思い出いっぱいの“武者修行”ツアー

──3月から4月にかけて弾き語りツアー「ご挨拶ワンマンツアー2017『勇者を探して三千里～ぼっちで広げる旅の地図～』【弾き語り編】」、そして5月から6月にかけてはバンド編成のツアー「とうめいはーん!!!ふくをマネくぜ勇者たち。【バンド編】」を開催されましたね。特に弾き語りツアーは1カ月半ほどの期間で17会場を回りました。

弾き語りツアーは地元・九州エリアの行ったことがない土地をメインに回りました。各地に人が集まるか不安だったんですけど、決まったからにはやるしかないと覚悟を決めて臨みましたね。自分の音楽がどれだけ全国に届いているのか、そしてどんな人に届いているのかを知れたことがこのツアーでの一番の収穫です。あとは技術的な面で成長できたなと思います。

──これだけの本数をこなすとなると、精神的な面も鍛えられたのかなと思います。

メンタルもかなり鍛えられましたね。私がライブをやり始めた頃はお客さんが1人でもいればいいと言う感じだったので、今回もそれくらいしかいない可能性もないなと思っていました。「来てくれた人に絶対楽しんでもらえるライブにしたい」という思いはその頃から変わっていなくて、そういう思いで臨みました。実際は各会場にたくさんのお客さんが集まってくれて、ステージへ出るたびに「ありがとう……」って気持ちで泣きそうになりましたね。武者修行という言葉がぴったりなツアーでした。

──道中での思い出はありますか？

おいしいものをいっぱい食べました。私は生もの全般が苦手なんですけど、熊本で食べた馬刺しがおいしくてびっくりしました。あと仙台で飲んだ“ずんだシェイク”が豆の味もしっかりするけど甘くて衝撃的でした。弾き語りツアー最後の京都公演の前日に浴衣を着て街を練り歩いたのもいい思い出です。

──バンド編成ツアーはいかがでしたか？ 私はツアーファイナルに伺わせていただきましたが、超満員で大盛り上がりでした（参照：カノエラナ、貧乳派の日高央と“おっぱい”ソングでコラボ）。

ありがたいことにたくさんのお客さんに来ていただけました。バンドメンバーも回を重ねるごとに仲良くなっていて、すごく楽しめましたね。今ではバンドメンバーの“グループLINE”なるものまであるんですよ。たまに変な画像やスタンプを送りあったりして、ツアーが終わった今も仲良くやってます。

当時の思いを「私立カノエ厨学校校歌」に込めて

──メジャー3作目となるミニアルバム「『カノエ暴走。』」は、“おっぱい”がテーマの「たのしいバストの数え歌」や何かにハマって抜け出せない様子をコミカルにつづった「沼に落ちて」など、カノエさんらしい斬新な切り口の楽曲がそろった個性全開な1枚になりましたね。

完全にメーターを振り切った感じです（笑）。「『カノエ参上。』」は「こんにちは。はじめまして」という感じだったんですが、ロック要素の強い「『カノエ上等。』」で「やってやるぞ！ オラァ！」って感じを醸し出し、今回はさらにそこから進化して暴走気味になったので「『カノエ暴走。』」というタイトルにしました。個性を炸裂させすぎましたね。

──オープニングを飾る「私立カノエ厨学校校歌」は先日の東京・WWW X公演でも披露されていました。校歌を作るというのは斬新なアイデアですね。

今年の頭に佐賀の小学校で歌わせていただく機会があって、そこで小学生たちが校歌を歌っているのを聴いて「あ、私にも“校歌”があったらいいな」と思ったんです。ずっと前からライブってなんだか授業みたいだなと思ってたんですよ。

──確かにアーティストが先生、お客さんが生徒のようにも取れますね。

そう！ だから学校みたいなんです。あと私自身校歌の伴奏をよくやっていたので校歌っぽい曲の作り方はわかるなと思って。本当はみんなと一緒に歌いたかったんですけど、伴奏を担当することがほとんどだったんです。ピアノが弾ける人が各クラスに振り分けられちゃうから絶対私は伴奏係。だから今回校歌を歌うことができてうれしいです。

みんなのほうが全然マシ！って励ます歌

──「沼に落ちて」もすごい曲ですよね。抜け出せないことを底なし沼に例えて、ハマったら抜け出せないジャンルや作品に“沼”という言葉を使いますが、この曲はまさにそれを歌った曲で。

うふふ（笑）。そうなんです。私の場合はアニメにハマったことを書いています。歌詞にもあるんですけど、私は流行りを少し過ぎたアニメを後追いで観るようにしてるんですよ。なんでかというと、グッズとかいっぱいあったら買って破産しちゃうから（笑）。

──最近ハマっているアニメはありますか？

「僕のヒーローアカデミア」ですね。これは普通に流行ってるアニメなのでまずいんですよ。沼です……。

──ちなみに今までで一番ハマったアニメはなんですか？

私がアニメにズブズブにハマるきっかけになったのは「銀魂」です。あとは「鋼の錬金術師」も。わりと萌系も日常系も子供たちが観るようなものも好きで、幅広く嗜んでます。特に好きなのはバトルモノと異世界モノで、常に呪文を唱えてるようなアニメが好物です。

──オタクであることを肯定してくれる曲で、なんだか新しい切り口だなと思いました。

私の曲は自虐的なものが多めなんですけど、これは「あー、またハマっちゃった。まあでもいっか」みたいな感じに開き直っている曲なんです。「こんなにどうしようもない人がいるからみんなのほうが全然マシ！」っていう形で励ます曲です（笑）。