TBS系火曜ドラマ「あなたのことはそれほど」の主題歌を収めたシングル「CQCQ」で今年5月にデビューを果たした、素性の知れない4人組ロックバンド“神様、僕は気づいてしまった”。「SUMMER SONIC 2017」での初ライブも決定し、ますます注目を集める彼らが、7月26日にセルフタイトルの1stミニアルバム「神様、僕は気づいてしまった」をリリースした。
音楽ナタリーでは1stミニアルバムのリリースに伴い、神僕のメンバーが音楽的にリスペクトしていると言うa crowd of rebellionとの座談会を企画。神僕からは東野へいと(G)と和泉りゅーしん(B)、リベリオンからは小林亮輔(Vo, G)と丸山漠(G)を迎え、お互いのバンドや新譜(リベリオンも8月16日に2ndフルアルバム「Gingerol」をリリース)について、シンパシーを感じるポイントなどを語り合ってもらった。
取材・文 / 田山雄士
僕らもずっと神僕が気になってたんです
東野へいと(神様、僕は気づいてしまった) はじめまして、今日はよろしくお願いします。僕ら、a crowd of rebellionの大ファンで!
和泉りゅーしん(神様、僕は気づいてしまった) ずっと前から聴いてます。
丸山漠(a crowd of rebellion) それを聞いて「嘘なんじゃないか」って思うくらい、びっくりしました。
東野 今日はもはや“神僕”として来てないんで。
和泉 ただのファン代表です(笑)。
小林亮輔(a crowd of rebellion) 僕らもずっと気になってて、お会いしたいなと思ってたんです。メロディのセンスも、ギターのアプローチもすごいし。鋭い言葉をはめ込んで、あんなきれいに聴かせるんだもん。
東野 ありがとうございます。僕が自分で歌ってるわけじゃないんで、歌メロはボーカルのどこのだれかであれば歌えるだろうという感じで作ってます(笑)。
和泉 音域が広いからね。「あ、出せちゃう?」みたいな。
小林 ウチと同じです。「ここまで行けるね? ハイ、出して!」って言われて。
丸山 無理やり歌わせてる(笑)。神僕のボーカルさんは音域の使い方がすごくうまいですよね。低いところをしっかり歌ったあと、サビで一気にキーを上げられるから爆発力がある。
小林 あの歌い回しをサラッとできるのはうらやましい。ちなみに歌詞とメロディ、どっちを先に作りますか?
東野 詞先ではないですね。メロディも歌詞も同時進行か、メロ先のどっちかです。
小林 なるほど。ウチは完全にメロディ先行なんですよ。
和泉 メロディいいですもんねえ。激しくてヘビーな音楽性だとメロディがおろそかになりがちだけど、リベリオンは全然そうじゃない。
小林 ありがとうございます。そこは集中的に詰めてるんで。
丸山 レコーディング前の段階で、歌詞はボーカル以外わかってないんですよ。「マーシャル!」みたいな、最初めちゃくちゃな日本語を入れといて、そのまま本番録りって感じ。
和泉 あははは(笑)。スクリームの部分もですか?
丸山 そう。だから、譜割りが本番でまったく変わっちゃったりします。初めは「ここでスクリーム登場かな?」くらいの気持ちで作ってるんで。
東野 リベリオンの音楽って激情が大事だし、そのやり方はいいのかもしれないですね。
スクリーモ好きのツボを突いてくる
小林 僕、いくえみ綾先生のマンガが大好きで。いくえみ先生の「あなたのことはそれほど」がドラマ化されるって言うんで観てたら、ドラマ主題歌らしからぬ、あのギターのディレイがテレビのスピーカーから流れてきたんです。「なんだ? この前衛的な音楽は!」と思ってすぐにYouTubeで調べて、「この『CQCQ』って曲すごい……か、買おう」って。
東野&和泉 うわー、ありがとうございます。
丸山 俺はYouTubeの“おすすめ”で見かけたのかな。バンド名がすごいなと思って聴いてみたら、メロディもすごくて。特に、ギター2本のアレンジの秀逸さにはやられました。
小林 とにかくスキがないんだよね。全部必殺ってくらい。
丸山 ギターのパン振りが絶妙。どっちも映えるようにミックスされてると思った。
小林 「CQCQ」のサビ前に来るベースもすげえよな?
丸山 カッコいい。「キタコレ!」って感じ。
東野 ありがとうございます! ……しか言えないです(笑)。
小林 上モノの感じがね、スクリーモ好きのツボを突いてくる。例えば、「宣戦布告」のイントロで疾走するところ。
丸山 わかるわー。「CQCQ」も付点8分ディレイがたまらんよね。ピロピロして泣いてる感じのギターは大好物!
東野 リベリオンの曲にも、そういうギターの音がかなり含まれてますもんね(笑)。
和泉 「リビルド」とか、まさにそうですよね。
東野 特にこの2人(東野&和泉)は歪んだサウンドが好みなんです。スクリーモで言うと、スウェーデンのAdeptっていうバンドが大好き。
小林 おおおー、Adept!!
丸山 懐かしい。
和泉 最高ですよね!
