KANA-BOON|立ち位置を再確認し、新たな地平へ

成長の過程がよりハッキリ見えている時期

──2曲目の「アナートマン」はファンク的なグルーヴを感じさせるナンバーですね。

谷口 ワンコーラス分だけデモを作っていて、去年の5月の曲作りのときにスタジオで完成させた曲です。今回のレコーディングで変わった部分もけっこうあるし、そこで一気によくなった印象もあって。

古賀 レコーディングの現場で試すことも多いんですよ。その場で弾いたギターソロを鮪に聴かせて、「OK」ってなることもあるし。

飯田 この曲、ノリを出すのは大変でしたけどね(笑)。しっかり演奏しないとグルーヴが出ないので。

小泉 確かに難しかったですね。いつもはドラムでノリを出すことが多いんですけど、この曲はベースに乗っかるような感じで叩いていて。ちょっとした意識の違いなんですけど、それだけでもノリは変わってくるので。ライブ映えしそうな曲だなって思います。

飯田祐馬(B)小泉貴裕(Dr)

──グルーヴに深みがあるし、大人っぽい雰囲気の曲だなと。

谷口 成長を感じてもらえる曲だと思いますね。自分たちが思い描いていることを100%表現することはできてないし、まだ発展途上ですけど、成長の過程がよりハッキリ見えている時期だとも思うので。

──「アナートマン」というタイトルは仏教用語ですよね?

谷口 はい。無我という意味の言葉で、我を示すアートマンという言葉と対になっていて。なんて言うか、輪廻転生の考え方とか、「来世でいいことがあるように、現世で徳を積む」みたいなことってちょっと卑しいところもあると思うんですよね。

──結局は自分のためにやってる、みたいな。

谷口 そうそう。「偽善でやってるのか、本当に人の為にやってるのか」みたいなことを思うこともあるし、自分としてはいい行いをしているつもりでも、心の奥底でやましさを感じることがあったり。それだけじゃなくて、自分を高めるためでも人のためであっても、一生懸命にやることは素敵だよなということも歌いたかったし。特に何かを伝えたいわけではなくて、“アートマン” “アナートマン”という言葉の面白さを歌ってるだけなんですけどね。聴いてくれた人が「どういう意味やろ?」って、調べてみてもいいと思うし。

──もともと仏教などに興味はあったんですか?

谷口 はい。きっかけは「聖☆おにいさん」っていうマンガなんですけど(笑)。面白おかしく神様のことを描いていて、「こういう考え方、面白いな」と思って。仏教の教えなんかが自分の歌いたいことだったり、自分自身の人生観にフィットすることもあるんですよね。「アナートマン」で歌ってるようなことも、聴く人に寄り添うこともあるんじゃないかなって。

いい感じだと思います

──3曲目の「ワンダーソング」は、朗らかな雰囲気のラブソングです。この曲もKANA-BOONにとっては新機軸では?

谷口 そうですね。この曲も去年のタイミングでワンコーラスだけあったんですけど、しばらく忘れてたんですよ。「シングルの3曲目、どうする?」という話になったときに、飯田が「『ワンダーソング』がいい」って言って、その意見を採用しました。

飯田 今までになかった感じの曲だし、これがシングルに入ったら面白くなりそうだなと思って。俺はセッションで仕上げるのかと思ってたんですけど、この曲も鮪がほとんど作りました(笑)。

谷口 時間もなかったから。そのほうが手っ取り早いかなと思って。アイリッシュな感じのアレンジとか歌詞を含めて、今までのKANA-BOONの中で一番明るい曲だと思います。

小泉 ケルト音楽っぽいイメージにしたいっていう話も最初からしてましたね。いろいろと音源を聴いて、とにかく楽しい感じにしたいと思って。今まではフロアタムとクラッシュを使うことが多かったんだけど、それとは違ったアレンジにしたかったんですよね。ハイタムとフロアタムでフレーズを作って、ライドシンバルで頭打ちのリズムを叩いて……。「のっぺりしてるから、もっとハネさせよう」というアドバイスをもらって、指の使い方を変えたり。いろんなことが試せたし、すごく楽しかったです。レコーディングで新しいことに挑戦することも多いし、少しずつやれることも広がってるんですよ。最初の頃は全然叩けなくて、ドラムのテックの方からもいまだに「最初に演奏を聴いたときは、どうしようかと思った」って言われますけど(笑)。

