神聖かまってちゃん|ちばぎん脱退まであとわずか、4人そろって語る最後のインタビュー

毎年アルバムを出してんのは健康的によくない

──みさこさんが気に入っている曲は?

みさこ 全部好きだけど、特に好みなのは「ゲーム実況してる女の子」です。「昔の自分はゲームの中で救世主になったけど、つらい現実を生きている今の自分にとっての救世主は、そのゲームをプレイしている女の子」っていうストーリーが、この歳になるとグッと来るんですよ。

の子 いや、みさこさんだって書けるよ、あんな程度の歌詞(笑)。

みさこ ちょっと前にネットでバズった「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」のAmazonカスタマーレビューみたいな気持ちになりましたね。忘れてた感覚を思い出せる曲なんです。

の子 俺はこのアルバムを客観的に見て「神聖かまってちゃん、すげえな」って思った。言葉選びとか世界観とか、こんな作品を作れるのは世界でも神聖かまってちゃんしかいないですもん。だから自信バリバリだし、自分がこのバンドにいるっていうことを誇りに思いますね(笑)。これまでいろいろ作ってきたけど、本当に今はその域にまで到達してる。

──10枚目のオリジナルアルバムですもんね。

の子 そう、10枚目だってファンに言われてビックリした。毎年出してんのかよって。

mono ホントにね!

みさこ ちゃんとしてる!

ちばぎん 2枚同時リリースもあったから、厳密に言うと毎年ではないけども、10年やってて10枚アルバム出したんなら、それはコンスタントな活動してるバンドってことだよね。

の子 別に誰かに「出せ!」って言われてるわけじゃないんです。だって俺、今年は出さないつもりだったんですよ。「休もう」って。

みさこ の子さんはよく「ちょっとの期間、休みたい」って言ってるんですよ。なのにめっちゃ曲を作ってて(笑)。今回も最初はミニアルバムの予定だったよね。

の子 そうそう。

みさこ なんだけど、作った曲がめっちゃいっぱいあるから、これフルアルバムにできるじゃんって。結局休まないんですよ(笑)。

の子 だからそれはいかんなって。休まないといつか曲が作れなくなる。

みさこ って言うけど作れてるんだから大丈夫じゃない?

の子 いやいや、いつかは絶対作れなくなる。それが早いか遅いかっていうだけで。今だって雑巾を思っきり絞ってる状態ですよ、マジで。いっぱい曲を作ってるって言っても、アルバムには昔作った曲も入れてますし。やっぱり毎年アルバムを出してんのは健康的によくない。そんなに刹那的になりすぎる必要はないんですよ。

みさこ それを10年も続けてたら刹那ではないけどね(笑)。

の子 俺はもうちょっと余裕を持ってもいいんじゃないかと思ってるんです。締切とかでバタバタしてると、焦っちゃって結果的によくない。

神聖かまってちゃん

いつも通りにやることが結果的にいいものになるんじゃないかな

──この4人でのラストライブに向けての意気込みを聞かせてください。

みさこ そうですね。意識しすぎず。今やれることをって感じです。

の子 そもそもそんなに意識してないけどね(笑)。「最後だから何かしよう」とか、そんな話もしないし。

みさこ 「ラストライブはちばぎんがセトリ考えて」とは言ったけど。

ちばぎん そんくらいですかね。

の子 「ステージにジャンプ台を用意する」みたいなことは別にやらないです。

みさこ の子さん言ってたね。「ちばぎん飛ばそう」って(笑)。

mono それは面白いよな(笑)。

の子 俺は、いつも通りにやることが結果的にいいものになるんじゃないかなと思ってる。「今まで4人でやってきた集大成を見せてやる」とかそんなもんじゃなく、ただやるだけ。あんま意識したくないんですよ。俺はひねくれてるんで。正直「ちばぎんと一緒にやる最後のライブ」って気持ちがないわけではないんですけど、それを表に出したら右往左往したまま終わっちゃいそうだし。配信でも、リスナーから最後のライブについて聞かれてそのたびに話すんですけど、そこでエモーショナルな感じになるのはなんか寒いじゃないですか。そういうの俺は嫌なんですよ。

──なるほど。

の子 でも辞める側を自分に置き換えたら、そりゃ「最後のステージに手ぶらで上がるわけにはいかない」と思うよね。ちばぎんもきっと当日は、さぞかしいいものを用意して来てくれるんじゃないかな。

ちばぎん ははは(笑)。なんで急にハードル上げ始めるんだよ。

の子 決めゼリフとか?

mono あー。

みさこ 最後のMCでね!

