神田莉緒香|今、加速するとき

神田莉緒香がこの春、所属レーベルをUNIVERSAL GEARに移籍。6月7日に移籍後第1弾となる新作ミニアルバム「ACCELERATOR」をリリースする。エモーショナルなリード曲「MOONSHOT」や、勢いのあるロックチューン「FULL-DRIVE」、キーボード弾き語りによる「ゆりかご」などを収録した本作は、前作「大きくて小さい世界」に続き、神田のセルフプロデュースによる作品。神田は共同プロデューサー兼アレンジャーの中村タイチ(G)をはじめ、種子田健(B)、あらきゆうこ(Dr)といったトップミュージシャンと共に入念なプリプロを重ねたことにより、豊かな魅力を持った今作を完成させた。音楽ナタリーでは、神田に「ACCELERATOR」の制作プロセス、シンガーソングライターとしての意識の変化、さらに11月1日に3年連続で実施する東京・赤坂BLITZでのワンマンライブなどについて語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 西槇太一

1曲ごとに挑戦が詰まった「ACCELERATOR」

──新作「ACCELERATOR」がリリースされます。昨年11月に発表された2ndフルアルバム「大きくて小さい世界」以来の作品となりますが、制作はいつ頃から始まったんですか?

「大きくて小さい世界」をリリースした直後から、スタッフとは「来年(2017年)すぐに次の作品を出したいね」と話していて。実際に曲を書き始めたのは2016年の年末です。その時点では特にテーマは決めてなくて、「1曲1曲、何かしら挑戦したい」という気持ちで作っていました。今までになかった曲調だったり、もっと歌詞に深みを出すことを意識したり。そういう新しいトライの中で、少しずつ作品の全貌が見えていきました。

──ロックテイストの「FULL-DRIVE」、弾き語りによる「ゆりかご」など、明確な方向性が感じられる曲が多いですね。

神田莉緒香

ありがとうございます。それはたぶん、前作でセルフプロデュースに挑戦したことが大きいと思います。「大きくて小さい世界」については多くのファンの方に「今までで一番よかった」という声をいただいたこともあって、自分がやっていることに対して、少しずつ自信を持てるようになりました。だから今回は「やりたいことをもっと突き詰めてもいいんだ」という気持ちで制作に臨めたんですよ。プリプロもしっかりやれたし、ミュージシャンの皆さんからもいろいろなアイデアをいただけました。

──セルフプロデュースの精度が増して、やりたいことがさらに実現できるようになりましたか?

はい。前回の制作はセルフプロデュースと言いつつも、中村タイチさんに任せていた部分もあって。今回は1曲1曲に対して「こんなふうにやりたい」というイメージがハッキリしていたし、それを皆さんと一緒にブラッシュアップした感覚なんです。アレンジについてのディスカッションもできるようになってきたし、制作におけるタイチさんと関係性もさらによくなってきたと思います。

──レコーディングには、あらきゆうこさん、種子田健さんが参加しています。

「ゆりかご」は鍵盤の弾き語りなんですけど、それ以外の4曲は種子田さん、あらきゆうこさんに参加してもらっています。お二人共神田莉緒香の音楽にすごく愛を持ってくれているし、私がやりたいことを尊重しながら「こういうアレンジもカッコいいと思うけど、どう?」と提案してくれて。もちろん日本のトッププレイヤーですし、お二人が演奏すると何倍もカッコよくなるんですよ。「希望的観測」と「I'm home」はアナログテープにレコーディングした音源を使っているんですが、それも種子田さんのアイデアなんです。この2曲はちょっと空気が違うというか、聴いている人のすぐそばで鳴っているような安心感があると思います。

セルフプロデュースで心に余裕ができた

──楽曲の内容、サウンドを含め、全体を通して大人っぽくなった感じがします。

あ、うれしい。去年からずっと「大人のレディになる」って言ってるんですよ。実際にはそんなに変わってないと思いますけど(笑)、今年の3月で25歳になったし、「大人になったな」と感じてもらえる作品にしたかったんです。今回の作品はメジャーレーベルからのリリースで、関わってくれる人も増えて。周りに頼ってばかりはいられないですから。

──年齢は気になるタイプですか?

