KANA-BOONが1年7カ月ぶりとなるアルバム「NAMiDA」をリリースした。
ライブでの試行錯誤を重ねたことを糧に、1つの集大成的作品に仕上がったという本作。ライブがバンドにもたらしたものと、自信作が完成に至るまでをメンバーに聞いた。
取材・文 / 田山雄士 撮影 / 須田卓馬
1回1回のライブで得たものをすぐ次につなげられる
──前回のインタビュー(参照:KANA-BOON「バトンロード」インタビュー)でもライブについての話題が出てましたが、KANA-BOONのライブはさらに進化してる気がします。
谷口鮪(Vo, G) 確かに1回1回のライブで得たものを、すぐ次につなげられるようになってきてますね。特に今年の夏はそういう充実感があるよな?
古賀隼斗(G) うん。ライブに緩急を付けることを意識できてる。フェスの短めの持ち時間で主要曲をバンバンやるだけだと、一辺倒になっちゃうんで。自分たちなりにポイントを作って、鮪のMCが響くようなムードを考えたりもするし。
谷口 でも「古賀が前に出すぎ問題」もあったけどな。
小泉貴裕(Dr) あー、ライブ中ね(笑)。
飯田祐馬(B) 古賀が前に出てくるとパフォーマンスが過剰になって、全部の食材にソースをかけまくる感じになるんですよ(笑)。常にピークみたいな。
──そうだったんですか?
古賀 前に出ないと自分を抑えてる感じがして、嫌やってん(笑)。
谷口 イントロで出て、戻ってきて、ギターソロで出て、戻ってきて、アウトロで出て、戻ってきて。次の曲ではサビでも出やがって、とか(笑)。出すぎや!
飯田 鮪のモニタースピーカーに足掛けたりな。
古賀 こうやって具体的に言われると、確かに出すぎやな……。
谷口 そのことに、この夏に入るあたりで気付いたんです。
小泉 話し合ったな、古賀のピークについて(笑)。ライブ中に俺と鮪と飯田と目が合って、3人で笑ってるときもあったし。
谷口 「全然帰ってけえへん!」ってな(笑)。
飯田 「何を伝えたいんかようわからん」「アイコンタクトを取ろう」みたいな話もしてな。
古賀 話し合いの末、メリハリを意識せず演奏しちゃってた曲も、僕がタイミングを見ながら前に出ることでメリハリを付けるようにして。そうしたら曲がこれまで以上に輝くようになったんです。
小泉 ライブの定番の「フルドライブ」「ないものねだり」とか、新しい感じでやれてるよね。僕は下を向いてドラム叩くことが多かったけど、楽しい曲は前を向いて自分の表情を見せるようにしてます。
谷口 お客さんとの距離をこっちから詰める努力もしてます。今まで助けてもらってばかりだったんで。
──過去のライブを振り返って、納得いってないこともあったんですか?
谷口 ありましたね。「KANA-BOONの格付けされるバンドマンツアー 2016」に関しては、僕らの演奏と演出の面白さを詰め込むバランスがコントロールしきれてなかったかな。
古賀 MCのたびに流れが止まる感じな。クイズパートとかあったんで。
谷口 当時は一生懸命やったんやけど、若干面白さで勝負してるみたいになってしまったんが……。
飯田 関西人の悪いとこやな(笑)。チャレンジしたのはよかったから、今後生かせると思います。
谷口 一方でリクエストライブ(2016年11~12月に開催された「KANA-BOON 冬のワンマンライブ ~セットリストはぼく・わたしにまかせな祭~」)は手応えが大きかったです。初期の「さくらのうた」や「眠れぬ森の君のため」をひさしぶりにやったことでKANA-BOONの原点みたいなものに気付けたし、しかも新しい感覚で演奏できて、過去の自分たちが誇らしく思えて自信につながりました。
古賀 リクエストライブがきっかけで、フェスでも昔の曲をやるようになったもんな。
飯田 ずっとやりたかったんですけど、流れを考えるとセットリストに入れづらい状況が続いてて。ひさびさにできたのはうれしかった。リハスタの練習から空気感がよくなっていったの覚えてるなあ。
小泉 うんうん。自分たちでも聴きたい曲だもんね。
これまでの全部のことが「NAMiDA」につながってる
──リクエストライブを通して、これまでの自分たちも肯定しつつ生まれたのが新作「NAMiDA」な気がします。
谷口 そうですね。過去のよさを再発見できたおかげで、今回入ってる曲たちを自信持って送り出せる思いがあります。さっき話した去年から今年にかけてのライブもそうやし、活動初期の音楽やバンドに対する気持ちとか、これまでの全部のことが「NAMiDA」につながってる感じがしてて。
──アルバムを聴いて思ったのは、タイアップの付いたシングル「Wake up」「Fighter」「バトンロード」が3曲入ってるけど、それこそ今言ってもらったように今まで発表してきた曲や、アルバムの中に入ってる曲とつながってることなんです。
谷口 シングルを作ってる段階ではアルバムのイメージとかはまったくなかったけど、選曲が奇跡的なハマり具合なんです。僕らも聴いててシングル曲が全然浮いてないと思うし、むしろアルバム曲に対していい作用を生んでる気がするので。「Fighter」やったら、そこに至るまでの頭3曲の勢いのある“ぶっちぎりゾーン”を締めてる。シングル曲がブロックの切り換わりになるような役割を果たしてくれてるんです。あと、シングルとして聴いてた頃よりめちゃくちゃカッコよくなったなって思いますね。アルバムの中に入ってみて、曲が姿を変えたみたいな。そういうのはあまり経験したことがなくて。
飯田 「NAMiDA」ができあがってから毎日聴いてるんですけど、今回はやり直したいところとかほとんどないよね?
