音楽ナタリー Power Push - 神田莉緒香×あらきゆうこ
2度目の赤坂BLITZへ向け日々成長中
お題をもらってものの1分で曲作り
──シンガーソングライターとしての根幹である“歌”を深めていくことも大事ですよね。
神田 そうですね。私は高校生のときに曲を書き始めたんですけど、18歳の頃と24歳の今では、選ぶ言葉やメロディ、歌い方も含めてなんとなく変わってきていて。今までは女の子っぽい部分が強かったんですが、これからはもっと大人な女性像も歌っていきたいなって。レディになりたいんですよ、私。
あらき そうなんだ(笑)。
神田 あと、去年の47都道府県ツアーも自分にとってはすごく大きくて。全体の3分の2くらいは私1人で回ったんですけど、本当にたくさんの人たちと出会うことができたんです。ライブハウスの方だったり、地元のお客さんだったり。そうやっていろんな人と触れ合う中で、自分が作る曲も変化してきたんですよね。ツアーの中で感じたことを深めて、もっともっと素敵な曲を書きたいって思うようになったので。
──なるほど。あらきさんに聞きたいのですが、歌詞の内容は演奏に影響しますか?
神田 あ、気になる。
あらき これもドラマーによると思うんですが、私の場合、歌詞はほぼ気にしてないですね。曲のタイトルとフッと入ってくる言葉……例えば「ハリネズミ」とかそういうのはイメージしてますけど、歌詞の内容はほとんど意識しないので。「この曲は青のイメージなんです」と言われて、私が黄色をイメージしてドラム叩くとするじゃないですか。それでも「そうそう。わかってもらえましたね」って言われることなんて、いくらでもあるので。
神田 あははは(笑)。でも、そうですよね。
あらき だから、自分なりの感覚で曲に近付ければいいのかなって。
神田 私も「アップテンポで元気な曲調だけど、歌詞の中では失恋してる」という作り方をするし、そういうギャップが好きなんですよ。例えば「炭酸ペットボトル」も失恋の曲だし。
あらき え、ホント?
神田 そうなんです(笑)。「好きになった男の子にはほかに好きな子がいるので、明日から彼のことは友達だと思うことにしよう」という内容なので。でも、曲調はすごく明るいんですよね。
──神田さんは歌詞を先に書くんですよね?
神田 はい。まず詞を書いて、それを曲にしていくというか。
あらき なるほど、だから即興で曲が作れるのか。ライブのときにお客さんからお題をもらってその場で歌にするんですけど、そのクオリティがすごく高くて。
神田 リハーサルのときも「日本酒」「カレーライス」「シンバル」で曲を作ったりしてましたね。
あらき ものの1分くらいで作っちゃうし、しかもAメロだけではなくてちゃんと起承転結がある曲になってるんですよ。いつも「もったいないから、録っておいたほうがいいのに」って思ってました。
神田 すぐに忘れちゃいますからね(笑)。弾き語りだけじゃなくて、即興で演奏もしてみたいです。
あらき お、難しそう。もうちょっと莉緒香ちゃんのクセみたいなものがわかるようになったらやれるかも。
──曲を作るときも、まずはテーマをはっきり決めるんですか?
