「KANA-BOONのOSHI-MEEN!!」開催記念 谷口鮪(KANA-BOON)×エンドウアンリ(PELICAN FANCLUB)|理想の先輩バンドと、みんなに薦めたい後輩バンド

一緒に青春を過ごしている

──2人はプライベートで飲みに行ったりもするそうですが、お互いの人柄についてはどう感じてますか?

谷口 今は「VIVA LA ROCK」で出会ったときとは全然印象も違います(笑)。めちゃくちゃ低姿勢できちんとした人ですね。話してみると少年性があるというか、好きなことに対する思いがすごいんですよ。自分の好きなことについてはめちゃくちゃしゃべるし、しかもその内容がすごくマニアックで。

エンドウ ははは(笑)。

谷口鮪(KANA-BOON)

谷口 それもすごくいいことだと思うんです。好きなものを突き詰めるのは大事なことだし、エンドウは不器用なところもあるかもしれないけど、それを振り払うくらいの真っすぐさがあるので。そこでエンドウという人とPELICAN FANCLUBというバンドが結び付いたんですよね。

──ちなみにエンドウさんが好きなものって、どんなジャンルなんですか?

エンドウ 90年代前半あたりの特撮ヒーローものですね。

──例えば?

エンドウ 子供だけじゃなくて、大人にも見てもらうためにトレンディ路線に走った「鳥人戦隊ジェットマン」という作品があって……この話、続けます?(笑)

谷口 今スイッチが入りかけた(笑)。こういう感じでお互いに興味のあることを話しているんですよ。僕は僕でマーベルのヒーローが好きで。この前も飲みながら、日本のヒーローと海外のヒーローの違いについて話しました。

エンドウ 鮪くんがすごく熱く語ってくれるから、その影響で僕もマーベルの作品を観始めたんですよ。めちゃくちゃ面白いですね。

谷口 よかった。2人で「アベンジャーズ/エンドゲーム」を観に行こうって言ってるんですよ。

──鮪さん、音楽ナタリーでも「アベンジャーズ/エンドゲーム」について語ってもらいましたよね(参照:谷口鮪(KANA-BOON)が語る「アベンジャーズ/エンドゲーム」)。

谷口 そうなんです。

エンドウ うらやましい。僕も日本のヒーローについて話したい……これ、音楽と全然関係ない話ですけど、大丈夫ですか?(笑)

谷口 ははは(笑)。飲んでるとき、音楽の話もしますよ。相談に乗ることもあるんですけど、僕も後輩と接するのに慣れてないから、一緒に悩んでしまったり……ただ、同じレーベルということもあって、分かち合えるところは多いし、いい関係だと思いますね。

左から谷口鮪(KANA-BOON)、。

エンドウ 鮪くんは本当に“先輩”なんですよ。年齢もちょうど2歳違いだから、高校3年と高校1年の関係みたいで。学生時代に先輩後輩の関係を全然経験してこなかったので、それがコンプレックスだったんですけど、鮪くんと話すことでそれが解消されてきています。俺にとって鮪くんは“青春”ですね。

谷口 俺と青春を過ごしてるのか(笑)。確かに気兼ねなく付き合えるし、フラットですからね。

──同じ部活の先輩と後輩みたいな。

エンドウ そうなんですよ。放課後に缶ジュースをおごってもらうような青春を感じています。

谷口 あとで買ったるわ(笑)。

──エンドウさんは谷口さんと実際に会って、ギャップを感じたところはなかったですか?

エンドウ ないですね。KANA-BOONのシングルに付いているDVDのオフショットも観ていたんですけど、仲がよくて、楽しそうじゃないですか。あの映像に嘘はなかったんだなと。

谷口 あれが嘘だったら逆にすごいけどね(笑)。

エンドウ メンバーの皆さんの人間性がそのまま音楽になっているのが素晴らしいなって。僕はよく「ギャップがある」と言われるので、うらやましいです。

谷口鮪(KANA-BOON)とエンドウアンリ(PELICAN FANCLUB)。

いつか恩を返したかった

──では、KANA-BOONの主催イベント「KANA-BOONのOSHI-MEEN!!」についてお話をお伺いします。KANA-BOONがPELICAN FANCLUB、ズーカラデル、ヒグチアイを招いて行うこのイベントも、デビュー5周年企画の一環なんですよね?

谷口 5周年の最後のイベントになります。下の世代のアーティストとのイベントは、もともとやりたかったことの1つだったんです。KANA-BOONも最初の頃はいろんな人にフックアップしてもらったし、誰かが誰かに紹介してくれて、つながっていったところがすごくあって。その恩をいつか返したい、ちゃんと還元したいという気持ちがずっとあったんですよね。もともと若手のバンドやアーティストの曲を聴くのが好きだし、「もっとたくさんの人に出会うべき」「もっと光が当たるべき」と思う人たちもたくさんいて。その役目を自分たちが少しでも担えたらいいなと思っていたし、5周年の締めくくりとしてイベントをやることになりました。

──エンドウさんはイベント出演のオファーが来たとき、どう思いました?