の子 いやでも本当に、これからも何も話し合わないつもりです。そこはマジで。俺は神聖かまってちゃんのことを“ファミリー感覚”みたいなものとは対をなす存在だと思ってるので。ちばぎんとは長い間いろんなことをやってきたから、やっぱり気持ちが揺れたりするとは思いますけどね。でもカマすだけですわ。

みさこ ファンの人から「急に辞めず、きちんと心の準備期間を持たせてもらえてありがたい」って言われたんです。でもそれは私たちも同じで。ファンの人たちと一緒に、私たちもゆっくり気持ちを整えることができたなって思ってます。

──準備期間があったことで、monoさんがちばぎんさんに激怒したままラストライブをするという事態は避けられましたしね(笑)。

mono 今はもう全然怒ってないですよ(笑)。

みさこ 確かに、バンドなんて「本日をもって辞めました」みたいな話も全然ありますもんね。

mono そんなのに比べたら全然いいですよね。ケンカ別れじゃないし、「じゃ!」って感じなので、すごくいい終わり方だと思う。

神聖かまってちゃん

心配してくれてありがとう。でも、俺たちは俺たちでやっていくだけ

──monoさんからも、ちばぎんさんの最後のライブに対しての意気込みを聞かせてください。

mono 何もないですね。たぶん、いつの間にかいなくなってることに気付くんだろうなって思うんですよ。「あれ? あっ! いねえわ!」みたいに。だから、サポートさんを間違えて「ちばぎん」って呼んじゃいそうで怖いです。

の子 わはは(笑)。

みさこ それヤバいよ(笑)。

mono そういうことをやらかすタイプなんで。

ちばぎん こんなことを言ってるけど、こいつが一番さみしがってるんですよ(笑)。

mono いや、悪いけどそうでもないよ?

ちばぎん わはは(笑)。

mono 別に辞めても普通に連絡取り合うだろうし。たぶんセトリがわかんなくなったら連絡すると思う。「どうすりゃいいかな?」って。

ちばぎん 冗談じゃなくマジでめっちゃ連絡来そうだな(笑)。

の子 悲観することじゃないからね。友達が幸せ者になったっていうことだから。

ちばぎん さっき「例えつらいことが9割でも、1割の楽しいライブのために10年続けてきた」って言ったように、僕の中でライブは大事なんです。「集大成を見せつけてやる」みたいな気持ちは僕もまったくないんですけど、最後のライブも楽しみたいなって思ってます。それだけですね、本当に。「楽しかったなー、ハイおしまい!」ってなったらもう大満足です。

──バンドの今後について心配しているファンもいると思いますが、そういう人に対して何かメッセージはありますか?

の子 「心配してくれてありがとう」。

ちばぎん わはは(笑)。

の子 愛があるから心配してくれるわけですしね。でも、俺たちは俺たちでやっていくだけなんで。

mono 僕はこれからもずーっと、このバンドに付き合っていきますよ。辞めたらなんのために離婚したのかわかんないですからね。

ちばぎん やめろよ! お前の離婚をかまってちゃんのせいにするんじゃないよ!(笑)

──ちばぎんさんは意外と、この3人で作る新曲が楽しみだったりするんじゃないですか?

ちばぎん やー、そうですね。どういうものができるのかなっていう興味はあります。ただ正直、これから入る新しい人には悪いですけど、今回のアルバムはこの4人で作れる最高のものにできたっていう自信がすごくあるんで、そう簡単には抜けねえんじゃないかなって思ってますね(笑)。

公演情報

神聖かまってちゃん「メランコリー × メランコリー」ツアー
  • 2019年11月10日(日)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
  • 2019年11月15日(金)福岡県 BEAT STATION
  • 2019年11月30日(土)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2019年12月1日(日)岡山県 PEPPERLAND
  • 2019年12月6日(金)愛知県 CLUB UPSET
  • 2019年12月19日(木)北海道 BESSIE HALL(※11月22日公演延期に伴う振替公演)
  • 2020年1月13日(月・祝)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
「ゆくちば、くるちば」スペシャルライブ

2019年12月27日(金)東京都 LIQUIDROOM

神聖かまってちゃん