音楽ナタリー PowerPush - 川谷絵音(indigo la End、ゲスの極み乙女。)×かみぬまゆうたろう×休日課長(ゲスの極み乙女。)鼎談
3人が語る「あの頃」と「音楽」
かみぬまゆうたろうが2ndアルバム「となりのへやではきみがないている」を2月4日にリリースする。本作には飾らない言葉で恋愛模様を歌ったラブソングや、スタンダードナンバー「Moon River」のカバーなど7曲が収められている。
今作のリリースを記念し、ナタリーではかみぬまと、友人である川谷絵音(indigo la End、ゲスの極み乙女。)と休日課長(ゲスの極み乙女。)の鼎談を実施。かみぬまと数年来の付き合いであるという2人の“証言”を通して、パーソナリティと直結するかみぬまの音楽性を明かすとともに、出会った頃の思い出や現在のシーンに対する思いなどを語ってもらった。
取材・文 / 鵜飼亮次 撮影 / 北村勇祐
そんなにヘラヘラしてるかなあ
──皆さんは出会ってどれぐらいのお付き合いになるんでしょうか?
川谷絵音 ちょうど4年くらいですかね。初めて会ったのは下北沢の「餃子の王将」で、僕が佐藤(きのこ帝国)と田中(裕貴 / 或るミイ)さんと一緒にいたときに、2人との共通の友人だったかみぬまさんが合流して。そのままなぜか朝まで王将で怪談話をしてたんです。
かみぬまゆうたろう そう、なぜか全然酒も飲まずに水と餃子だけで(笑)。最初は川谷くんを或るミイのメンバーかなって思って話してて、夜中の3時くらいに「ところで誰ですか?」って改めて聞いたんだよね。
川谷 それで知り合いになって、かみぬまさんがスタッフをやってる新宿red clothのイベントにも出演するようになって。そのときのindigo la Endは休日課長がベースを弾いてた時期だったんですけど、今度は課長がred clothに入りびたるようになって(笑)。
休日課長 最初川谷から「絶対かみぬまさんとソリ合いますよ」って言われて、実際会ってみたらすごく合った。今週も会ったし普通に飲み友達だね。
川谷 初めて会ったときは、かみぬまさんのこと「この人ヘラヘラしてるなー」って思ってました(笑)。なんにも考えてなさそうだなって、それは今もあんま変わってないんだけど。
かみぬま そんなにヘラヘラしてるかなあ。友達のライブとか行くとだいたい酔っ払ってるし、そういうときに会うからかも。
川谷 メガネかけてマジメっぽく見せてるのにマジメじゃない感じですよね。そのとき弾き語りやってるって聞いてCD(1stデモCD「初期のかみぬまゆうたろう」)もらったんですけどケースめっちゃ割れてボロボロのやつで。
課長 ヘラヘラしてるし、ケース割れてるし(笑)。
川谷 でも、CD聴いて「いいな」って思って、ライブも観に行くようになったんですよね。
「なんかやりたい」から始まったイベント
川谷 当時いろんなことしてましたよね。下北沢ERAでindigo la End、或るミイ、きのこ帝国、かみぬまさんっていう王将のメンバーで無料ライブイベントを2011年3月と10月にやって。2回目のときはもう課長はインディゴ抜けてて、カレー作ってましたけど。
課長 そうそう(笑)。懐かしいなあ。
かみぬま 当日の朝、準備してたら課長が「カレー用の荷物運ぶの誰も手伝ってくれない」ってツイートしてて、即効で俺が「行きます」って一緒に荷物運ぶの手伝って。着いてそのまま俺はライブやったんだっけ。
川谷 全員が企画者みたいなものでしたから当日はバタバタでしたよね。あのイベントはもともと「なんかやりたい」っていう話から始まって。当時まだインディゴはCDも出してなかったし、お客さんがそんなに入るバンドじゃなかったけど、無料で4組ならインパクトあるし入るんじゃないかって思って始めたんです。
課長 けっこう入ったよね。
川谷 うん。あの頃から自分たちで動かなきゃっていろいろやっていたからこそ今につながったかなと思いますね。
とにかく音楽をやりたいっていう気持ち
川谷 僕はかみぬまさんと出会ったのがきっかけで弾き語りっていうものに興味を持ち始めて。自分でもちょくちょくやるようになったんです。出会った年の年末に東松原のカフェで弾き語りイベントやりましたよね、きのこ帝国の佐藤やザ・なつやすみバンドの中川(理沙)さんと。
かみぬま うん。でも俺自身は弾き語りって何も考えず流れで始めたんです。
──最初は弾き語りではなかった?