小泉 うん。本当そうやな。
──曲順は悩みましたか?
谷口 「ディストラクションビートミュージック」を1曲目にするの、僕だけ反対してたんですよ。デモの状態で聴いてたときは、ちょっとパンチが足りんかなって。でも、いざレコーディングしてみたらすごくええ音で録れて、曲の潜在能力が引き出されたと言うか。古賀先生は最初から「絶対、これ1曲目やろ!」言うてて、先見の明あったよな。
古賀 あははは(笑)。僕の持論なんですけど、1曲目ってアルバムを象徴するものだと思ってて。で、3曲目までが勝負と言うか、よし悪しが決まる。せやから、そこでつかみにかからないと! もちろん、スローな曲でリスナーをつかみに行くようなやり方もありますが、今のKANA-BOONやったら激しくてキャッチーな曲を持ってきたいって思いだったんです。
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聴き終えたときの満足感がすごくある
- KANA-BOON「NAMiDA」
- 2017年9月27日発売 / Ki/oon Music
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完全生産限定盤 [CD+グッズ]
3780円 / KSCL-2969~70 -
通常盤 [CD]
3024円 / KSCL-2971
- 収録曲
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- ディストラクションビートミュージック
- 人間砂漠
- Fighter
- way back no way back
- バイバイハロー
- 涙
- Wake up
- Ride on Natsu
- ラストナンバー
- バトンロード
- 一番星
- それでも僕らは願っているよ
ライブ情報
- KANA-BOONのバイバイハローツアー 2017
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- 2017年10月14日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2017年10月15日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2017年10月19日(木)東京都 Zepp Tokyo
- 2017年10月20日(金)東京都 Zepp Tokyo
- 2017年10月28日(土)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
- 2017年11月4日(土)石川県 金沢EIGHT HALL
- 2017年11月5日(日)長野県 CLUB JUNK BOX
- 2017年11月10日(金)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2017年11月11日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
- 2017年11月18日(土)愛媛県 松山サロンキティ
- 2017年11月19日(日)香川県 高松festhalle
- 2017年11月23日(木・祝)北海道 Zepp Sapporo
- 2017年11月25日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2017年11月30日(木)愛知県 Zepp Nagoya
- 2017年12月1日(金)愛知県 Zepp Nagoya
- 2017年12月8日(金)福岡県 DRUM LOGOS
- 2017年12月9日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2017年12月16日(土)山口県 周南RISING HALL
- 2017年12月17日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
- KANA-BOON(カナブーン)
- 谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、飯田祐馬(B)、小泉貴裕(Dr)からなる4人組バンド。高校の同級生だった谷口、古賀、小泉を中心に結成され、のちに飯田が合流して現在の編成となり、地元大阪を中心に活動を始める。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、同年9月にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たした。2015年1月には2ndアルバム「TIME」を発表し、同年3月には大阪・大阪城ホールおよび東京・日本武道館にて初のアリーナワンマンライブを行い成功を収めた。その後もさまざまなフェスやイベントに出演しながらリリースを重ねていく。2017年7月にアニメ「BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS」のオープニングテーマとして書き下ろした「バトンロード」をシングルとして、9月に4thアルバム「NAMiDA」をリリース。