ナタリー PowerPush - 神田莉緒香

1人で始める2度目のスタート

瑞々しい感性で描く恋の歌を、伸びやかな歌声で表現するシンガーソングライター・神田莉緒香(かんだりおか)。2010年から若手シンガーソングライターのユニットGoose houseに参加していた彼女は、動画共有サイトで注目を集め、Twitterのフォロワー数も現在では3万9000人を突破。じわじわとその人気を拡大させていた。だが、昨年3月に突如Goose houseからの卒業を発表。ソロシンガーとしての活動を本格的にスタートさせることとなった。

ナタリー初登場の今回は、彼女の音楽遍歴をたどるとともにGoose house卒業の経緯について質問。さらに恋愛ソングを書く際の“萌え”シチュエーションや、ライブに対する思いなども語ってもらった。

取材・文 / 川倉由起子 撮影 / 雨宮透貴

初めてちゃんと作った曲が高校の校歌に

──現在21歳の神田さん。実年齢より若く見られることが多いんじゃないですか?

神田莉緒香

そうですね。たまに中学生と間違われることもあります。ちっちゃいんで(笑)。

──いや、でもすごくかわいいです。

ありがとうございます。恐縮です(笑)。

──では早速、バイオグラフィから伺っていきますね。4歳からピアノを習っていたそうですが、それは自分の意志で?

いや、お母さんが勧めてくれて。最初はグループレッスンから始めて、中学を卒業するまで習ってました。あと、そこではレッスンの一環で作曲も教えてて。曲作りを始めたのはそこがスタートでしたね。

──学生時代はどんなアーティストを聴いていたんですか?

影響を受けたなと思うのはaikoさん。あと、チャットモンチーさん、絢香さん、YUIさんが好きで、CDをよく聴いてました。

──高校は芸術的な分野も学べる学校に進学したとか。

はい。お芝居、音楽、ダンス……といろんな授業を専攻できるシステムの学校でした。でも当時は歌じゃなく芝居のほうに興味があって。好きなアニメを観てて「声優さんってすごいなー」と思ったことをきっかけに「演じる」ことに惹かれていたので、もともとはそっちのコースを選んだんです。子供のときピアノやバレエを習っていて発表会に出るのも楽しかったから、何かを表現することは昔から好きだったんですよね。

──なるほど。でも、現在の職業はシンガーソングライター。転換のきっかけはなんだったんですか?

その高専学校で毎年、新入生に向けた曲の公募オーディションみたいなのが開かれてて。2年生のとき、ピアノで曲を作ってなんとなく応募したら選ばれちゃったんです。それで単純に「私、こっちのほうがいいのかも!?」って(笑)。しかもその曲が今の校歌になってるんですよ!

──へー、校歌とはすごい!

私もすごくビックリしました。「夢に向かってがんばろう!」みたいなメッセージを込めた「キラキラ」という曲だったんですが、一昨年くらいから校歌に採用されることになって。初めてちゃんと作詞作曲した歌がそんなことになって、うれしい反面、ちょっと恥ずかしいです(笑)。

いつまでも居心地のいい場所にいてはダメだ

──その学内オーディション直後は、Sony Music系のライブ型オーディションに参加。オーディエンス賞(グランプリ)を獲得したんですよね。

はい。学校の様子を観に来られてた音楽関係者の方にたまたま「出てみたら?」と勧められて、チャンスをつかめるなら出てみよう!って。当時は卒業までに何か将来につながるものが欲しい、なんでもいいからつかまなきゃ!という気持ちだったんですけど……そこでグランプリをいただくことができて。シンガーソングライターとしての活動をスタートさせることになりました。ただ、実はそこから大変で……。

──何があったんでしょう?

神田莉緒香

レコード会社の新人発掘部みたいな部署に入って、そこから一緒にタッグを組んでくれるレーベルを探すことになったんですが、人見知りだから大人と全然話せないし、ライブも荒削りで。なんやかんやしているうちにあっという間に高3が過ぎて、高校も卒業しちゃったんです。

──高校生のうちに何か形にしたいと思っていたのに、結果、それができなかったと。

はい。でもその後、Goose houseの前身ユニットPlayYou.Houseに誘っていただいて。個々に活動するシンガーソングライターが集まっていろんな音楽を作ったり、カバーを歌って発表する……ということをやり始めたんです。私は約1年前に卒業したのですが、在籍した3年弱はすごく濃厚な日々でしたね。今までで一番濃く音楽に接した時間だったかもしれない。Goose houseで動画を投稿していたんですが最初は少なかった視聴数が徐々に増えていくとうれしかったし、応援してくれる人たちに対しては本当にありがたいなあと思っていました。

──そんなGoose houseを卒業した理由は?

最初は、普段バラバラに活動してる人たちがたまに集まって音楽をやる……というスタンスだったんですが、応援してくれる人たちが増えるにつれて「グループとしてやっていかなきゃね」みたいな感じになってきて。でもそれは私の理想の活動方針と違ったし、すごく迷ったんですけど「いつまでも居心地のいい場所にいてはダメだ」って。2年前に初のワンマンライブをやったんですが、それが楽しかったのも大きかった。自分の歌や話で誰かが笑ってくれたり、泣いたりしてくれることが衝撃だったんです。で、自分が発することに誰かが共感したり、何かを共有するっていう時間をもっと増やしたいなと思って。その経験もソロへの意欲を強くしたきっかけでしたね。

KANDAFUL WORLD vol.3 ~19:26からはじまるWonderful World~

2014年3月26日(水)
東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE

OPEN 18:30 / START 19:26
3500円(一般) 3000円(学生)
<出演者>
神田莉緒香

ニューアルバム「Wonderful World」 / 2014年4月16日発売 / 2500円 / HI-RESO MUSIC / HICD-0005
「Wonderful World」
収録曲
  1. World Entrance
  2. H.P.B.D.
  3. boyfriend?(album ver.)
  4. Wonderful world ~こんな僕にも彼女が出来ました~
  5. くるり
  6. candy kiss
  7. トクベツ
  8. 0:00
  9. Hands up!
  10. 炭酸ペットボトル(album ver.)
  11. Twilight(album ver.)
神田莉緒香(かんだりおか)

東京生まれのシンガーソングライター。高校2年のときに参加したSony Music主催のライブオーディションでグランプリを獲得し、アーティスト活動をスタートさせる。ちなみにこのオーディションが彼女にとっての初ライブだった。2012年3月には自主制作で初の音源集「I like it.」を発表。ライブ会場や通販で1000枚を売り切った。さらに2013年に「boyfriend?」「Twilight」という2枚のシングルをインディーズからリリースしている。2014年3月にワンマンライブ「KANDAFUL WORLD vol.3~19:26からはじまるWonderful World~」を東京・渋谷 duo MUSIC EXCHANGEで行うほか、4月16日に初のフルアルバム「Wonderful World」を全国発売する。