かみぬま もともと高校生のときに自分がギターボーカルでバンドやってたんです。それで卒業したあとも大学行かずにバンドがんばろうって思ってたんですけど、メンバーのベーシストとドラマーは進学しようとして2人とも落ちてしまって。だから1年間勉強しなきゃバンドできないって言われて「わかった。待つわー」って曲作ってたんですけど、そしたら次の年も落ちて(笑)。
川谷&課長 はははは(笑)。
かみぬま そのとき「もう待てない! 1人で始めるわ」って言ってからアコギを買って始めたのがきっかけ。そこから何もわからないままのスタートだから結局1年くらいかかっちゃったけど、とにかく音楽をやりたいっていう気持ちがあったんです。それはバンドでもそうじゃなくてもよかった。
川谷 僕は誰かと一緒にやるのが好きだったから最初からバンドでしたね。1人でやると寂しいじゃないですか(笑)、何やっていいのかわかんなくなるというか。
課長 僕は遊びではお客さんからお題もらって即興で弾き語りするみたいなことはやってました。ギターも歌も下手くそなんですけど、単純にウケ狙いの漫才みたいなノリで。
川谷 それ1人で?(笑)
課長 うん、1人でたまに漫談みたいなことを。かみぬまくんとも2人でやってたよね。飲みの場とか代々木公園とかで。
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収録曲
- 傷口
- ちいさな背中 -フィドルバージョン-
- あなたが眠っているうちに
- ハローグッバイ
- Moon River
- 真夏の夜の事
- うるさい彼女
かみぬまゆうたろう単独公演
「となりのへやではきみがないている」
- 2015年3月7日(土)大阪府 digmeout ART & DINER
出演者
かみぬまゆうたろうバンド
ゲスト:蔡忠浩(bonobos) - 2015年3月8日(日)愛知県 K.D ハポン
出演者
かみぬまゆうたろうバンド
ゲスト:蔡忠浩(bonobos) - 2015年3月13日(金)東京都 渋谷7th FLOOR
出演者
かみぬまゆうたろう(弾き語り) - 2015年3月14日(土)東京都 渋谷7th FLOOR
出演者
かみぬまゆうたろうバンド
ゲスト:佐藤良成(ハンバート ハンバート)
かみぬまゆうたろう
東京出身、1988年生まれのシンガーソングライター。1923年製のMartin O-18で素朴なメロディを手に2009年から都内のライブハウスやストリートで活動を開始。2010年には自主制作の音源集「初期のかみぬまゆうたろう」を発表し、以後はツーマンライブシリーズ「ゆうたろうくんと〇〇さん」の定期開催や自身のバンド・かみぬまゆうたろうとパートタイマーズの結成など活動の幅を広げている。2014年2月にギャラクティックより1stアルバム「かみぬまゆうたろう」をリリース。10月に初恋の嵐のカバー「真夏の夜の事」を収録した会場限定シングル「傷口」を発表した。2015年2月に2ndアルバム「となりのへやではきみがないている」を発表する。
- かみぬまゆうたろう
- かみぬまゆうたろう 2nd album「となりのへやではきみがないている」
- かみぬまゆうたろう(@KaminumaYutaro) | Twitter
- かみぬまゆうたろうの記事まとめ
indigo la End(インディゴラエンド)
川谷絵音(Vo, G)、長田カーティス(G)、後鳥亮介(B)からなるロックバンド。ゲスの極み乙女。のメンバーである休日課長(B)もかつて在籍していた。2010年2月より活動を開始。2012年4月、unBORDEより1stミニアルバム「さようなら、素晴らしい世界」をリリース。2013年5月には初のワンマンツアーを東名阪で開催する。2014年4月にミニアルバム「あの街レコード」でメジャーデビューを果たし、同年8月に出演した野外フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」のステージでこれまでサポートメンバーとしてバンドに参加していた後鳥が正式加入。9月にシングル「瞳に映らない」をリリースした。2014年12月の「COUNTDOWN JAPAN14/15」のステージをもって、約5年間バンドに在籍していたオオタユウスケ(Dr)が脱退。2015年に2月にメジャー1stフルアルバム「幸せが溢れたら」をリリースする。
ゲスの極み乙女。(ゲスノキワミオトメ)
川谷絵音(Vo, G, Syn)、休日課長(B)、ちゃんMARI(Key)、ほな・いこか(Dr)による男女混合4人組バンド。2012年5月に川谷を中心に結成。2013年3月に1stミニアルバム「ドレスの脱ぎ方」、同年12月にリリースした2ndミニアルバム「踊れないなら、ゲスになってしまえよ」を発表し、独自のポップなメロディが高い評価を得る。2014年4月、unBORDEよりメジャーデビューミニアルバム「みんなノーマル」をリリースし、6月から7月にかけてワンマンツアー「ゲスにノーマル」を開催した。10月に1stフルアルバム「魅力がすごいよ」を発表し、全国ツアー「ゲスな魅力?」を展開。2015年には1月から2月にかけて「ゲスな魅力?」の追加ツアー「ゲスでいこかvol.3」を実施中。