エンドウアンリ(PELICAN FANCLUB)

エンドウ うれしかったし、感慨深いものがありました。3列目でKANA-BOONのライブを観ていた自分が同じステージに立てるのはすごく夢があると思うし、そのことをお客さんにも伝えたいんですよね。KANA-BOONは「バンドっていいな」と思わせてくれたバンドだし、会場に来てくれた人たちにも同じように思ってほしいなと。「次は私が、僕が」と思ってもらえたらうれしいし、バンドのことじゃなくても、夢を持つことの大切さを伝えたい。僕はその当事者だし、責任を持ってステージに立ちます。“夢”って書いたTシャツを着てライブやろうかな。

谷口 じゃあ俺は“叶える”やな(笑)。そういう意識を持ってイベントに臨んでくれるのはすごくうれしいし、照れますね。バンドって、ロマンがあると思うんですよ。いろんな人の思いやつながりによって、夢が叶うかもしれないという。「10年かかって夢が叶った」というのも、すごくいいじゃないですか。ズーカラデル、ヒグチアイさんも同じようなマインドで臨んでくれると思うし、すごく楽しみですね。

エンドウ どんな1日が創造されるのか……このイベントは1つの作品だと思っているし、ワクワクしています。自分たちとしては「PELICAN FANCLUBはこういうバンドなんだ」ということをわかってもらいたい。誤解は生みたくないですから。

──KANA-BOONにとっては、どんなライブになりそうですか?

谷口 5周年イベントのファイナルなので、この1年ちょっとの集大成というか、成長した姿を見せたいですね。出演してくれる3組とバチバチぶつかり合うというより、“自分たちとの戦い”がテーマなんですよ。戦うべきは、1年前の自分たちなので。僕らとしても今すごくノッている状態だし、メンバーのテンションも高いので、いいライブになると思います。あとは「ほかの3組よりも音楽を楽しんでるな」と思わせたい。僕らも新しい出会いを求めているし、そこはフラットにやれたらいいなと。

エンドウ いいですね。

谷口 この4組の組み合わせも面白いし、観たことがないイベントになると思います。いろんなフェスやイベントがあって、知ってるバンドを楽しみにするのもいいと思うけど、「この組み合わせだと、どうなるんだろう?」という気持ちで飛び込んでもらえたらなと。思いがけない出会いもあるだろうし、その場限りではなくて、その後もずっと続いていける力を持ったアーティストばかりですからね。1つのバンドとの出会いによって人生が変わることもあるので。

エンドウ そう、“そこで終わり”ではないんですよね。

「これがKANA-BOONです」と言える曲になった

──KANA-BOON、PELICAN FANCLUBの新作についても聞かせてください。KANA-BOONのニューシングルの表題曲「まっさら」はアニメ「さらざんまい」の主題歌として書き下ろされた曲です。デビュー5周年の締めくくりにふさわしい、素晴らしい曲ですね。

谷口 ありがとうございます。自分たちもいい曲ができたと思っているし、ものすごく大きな可能性を感じていますね。曲の土台になるものは以前からあって、それをアニメ「さらざんまい」の主題歌としてリアレンジしました。歌詞はアニメの根底のテーマである“つながる”に重きを置いて書いたんですが、ちょうどロングツアー(2018年10月から2019年3月にかけて行われたワンマンツアー「Let's go 55 ONE-MAAN!!」)を回っている最中だったから、“つながる”というワードが自分たちのど真ん中にあったんです。結果的に「まっさら」はすごく“バンドの歌”になりましたね。自分たちとライブハウスに来てくれる人たちのつながり、聴いてくれる人と誰かのつながりを感じられるような……。

──アニメ主題歌の話が来る前、曲の土台を作った時期はどのようなモードだったんですか?

谷口 今振り返ってみると、バンドが完全に開ける状態になる一歩手前だったかもしれないです。1年ちょっとかけていろんな形式のライブをやって、作品を作り続けて、たくさんの人と向かい合って。デビュータイミングの自分たちがフラッシュバックすることもあったし、どんどんオープンマインドになれたんですよね。それは「まっさら」にも出ていると思います。本当にまっさらな状態なんですよ、バンドが。

エンドウ 今までKANA-BOONの曲を聴くと、学生時代の気持ちに戻れることが多かったんです。高校生活が描かれている「なんでもねだり」のミュージックビデオのような生活が蘇るというか。でも「まっさら」はちょっと違っていて、移動中の新幹線から見える景色が思い浮かぶんですよね。今の自分を支えてくれる歌だし、刺さり方が以前とは違うなと。

谷口 僕らにとっても「これがKANA-BOONです」と言える曲になりましたね。「シルエット」(2014年11月発売のシングル表題曲)をライブでやり始めたときの感覚に近いんですよ。まだ数回しかやってないけど、ライブが真骨頂になる曲だと思うし、いろんな人たちの感情が乗っかることで、無限大に大きくなっていく曲ですね。

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うれし泣きできる曲