音楽ナタリー PowerPush - KANA-BOON
インタビューと座談会で大いに語る!「NARUTO」が「シルエット」にもたらしたもの
KANA-BOONがニューシングル「シルエット」をリリースした。
KANA-BOONにとって5枚目のシングルとなる「シルエット」の表題曲は現在放送中のテレビアニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のオープニングテーマ。メンバー4人は幼少の頃からの「NARUTO」ファンを自認しており、インディーズ時代から「もしアニメのタイアップの話がもらえるようなバンドになれたなら、初めてのタイアップ作品は『NARUTO』がいい」とまで公言していたという。
今回ナタリーではKANA-BOONのインタビューに加え、メンバーと集英社「週刊少年ジャンプ」編集部の「NARUTO -ナルト-」の担当編集・大槻譲氏との座談会をセッティング。シングル「シルエット」の魅力について、邦楽ロックシーンのブライテストホープとしての期待を一身に背負って駆け抜けたバンドの2014年について、そしてメンバーの人格形成に大きく寄与した「NARUTO」について。今KANA-BOONに聞きたいことに立体的に迫った。
取材・文 / 宇野維正(1~3ページ)、成松哲(4~6ページ) 撮影 / 佐藤類
想像の3倍速く2014年を駆け抜ける
──皆さんは今年、3カ月おきのペースでコンスタントにシングルを発表していて、今回の「シルエット」で4枚目になります。2014年は駆け抜けましたね!
谷口鮪(Vo, G) 「がんばったな」って言ってあげたいですね、自分に(笑)。今年1年というか、1stアルバムをリリースしてから今がちょうど1年ですけど、本当にあっという間でした。
──リリースだけじゃなく、ツアー、フェス、さらに夏の終わりの地元での大規模な野外ワンマンと、とにかく走り続けてきたわけですが、状況に振り回されることなく、自分たちでコントロールできている感じですか?
谷口 コントロールというより、毎回毎回ちゃんと新しい気持ちで取り組むことができてますね。だから「なんのこっちゃわからへん!」みたいな感じにはなっていないです(笑)。シングルでも、ライブでも、1つずつちゃんと気持ちを切り替えて、目の前の課題に挑んでいる感じ。
古賀隼斗(G) だから1つずつ鮮明に残ってるよね、記憶が。
谷口 うん。
飯田祐馬(B) ちょうど去年の終わりに「来年はどんな1年になりそうですか?」って聞かれたときに「あっという間に過ぎていくと思います」って答えたんですけど、そのときに想像していたよりも3倍くらい速かったですね(笑)。ただ、去年までとは違って今年はレコーディングもフェスも初めてじゃなかったので。初めてのときはバタバタしましたけど、今年は周りのことがちゃんと見えていたんじゃないかな。1つひとつのことが経験値になっていっている感じはしますね。
孤立感は……バリバリありますよ
古賀 今年は「成長ができた1年」ってことに尽きますね。シングルも4枚出しましたけど、自分個人としても1枚ごとにステップアップしてきた実感があって。単純にギターのトラック数も増えていますし、ギターやアンプの種類による違いとか、その音を重ねたときの感じだとか、そういうのは回数を重ねないとわからないことだから。短いスパンで作品をリリースできたことで、そういう実験や挑戦の機会が何度もあったっていうのはすごく大きかったです。
小泉貴裕(Dr) うん。スパンが短くて逆によかった。時間が空いちゃうと、自分はダラけてしまうから(笑)。次から次へと課題が出てきて、それをクリアしていくことで成長してこれた感じですね。
──ロールプレイングゲームみたいに?
谷口 「小泉クエスト」だ(笑)。
──その一方で「出る杭は打たれる」じゃないですけど、風当たりがより強くなってきた1年だったような気もするんですよ。音楽シーンにおいて、けっこうな孤立感もあったんじゃないかなって。
谷口 孤立感は……バリバリありますよ。批判の対象になっているのを実際に目にしたり耳にしたりすることもあります。それで傷付くことがないといったらウソになるし、寂しいなって思うこともありますけど……。でも、そういう標的にさえなれないよりも、なってるほうが全然いいから、そういう意味ではプラスのこととして受け取ってます。昔から、周りを見返したいと思って音楽をやってきたし、10年後に笑っていられたら勝ちだと思っているんで。
──具体的に言うと「四つ打ちビート」批判であったり、「最近のフェスのオーディエンスのノリ」批判であったり。正直言って、いろんなバンドにインタビューをする立場としては最近食傷気味なんですが、そういう批判はバンドにとってガソリンになってる感じですか?
谷口 あまり大きなこととして受け止めてないです。僕らはそのムーブメントに乗っかったわけじゃないので。別に、僕らがムーブメントを作ったみたいな意識があるわけじゃないですけど、昔からずっとやってきたことだし。それも何かを狙ってやってきたわけじゃなく、このビート感がやりたいからやってるだけだから。きっと、ほかのバンドもやりたいからやってるだけだと思いますけど。「音楽を楽しむ上で、そこにそんなにこだわるか?」っていう気持ちはありますね。
──なるほど。いや、もし気にしてるようだったらこの機会に「全然気にすることないんじゃない?」って言おうと思っていたんですけど、その必要はなかったですね(笑)。
一同 そうですね(笑)。
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- ニューシングル「シルエット」 / 2014年11月26日発売 / Ki/oon Music
- 完全生産限定盤 [CD+DVD] / 3780円 / KSCL-2517~9
- 通常盤 [CD] / 1258円 / KSCL-2520
CD収録曲
- シルエット
- ワカラズヤ
- バカ
初回限定盤DVD(「KANA-BOON MOVIE 0.5 / KANA-BOONのご当地グルメワンマンツアー 2014 “究極の9曲”盤」)収録内容
- 1.2. step to you
- MUSiC
- ミミック
- 見たくないもの
- 東京
- 羽虫と自販機
- ウォーリーヒーロー
- 結晶星
- フルドライブ
- ライブDVD「KANA-BOON MOVIE 01 / KANA-BOONのご当地グルメワンマンツアー 2014」 / 2014年11月26日発売 / Ki/oon Music
- [DVD] / 4104円 / KSBL-6168
KANA-BOON(カナブーン)
谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、飯田祐馬(B)、小泉貴裕(Dr)からなる4人組バンド。高校の同級生だった谷口、古賀、小泉を中心に結成され、のちに飯田が合流して現在の編成となり、地元大阪を中心に活動を展開する。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、バンド初の全国流通盤となる1stミニアルバム「僕がCDを出したら」をリリースし、夏には「ROCK IN JAPAN FES」「SUMMER SONIC」「SWEET LOVE SHOWER」など大型フェスに出演したことを機に知名度を全国区に拡大させる。2013年9月シングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たし、10月に1stフルアルバム「DOPPEL」を発表。2014年2月に2ndシングル「結晶星」、5月に3rdシングル「フルドライブ」、8月に4thシングル「生きてゆく」をリリース。8月30日に大阪・泉大津フェニックスで行ったキャリア最大規模のワンマンライブでは、約16320人を動員し大成功を収めた。11月にはテレビ東京系アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のオープニングテーマ「シルエット」をシングルリリース。また初の映像作品となるLIVE DVD「KANA-BOON MOVIE 01 / KANA-BOONのご当地グルメワンマンツアー 2014」を同時に発表した。