谷口 ドラムの音もよくなってるしな。

古賀 ケルトやカントリーみたいなギターも、今まで弾いたことがなかったんです。この曲のレコーディングのために奏法を調べたんですけど、それもすごく面白かったですね。「開放弦を多用して、スピード感を出してるんやな」とか、いろいろと発見もあって。ギタリストとしても成長できたと思います。

谷口鮪(Vo, G)古賀隼斗(G)

──そもそもアイリッシュのテイストを取り入れたのはどうしてなんですか?

谷口 きっかけはYouTubeですね。小さい男の子が3人でギターを弾いてる映像なんですけど、それがめちゃくちゃ激テクで、すごく興味が湧いて。コード進行やギターの弾き方を調べてるうちに「こういう感じの曲もよさそう」と思って。

飯田 YouTubeを観てマネしたっていう(笑)。

谷口 ギターの奏法を紹介してる動画を観たりしますからね。

──シングルのリリース後は、各地のフェスに数多く出演します。KANA-BOONの新しいモードを直接伝える機会も多そうですね。

谷口 最初の話に戻りますけど、一番大きいのは、ライブをしっかり楽しめていることだと思っていて。失敗もありますけど、それをちゃんと認識して、次のライブではクリアするようにして。よりよいライブができてると思うし、夏フェスも楽しみですね。次のアルバムに向けた制作も続いてるし、いい曲もできていて。いい感じだと思います。

KANA-BOON
KANA-BOON「バトンロード」
2017年7月12日発売 / Ki/oon Music
KANA-BOON「バトンロード」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / KSCL-2914~5

Amazon.co.jp

KANA-BOON「バトンロード」通常盤

通常盤 [CD]
1258円 / KSCL-2916

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. バトンロード
  2. アナートマン
  3. ワンダーソング
初回限定盤DVD収録内容

ファン待望!小泉貴裕初監督作品「シン・シルエット」(小泉が監督になるまでのドキュメンタリー / 「シルエット」Music Video 小泉監督編)

KANA-BOON TOUR 2017
  • 2017年10月14日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2017年10月15日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2017年10月19日(木)東京都 Zepp Tokyo
  • 2017年10月20日(金)東京都 Zepp Tokyo
  • 2017年10月28日(土)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
  • 2017年11月4日(土)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2017年11月5日(日)長野県 CLUB JUNK BOX
  • 2017年11月10日(金)鳥取県 米子 AZTiC laughs
  • 2017年11月11日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2017年11月18日(土)愛媛県 松山サロンキティ
  • 2017年11月19日(日)香川県 高松festhalle
  • 2017年11月23日(木・祝)北海道 Zepp Sapporo
  • 2017年11月25日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2017年11月30日(木)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2017年12月1日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2017年12月8日(金)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2017年12月9日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2017年12月16日(土)山口県 周南RISING HALL
  • 2017年12月17日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
KANA-BOON(カナブーン)
KANA-BOON
谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、飯田祐馬(B)、小泉貴裕(Dr)からなる4人組バンド。高校の同級生だった谷口、古賀、小泉を中心に結成され、のちに飯田が合流して現在の編成となり、地元大阪を中心に活動を始める。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、同年9月にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たした。2015年1月には2ndアルバム「TIME」を発表し、同年3月には大阪・大阪城ホールおよび東京・日本武道館にて初のアリーナワンマンライブを行い成功を収めた。その後もさまざまなフェスやイベントに出演しながらリリースを重ねていく。2017年7月にアニメ「BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS」のオープニングテーマとして書き下ろした「バトンロード」をシングルとして発表。