあたり、Aqua Timezが再始動。約6年ぶりに5人で活動を展開している。再始動後第1弾となる新曲「ヒトシズク」は、サントリー「ザ・プレミアム・モルツ〈ジャパニーズエール〉香るエール」のタイアップソングに決定。Aqua Timezのデビュー記念日である8月24日には「香るエール」とのコラボで制作されたミュージックビデオも公開となった。
「香るエール」とAqua Timez。このコラボの実現の奥には、両者の共通点とサントリーの「香るエール」担当者である神里元さんの熱い想いがあったという。
音楽ナタリーではAqua Timezと神里さんにインタビュー。バンドの再始動や今回のコラボについての想いを聞いた。「ヒトシズク」のMV撮影時の写真と合わせて、両者の想いを受け取ってほしい。
取材・文 / 小松香里撮影 / YURIE PEPE
Aqua Timez再始動「やっとここまで来たね」
──Aqua Timezの活動再開に際して、まずは皆さんの今の想いを教えてください。
太志(Vo) 1年くらい前から再始動をすることは決めていたので、自分はそれをなかなかファンのみんなに言えないもどかしさを感じていました。でも、スタジオに入ったりしながら新曲をたくさん作っていく1年でもあったので、8月2日にファンクラブ会員限定ライブができたことで「やっとここまで来たね」という感覚をメンバー5人とスタッフ全員が感じていると思います。
──期間限定の活動再開にしたのはどうしてだったんでしょう?
太志 現実問題として、メンバーそれぞれの活動があります。ドラムのTASSHIは会社員なので、平日の活動は有休を使って参加してくれているんですよね。
TASSHI(Dr) 今日も有休です。すさまじい勢いで有休が溶けていっています(笑)。
太志 TASSHIが「やる」と言ってくれたから僕らは活動ができています。TASSHIが前向きにやってくれる以上、どんどん有休を使ってもらいたいなと思っています(笑)。
「ヒトシズク」は「香るエール」にすごく合う曲調
──サントリーさんが「香るエール」のコラボレーション相手としてAqua Timezにオファーをしたのはどうしてだったんでしょう?
サントリー神里元(ビール本部プレミアム戦略部「香るエール」担当者) 大きく分けて2つの理由があります。1つ目はとにかく「香るエール」の話題化を図りたいということ。ビール市場は年々高齢化が進んでいるのですが、その中でも「香るエール」は30~40代の方々にご支持いただいております。象徴的な飲用シーンとして、仕事でつらいことや嫌なことがあったときに「香るエール」を飲むことで気分が晴れたり、心が弾んだり、あるいは自由な気持ちになれたりという機会を提供できていると思っています。メインの購買層とAqua Timezさんのファン層はまさに世代が重なりますし、「香るエール」が提供できている飲用シーンはAqua Timezさんの曲を聴いたときに感じる想いや気持ちに通じるなと思ってオファーさせていただきました。そして、もう1つの理由のほうが大きいのですが、純粋に僕がAqua Timezさんの大ファンなんです!
mayuko(Key) ありがとうございます!
OKP-STAR(B) 本当にありがたいお話だと思いました。僕はけっこう前から「香るエール」を飲んでいたので、こういったタイミングでお話をいただくことに運命を感じましたし、神里さんのAqua Timezへの熱い想いが伝わってきて、それに応えたいという気持ちがバンド内にありました。太志がタイトなスケジュールの中、すごい集中力で楽曲を作り、みんなで完成させられたことがうれしいです。
太志 もともと新曲は何曲も作っていたんですが、やっぱりそれが「香るエール」にうまくハマるわけでもなくて。時間はなかったんですが、自分たちがファンのみんなとどう再会していくか?ということだけを考えて書いた曲がばっちりハマってくれました。
mayuko 私の「香るエール」に対しての勝手なイメージは、すごくさわやかな青空みたいな感じで。「ヒトシズク」は「香るエール」にすごく合う曲調だなと思いました。私たちにとって活動再開後初めての曲でもあり、とてもAqua Timezらしい曲なのですごくいいと思いました。
大介(G) 最初に聴いたデモは歌とピアノだけだったんです。その時点ですごくいい曲だと感じたし、バンドでやったらもっとよくなるなと直感的に思いました。実際、バンドでああだこうだ言いながらアレンジしたら、想像通りよくなって。アレンジする際に意識したのは、5人で演奏したときに誰も隠れない、1人ひとりの音が際立つようなサウンドにするということでした。「香るエール」にマッチする曲調になっているのもうれしいですね。
「香るエール」で乾杯したくなるような曲
──神里さんは「ヒトシズク」を聞いたとき、どう思いましたか?
神里 「Aqua Timezだ!」と思って震えました。純粋にすごくいい曲だと思いましたし、こうやって皆さんがまた集まってひとつになるということが歌詞にも込められていて。再結成の1発目の曲としてめちゃくちゃいいなと思いましたし、「香るエール」で乾杯したくなるような曲でもあるなと思いました。本当にありがたかったです。
──神里さんは、そもそもAqua Timezのどんなところが好きなんでしょう?
神里 初めて聴いたのがデビュー曲の「等身大のラブソング」でした。僕はその頃留学していて、なかなか日本の曲に触れ合う機会がなかったんですが、中学2年生のとき、一時帰国した際に「流行りの曲は聴いておこう」くらいの軽い気持ちで日本の曲をいろいろと聴いていったんですね。そこで「等身大のラブソング」に出会ったときに「なんだこの曲は?」と鳥肌が立って、気付けば何度もリピートしている自分がいました。そこからずっと大ファンです。
──「等身大のラブソング」にまつわる思い出があったりするのでしょうか?
神里 それをこの場で話すのはちょっと恥ずかしいんですが……(笑)。
mayuko (笑)。めっちゃ聞きたい!
神里 中学2年生のときに初恋を経験したんですが、相手が現地の方でその言語をうまくしゃべれなくて、なかなか想いを伝えられないときに「等身大のラブソング」と出会ったんです。恋愛経験がないとか、言語が通じないとか、思い巡らせていたのですが、“あれこれ考えるよりも、行動に移してみよう”というメッセージが心に響き、勇気を持って告白しました。まさに僕にとっての青春の曲です。
太志 僕らの曲はたくさんの少年少女の青春ソングになっていて。例えば「千の夜をこえて」という曲を聴いたおかげで告白できて、結果振られましたという話をよく聞きます。多くの失恋を生んでしまったわけですが(笑)、皆さん本当に清々しい顔でそう言ってくれるので「言わないより言ったほうがいい告白だったんだろうな」と感じています。自分たちはとにかく必死に音楽を作っていましたが、曲を聴いてくれる人それぞれの人生があって、恋や将来に対してすごく悩んでいたりする。その不安と僕たちの音楽が合わさる瞬間があって、少しでも支えになってくれていたと思うと本当にやってきた甲斐があります。「ヒトシズク」も、大人になった聴き手の支えになるような曲にしようと思って作りました。僕ら自身もそれなりに年を重ねましたが、ファンのみんなも年を重ねて、それでも悩みがなくならない中でどう生きていくか?というところを表現できた曲だと思っています。
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5人で演奏すると、この5人の音になる