かなり汁気の多い現場
──ボーカルのレコーディングは普段どういう感じなんですか?
インディーズ時代からのスタジオで録ったんですけど、楽曲に合わせて人間の強さみたいなものを調整している感じですね。僕の曲は歌謡曲なので、ちゃんと歌を聴かせるということを意識的にやっています。
──「群青」のレコーディングはいかがでした?
いやあ、めちゃめちゃ録りましたね。
──普段はたくさんは録らないんですか?
録らないです。
──なぜ今回は?
メジャーデビューシングルだからですかね(笑)。
──ははは(笑)。
録ってもらっているスタッフさんはインディーズ時代と基本同じなんですよ。だからメジャーでありタイアップということで、チーム全員が粘り腰じゃないですけど、繊細なニュアンスをどう出すかみたいなところにこだわったというか。今までの曲のボーカルはある意味でわかりやすさがあったんですけど、今回はちょっとベクトルが違ったので、過去一番多く録ったかもしれないです。録りすぎてもはや記憶がないんですけど。
──自分の中で正解が見つかったときのことは覚えていますか?
それが、全然覚えてなくて。とにかく集中してがむしゃらに録ってたので、もうなんか、びちゃびちゃでした(笑)。
──こんなにさわやかな歌なのに(笑)。
歌ってるときはびちゃびちゃだった記憶しかないです。さわやかに聞こえているんだったらうれしいし、それで正解だと思うんですけど、かなり汁気の多い現場でした(笑)。
──さわやかであると同時に、あまり陰がないとも感じました。逆にいうと普段はわりと陰のあるイメージというか。
いや、そうだと思いますよ。自分で「そうだと思いますよ」とか言うのもおかしいんですけど(笑)。そこはまあ、「群青」がそういう曲だからですよ。僕は作品に合わせて印象を変えたいというか。変えること自体が目的ではないんですけど、常に自分より作品が前にくるようにしたいので、作品に合わせて必要な自分を用意する感じです。
登場人物を俯瞰で見て、誰にでも当てはまる歌詞を
──歌詞に関しても、当然「空挺ドラゴンズ」というお題に沿って書かれるわけですよね?
はい。もともと作詞でつまずくことはあまりないので、原作の雰囲気を大事にしつつ、登場人物がたくさんいる作品なので、彼ら彼女らを俯瞰で見て、誰にでも当てはまるような歌詞にしたつもりです。
──「群青」というタイトルの由来は?
まず作品が、“青”のイメージがすごく強かったというのと、今言ったように登場人物がたくさんいる、つまり人の“群”れであると。それが組み合わさった言葉でもあるので「群青」かなと。
──神山さんはミュージックビデオも毎回凝っていますが、「群青」も例に漏れず。
MVとかビジュアルイメージは曲とリンクしているというか、同時に届くものだと考えています。今回は、「空挺ドラゴンズ」が空を舞台にしているからMVも空で、というふうにはしたくなくて。僕の中では「空挺ドラゴンズ」で描かれる空は、ちょっと海っぽい印象だったんです。あと作中に出てくるドラゴンも魚っぽいなと。だから単純に空を空として表現するんじゃなくて、空を海に見立てて「水っぽい感じでいきたいです」と提案させてもらいました。
──言われてみれば、MVに出てくる熱帯魚はドラゴンっぽい。でも、踊れる曲なのに、MVの中で神山さんの動きがほとんど……。
ない(笑)。
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カップリングはあえてアナログっぽく