神田 最近はそうなりましたね。「ツアーで感じたことを曲にしよう」とか「“ハリネズミ”をもとにしよう」とか。この前、入学式に呼んでいただいで歌ったんですけど「入学式で聴いたときに“がんばろう”と思える曲を作りたい」と思って、“花びらの波”というワードから作り始めたんですよ。
ずっと手を引いてもらってたけど少しずつ1人で歩き始めた
──6月29日に配信される「ハッピーソング」「僕と君のストーリー」についても聞かせてください。
神田 「僕と君のストーリー」のテーマは青春ですね。学校の教室を舞台にして、1人の男の子の片思いを歌詞にしてみようと思って。この歌詞も47都道府県ツアー中に書いたんです。電車に乗ってると学生が乗り込んできて「もしかしてこの男の子はこっちの女の子のことが……」って想像を膨らませながら(笑)。「ハッピーソング」はトリオライブのときに初めて披露したんですが、ライブで聴いたときに「明日は絶対、いい日になる」と思えるような曲にしたいなって。
──直接オーディエンスに向けられた曲なんですね。
神田 一緒に歌える曲になればいいなって。お客さんが自発的に手拍子をしてくれて、ライブの中で自然に成長しているのもうれしいですね。Twitterでも「アンコールの最後にやった曲がよかった」という声をもらっているし。
あらき ライブのときもいい感じだったからね。
神田 はい。ライブのときのあらきさんのドラムや種子田さんのベースを聴きながらアレンジを決めたりもしていて。キラキラした雰囲気の曲に仕上がると思います。
──中村タイチさん、あらきさんに引っ張ってもらう時期から、ライブにおいても制作においても独り立ちの時期を迎えているのかもしれないですね。
神田 今年は本当にそうだと思いますね。今まではずっと手を引いてもらってたんですよ。「次は右に曲がるからね」「そこに段差があるから気を付けて」みたいな感じで。今年のトリオ編成のライブから少しずつ1人で歩き始めて、その後の弾き語りツアーでは山道に挑んでるような感覚もあって。つまずいたり転んだりすることもあると思うけど、ライブと新曲の制作を一生懸命がんばって、11月の赤坂BLITZでは「ちょっとはたくましくなった」って思ってもらえるようなライブをしたいですね。
──大人の女性になるという目標もありますからね。
神田 そうですね(笑)。やっぱり、あらきさんはカッコいいんですよ。リハが終わったあとも、あらきさんと種子田さんは飲みに行ったりするんです。私はもうヘトヘトで「お、お疲れさまでした……」みたいな感じだったんですけど(笑)。私も一緒に飲みながら「あの曲はこういう感じにしたい」っていう話ができるようになりたいなって。そうすればもっと音楽が楽しくなると思うし。
あらき そうだね。今、莉緒香ちゃんは経験していないことをやろうとしているから、神経を使っちゃうんだよね。それはいいことだし、経験値を増やすことですぐに復活する力も培われると思う。私は「絶対に大丈夫」っていう安らかな気持ちで見守ってます。
神田 ありがとうございます!
──11月の赤坂BLITZのライブまでに神田さんの音楽にどんな変化が起きるか楽しみです。
神田 新曲も増えますからね。11月の赤坂BLITZは去年のライブとはまた違う、新たな一面を見せられたらなって。もっともっと神田莉緒香の音楽を楽しんでほしいし、ハッピーな空間を作りたいですね。6月から2カ月ごとに配信される曲もヒントになると思うので、ぜひ期待してほしいです。
あらき 私も楽しみです。バンバンやらせてもらいます!
神田 あと衣装もライブ用に作りたいと思ってるんです。今日着ているのもKOSTUMOというブランドのシャツなんですけど、ちょっと変わった生地をパッチワークみたいにしていてすごくかわいいんですよ。今、私のためにオリジナルのシャツを作ってもらってるんですけど、それもすごく楽しみで。あらきさんもどうですか?
あらき 着たい! 私、七分袖のシャツがいいな。
- 連続配信シングル 第1弾「ハッピーソング / 僕と君のストーリー」 / 2016年6月29日発売 / 450円 / HI-RESO MUSIC
- 「ハッピーソング / 僕と君のストーリー」
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収録曲
- ハッピーソング
- 僕と君のストーリー
連続配信シングル
- 第2弾 2016年8月31日発売
- 「走れハリネズミ / 帰る場所」
- 第3弾 2016年10月12日発売
- 「バンビ / さいごに」
KANDAFUL WORLD Vol.7
- 2016年11月12日(土)東京都 赤坂BLITZ
- OPEN 17:00 / START 18:00
神田莉緒香(かんだりおか)
東京生まれのシンガーソングライター。高校2年のときに参加したSony Music主催のオーディションライブでグランプリを獲得し、歌手活動をスタートさせる。2013年に「boyfriend?」「Twilight」という2枚のシングルをインディーズからリリースし、2014年4月に初のフルアルバム「Wnderful World」を発売。2015年4月から10月にかけて47都道府県ツアーを実施し、ツアーファイナルを東京・東京国際フォーラム ホールD5で行った。12月に東京・赤坂BLITZでワンマンライブを実施し、その後ベストアルバム「いつだってベスト!」をリリース。2016年は6、8、10月と2カ月おきに配信シングルを発表し、11月12日に2度目の赤坂BLITZ公演を行う。
あらきゆうこ
Cornelius、Yoko Ono Plastic Ono Band、秦基博、布袋寅泰、CIBO MATTO、smorgasらさまざまなアーティストのレコーディングやライブに参加しているドラマー。ソロプロジェクト・MI-GUとしての活動も行なっており、これまでに「migu」「From space」「pulling from above」という3枚のオリジナルアルバムとベストアルバム「Choose The Light」をリリースしている。
2016年6月29日更新