神田莉緒香

そこまで気にしてないです(笑)。18歳、19歳くらいの頃は「◯◯歳までにメジャーデビューしたい」とか「あのステージに立ちたい」と思っていたんですけど、一昨年くらいから、あまり気にならなくなってきたので。すごく幸運なことだと思うんですけど、オーディションでグランプリを獲ったり、Goose houseに参加したり、10代の頃から恵まれた環境に居させてもらって。でも、20歳を過ぎて自分の活動に本腰を入れてからは、なかなかうまくいかなかったんです。失敗を重ねていくうちに「こうやればいいんだな」というのがわかり始めたのが、ちょうど一昨年くらいなんですよ。それ以降は「焦ってもしょうがない。自分のペースでやろう」と思えるようになったし、心に余裕を持てるようになって。セルフプロデュースで制作できたのも、そういう意識の変化が大きいと思います。

──失敗してみないと気付かないこともありますからね。

そうなんですよ、できれば失敗はしたくないけど(笑)。私は器用なタイプではないので、1つひとつ理解しないと先に進めないし、時間がかかるんですよ。以前は「なんでもパッとやれるはず」と思ってたんですけど、そうじゃなかったみたいで。なかなか前に進めない時期を支えてくれたチームの皆さんには、本当に感謝してます。みんながいたからここまで来られたし、今回のメジャーレーベルとの出会いにもつながったと思うので。

神田莉緒香「ACCELERATOR」
2017年6月7日発売 / UNIVERSAL GEAR
神田莉緒香「ACCELERATOR」

[CD]
2000円 / POCS-1595

Amazon.co.jp

収録曲
  1. MOONSHOT
  2. FULL-DRIVE
  3. ゆりかご
  4. 希望的観測
  5. I'm home
神田莉緒香 PRIMAL ACCELERATION TOUR 関東ライブハウスツアー 2017
  • 2017年6月17日(土)埼玉県 西川口Hearts
    神田莉緒香 / Chelsy / immortal noctiluca
  • 2017年6月25日(日)神奈川県 横浜BAYSIS
    神田莉緒香 / あんにゅ(コアラモード.) / Chelsy / 美波(※オープニングアクト)
  • 2017年6月30日(金)千葉県 KASHIWA PALOOZA
    神田莉緒香 / LIFriends / 赤と嘘
  • 2017年7月7日(金)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
    神田莉緒香 / 鶴 / Qaijff
  • 2017年8月1日(火)東京都 渋谷Star Lounge
    神田莉緒香 / Qaijff / Lily's Blow
2017.11.1 KANDAFUL WORLD Vol.8
  • 2017年11月1日(水)東京都 赤坂BLITZ
神田莉緒香(カンダリオカ)
神田莉緒香
東京生まれのシンガーソングライター。高校2年のときに参加したSony Music主催のオーディションライブでグランプリを獲得し、歌手活動をスタートさせる。2013年に「boyfriend?」「Twilight」という2枚のシングルをリリースし、2014年4月に初のフルアルバム「Wonderful World」を発売。2015年4月から10月にかけて47都道府県ツアーを実施し、ツアーファイナルを東京・東京国際フォーラム ホールD5で行った。12月に東京・赤坂BLITZでワンマンライブを実施し、ベストアルバム「いつだってベスト!」を発表。2016年は6、8、10月と2カ月おきに配信シングルを、11月にニューアルバム「大きくて小さい世界」を発表したあと、2度目の赤坂BLITZ公演を行った。2017年6月にUNIVERSAL GEARよりミニアルバム「ACCELERATOR」をリリース。同月より対バンツアー「PRIMAL ACCELERATION TOUR 関東ライブハウスツアー 2017」を開催し、11月には自身3度目となる赤坂BLITZでのワンマンライブを控えている。