カノエラナが7月19日に3rdミニアルバム「『カノエ暴走。』」をリリースした。

「『カノエ暴走。』」は「『カノエ参上。』」（2016年8月発売）、「『カノエ上等。』」（2017年2月発売）に続く、「『カノエ○○シリーズ』」の3作目。今作には“おっぱい”をテーマにしたリード曲「たのしいバストの数え歌」をはじめ、カノエらしさを散りばめたナンバーが6曲収録された。

今回音楽ナタリーではカノエのソロインタビューに加え、「たのしいバストの数え歌」を絶賛する亀田誠治からのコメントを掲載。彼女の魅力を外側と内側から紐解く。

※本文中「『カノエ暴走。』」の正式タイトルは、二重カギカッコが一重カギカッコの「カノエ暴走」。

取材・文 / 清本千尋　撮影 / 後藤壮太郎

男女の本能的な性（さが）を見事に言い切った究極のラブソングと言えるでしょう

カノエラナさんの「たのしいバストの数え歌」にハマっています。

このMVを見れば、パソコンやスマホの前のあなたもノックアウトされるはず！

誰もが知っている「ABCの歌」（日本では「きらきら星」としても有名ですね。）のメロディに乗せて「ABCDEFGあなたが好きなの何カップ？」と歌われた瞬間、男子は「ヤバい！」という心の中を見透かされた気分になり、女子は「ほら、やっぱり！」という、“してやったり”な気分になります。世の中、男女にまつわるエトセトラを歌ったラブソングは星の数ほどあるけれど、この「たのしいバストの数え歌」は、曲が始まった瞬間に、しかも誰もが知っているメロディで、「LOVE」と言う名の、男女の本能的な性（さが）を見事に言い切った究極のラブソングと言えるでしょう。

幼稚園や保育園でお絵かきを習うような敷居の低さで、僕らを受け入れてくれる

さらに、この曲はキーがin Cです。Cはドレミで言うところの「ド」の音。だれもが生まれて初めて楽器を触る時にポーンと弾く「ド」の音から始まっている。これってとても大切なことで、「ABCDEFG」が「ドドソソララソ」になっている。皆さんもきっと、お教室で「ドドソソララソ」って歌いましたよね!? そうなんです。「たのしいバストの数え歌」は、幼稚園や保育園でお絵かきを習うような敷居の低さで、僕らを受け入れてくれるんです。

僕が、思わず泣けるのは、1:25あたりの「ABCDEFG君を好きな 私は本当はAカップ」のところです。ここではバックのコードが今までのCから、Fに変わっているため、同じメロディなのに、どこか胸キュンな響きを体感することができるのです。そんな情景の中で、大切な人に「君を好きな 私は本当はAカップ」と告白するのだから、この女の子が、健気でピュアで、なんだかすごく泣けてきちゃいますよね。

喜怒哀楽が見え隠れするこの“幕の内弁当感”がカノエラナさんの最大の魅力なんだと思います

このように「たのしいバストの数え歌」は、ただ楽しいだけの曲ではありません。言葉と音楽が見事な化学反応を起こして、作り手のカノエラナの感性を、聞き手の気持ちに変換させることに成功しているのです。

そのほかにも、ドヤ顔のギターの弾き語りパートがあったり、ガチの巨乳ギタリストに扮する藤田恵名さんがギターソロを引き倒したり、最後は「E女」を目指して登場キャラ全員でスマイル光線を発したり……1曲の中にたくさんの風景と、喜怒哀楽が見え隠れするこの“幕の内弁当感”がカノエラナさんの最大の魅力なんだと思います。

本物のアーティストと出会ったときだけに感じる、鳥肌が立ったのです

でも、それもこれもすべて、彼女の歌の表現力あってからこそ。今年の頭にラジオにゲストで来てくれたカノエラナさんが、僕の目の前で、ギター一発で「ABCDEFGあなたが好きなの何カップ♫」と、ど迫力で歌いきったその10秒間で、僕は本物のアーティストと出会ったときだけに感じる、鳥肌が立ったのです。もっと彼女の音楽性を知りたい！と僕は思わずライブに足を運びました。縦横無尽、変幻自在に歌う彼女は、会場全体を幸せにするジャンヌ・ダルクのよう。

カノエラナさん、3rdアルバムもご機嫌です。今、最もパワフルなアーティストだと思います。