うれし泣きできる曲
──PELICAN FANCLUBの新作「Whitenoise e.p.」はバンドの個性をさらに突き詰め、新しい広がりを感じさせる作品だなと。
谷口 僕も聴かせてもらいましたけど、完全に“PELICAN FANCLUBのサウンド”ができあがったなと思いました。2015年の段階では「今のバンドとは違っていて新鮮」という感じだったんですけど、今はオリジナリティが確立されて、音像だけで「ペリカンだ」とわかるところまできていて。3曲目の「7071」みたいな緊張感のある曲もいいし、なんと言っても今回はやっぱり「ベートーヴェンのホワイトノイズ」の多幸感ですよね。エンドウはどちらかというと鬱屈したタイプだと思うけど……。
エンドウ ははは(笑)。
谷口 だからこそ、「ベートーヴェンのホワイトノイズ」のようなタイプの曲にグッとくるというか。サビの開け具合はすごいし、これが今のペリカンの強みだなと。こういう感じの曲は以前からあったんだけど、もっと際立っているんですよ。
エンドウ よかった。安心しました。
──「結局人間が好きだった なぜなら僕は人間だ」という歌い出しも強烈です。
エンドウ かなり悩んでいたんですよね。去年メジャーデビュー盤「Boys just want to be culture」を出してから、フワフワした不安と幸福感の起伏があって、「これは何だろう?」と考えていました。あの、人間は生物学的に動物じゃないですか。
谷口 うん。
エンドウ 人間ってそのあたりに歩いている野良猫と同じだなと思ったら、だんだん悩まなくなってきて。この前、鮪くんが「ベートーヴェンのホワイトノイズ」を「うれし泣きできる曲」と言ってくれたんですけど、それがしっくりきたんですよ。
谷口 うれしくて涙が出るという瞬間は本当にあるし、そういう意味では人間らしい曲ですよね。自分たちの表現を突き詰めた結果としてこの曲ができたと聞くと、さらに信頼できるなと思います。
5周年企画が終わっても……
──エンドウさんは鮪さんに今のような悩みも話しているんですか?
エンドウ さすがにそういう話はしないですね。
谷口 もっと具体的なことだよね。「タイアップの曲はどういうふうに作ってますか?」とか。
エンドウ それくらいの感じですね。あまり大きな話はしないというか……。「日本を変えようぜ!」みたいなことは話していないです(笑)。
──将来のことだったり、シーンにおける立ち位置みたいなことは?
谷口 あまり話すことはないけど、それぞれに重要な役割を果たすことになるんだろうなと思ってますね。
エンドウ KANA-BOONがどういう立ち位置のバンドになっていくのかもすごく楽しみです。
──自分のバンドのことも当然、考えますよね?
エンドウ 普段はそればっかり考えてます(笑)。
谷口 ペリカンはマイノリティな層を刺すのが得意なバンドだと思うんですよね。でも、それとは別のところで、開いていくペリカンも見てみたくて。どういうふうに広がっていくかは未知数ですけどね。予想できる部分もあるけど、思ってもみないような展開になるかもしれないし。
エンドウ まさにそういうバンドになりたいんですよね。リスナーの想像を超えていけるような……。
──もともと「アニメの曲をやりたい」と思っていたくらいだから、ポップ志向のバンドなんですよね?
エンドウ もちろんですよ。すごくポップだと思ってるんだけど、「そこは意識してないんでしょ?」と思われることもあって……僕らの中にあるものをちゃんと見出してくれたKi/oon Musicのスタッフは、やっぱりセンスがありますね。
谷口 ははは(笑)。
──まずは「KANA-BOONのOSHI-MEEN!!」、期待してます! 5周年企画もいよいよエンディングが見えてきましたね。
谷口 あっという間でしたね。しっかりと活動できたし、自分たちのモチベーションも上がってきています。でも、大事なのはこのあとですよね。6月で5周年企画は終わりますが、そのあともずっとKANA-BOONは続いていくので!