東野 中学・高校時代はずーっとそういうの聴いてたんです。だから、ギターがスウェーデン人っぽくなっちゃう(笑)。
和泉 どうしても出るよね。僕はそのへんのジャンルは彼(東野)に叩き込まれました。
小林 音楽性のバックグラウンドは、洋楽のスクリーモが大きい?
東野 わりとなんでも聴きますけど、ギタープレイはそっち寄りが好きなんですよね。Protest The Hero(カナダのメタルバンド)を聴いて育ったので!
丸山 あはははは(笑)。僕らもです。
和泉 ウチのドラムの蓮もそうだよね?
東野 蓮もメタル好きなので。
小林 へえー! それなのに、「わたしの命を抉ってみせて」のアプローチは歌謡曲っぽさもあって、すげえおしゃれなんですよね。僕、本当に神僕のミニアルバムをめっちゃ聴いてるんですよ。「大人になってゆくんだね」を聴きながら、「知人の一周忌」のくだりに「うんうん、そうなんだね」って感情移入したり、アコギをバックに歌う最後の一節「僕らがここに居たことを 忘れないでね」に「もちろん、忘れないよお!」って思ったり。なんかね、書きたかった自分の気持ちを代弁してもらってる。
和泉 まさか、そんな感想をいただけるなんて……!
東野 本当に光栄だよね。「大人になってゆくんだね」は唯一アルバムを意識して書いた曲なので、深く聴いていただけるのはありがたいです。「わたしの命を抉ってみせて」はジャズを取り入れてるんだけど、最近の邦楽シーンによくあるジャズっぽいロックとは違う、速くて強迫観念を煽ってくるようなアレンジにしました。
小林 なるほど。
東野 サビで四つ打ちが鳴るけど、裏にハットが入ってなくて表にクラッシュを入れる暑苦しいリズム。ジャズにそういうアプローチがあって、それをロックでやりたくて。
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彼の中で今かっこいいアルファベット
- 神様、僕は気づいてしまった「神様、僕は気づいてしまった」
- 2017年7月26日発売 / Atlantic Japan
-
初回限定盤 [CD+DVD]
2700円 / WPZL-31270~1 -
通常盤 [CD]
2160円 / WPCL-12532
- CD収録曲
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- わたしの命を抉ってみせて
- 宣戦布告
- CQCQ
- 僕の手に触れるな
- 天罰有れかしと願う
- 大人になってゆくんだね
- だから僕は不幸に縋っていました
- 初回限定盤DVD収録内容
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- だから僕は不幸に縋っていました MV
- Making of だから僕は不幸に縋っていました
- 僕の手に触れるな MV
- Making of 僕の手に触れるな
- a crowd of rebellion「Gingerol」
- 2017年8月16日発売 / Warner Music Japan
-
初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / WPZL-31377~8 -
通常盤 [CD]
2700円 / WPCL-12698
- CD収録曲
-
- C17H26O4
- HOPE
- Nex:us
- NIACIN FLUSH
- Devil Scars
- polyrhythm
- if...
- 294.38g/mol
- MATSURI WWWeapon
- Gorilla Gorilla Gorilla
- リビルド
- karma_葬
- 初回限定盤DVD収録内容
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Xanthium Tour 2017 [スペシャル冬季講習] - Live at LIQUID ROOM -
- II:α→Ω:II
- Crocus
- Black Philosophy Bomb
- She'll Never Forgive To Be Insulted.
- M1917
- 神様、僕は気づいてしまった(カミサマボクハキヅイテシマッタ)
- どこのだれか(Vo, G)、東野へいと(G)、和泉りゅーしん(B)、蓮(Dr)からなるロックバンド。ミュージックビデオでは全員覆面をかぶっており、各メンバーの詳細なプロフィールは明かされていない。2016年11月に初の楽曲「だから僕は不幸に縋っていました」のミュージックビデオをYouTubeで公開し、同曲がスクウェア・エニックスによる人気RPGシリーズの初のスマートフォン向け作品「スターオーシャン:アナムネシス」のテーマソングに。その後「僕の手に触れるな」がアニメ「ちるらん にぶんの壱」の主題歌に採用され、2017年5月発売のメジャーデビューシングル「CQCQ」がTBS系連続ドラマ「あなたのことはそれほど」の主題歌となった。同年7月には1stミニアルバム「神様、僕は気づいてしまった」をリリース。8月に行われる「SUMMER SONIC 2017」の千葉・幕張公演で初ライブを行う。
- a crowd of rebellion(アクラウドオブリベリオン)
- 2007年春に新潟県新潟市で結成されたスクリーモバンド。メンバーは高井佑典(B)、近藤岳(Dr)、小林亮輔(Vo, G)、宮田大作(Vo)、丸山漠(G)の5人。新潟出身のスクリーモバンドとして自らの音楽性を“コシヒカリーモ”と称している。小林の艶っぽいハイトーンボイス、宮田によるデスボイスという対照的なツインボーカルや、扇動的なバンドサウンドとライブパフォーマンスで着実に動員数を増やしている。2014年7月に3rdアルバム「Calendula」をリリースし、同年12月には「COUNTDOWN JAPAN」に初出演。2015年3月にシングル「The Crow」でメジャーデビューを果たした。2016年6月に初のフルアルバム「Xanthium」をリリース。2017年8月に2ndフルアルバム「Gingerol」を発表する。