みさこさんはがんばってると思うし、応援してます
──今日の取材には欠席していますけど、みさこさんは何か変わったことはありますか?
mono 前より素直になったよね。僕らに対して感情を出すようになった。
の子 でも、あんま本人いないとこでそういう話したくねえな。いいことだろうと悪いことだろうと関係なく、俺が言ったことをあとで本人が読んで複雑な気分になるかもしれないしさ。
──昔は“いじられキャラ”って感じの存在だったのが、最近は“しっかり者”ってイメージに変わってきている気がします。
の子 あ、傍から見てもそうなんだ。
──あくまで外部から見た印象なので、実際に近くにいる人は全然そう思ってないかもしれないけれど。
の子 いやいや、思ってますよ。本人もそういうところはがんばってると思うし、でも周りからもそういうふうに見えてるってのは、ちょっと意外でした。
ちばぎん バンドじゃないもん!のリーダーもやってるからね。環境の変化について言えば間違いなく彼女が一番大きいし、誰よりも忙しそうにしてます。
の子 だから心配なとこはありますよね。向こうは向こうでめっちゃ忙しいみたいで、あんまり表に出して見せないけど実際疲れてたりするんで。がんばってると思うし、応援してます。
──今のバンもん!の人気ぶりを考えると、2つのグループを両立するどころか、バンもん!だけをやってても大変でしょうからね。
の子 まあ、うちらとしては「かまってちゃんのみさこさん」なんで、俺は「バンもん!が忙しい」って言われても関係ねーよって態度を取りますけど。
ちばぎん みさこさんもきっと、そこはあんまり気を遣わないでほしいって言いそうなタイプだし。
mono うん、そう言うと思う。
齢30にして、暗黒騎士からパラディンに
──メンバーの関係性に変化はありましたか?
ちばぎん ありますあります。さっきmonoくんもの子も「この数年で人柄が変わった」って話をしてたけど、それが変わったことによってお互い付き合いやすくなった。ギスギスしてたよね、昔は。
の子 チームワークを意識するようになったのが、すごくデカいと思います。「進撃の巨人」タイアップの秘密を守り抜いたのもそうだけど(笑)、4人がちゃんと足並みをそろえて、ぶつけ合うべきときはみんなで一緒にぶつけ合おうって気持ちになってる。
──幼なじみが集まって組んだバンドだから、よくも悪くも最初は友達関係でやってきたのが、「同じ目標に向かう1つのチーム」にだんだん変わっていった、ということかもしれませんね。
の子 うん。それはバンドメンバーだけじゃなくてスタッフにも同じことが言えますけどね。
──もともとは、やってる本人たちすら「長く続くわけがない」って言っていたような刹那的なバンドだったのに、の子さんがさっき言っていたように来年で結成10年なんですよね。
の子 「解散しよう」みたいな話になることは今もたまにありますよ。そりゃずっと一緒に行動してるんですから。
ちばぎん とは言え、「解散かもしれんな」ってとこまでいく回数は極端に減りました。ぶつかることはもちろんありますけど。
の子 大人の余裕、ってわけじゃないですけど、どこでどう力を抜けるのかわかってきたんですよ。ずる賢く生きるのがうまくなったというか。20代のときは初めてのことばかりで、すべてが新しく感じたんで、自分の頭の中がもっと混沌としてて、どこで力を抜けばいいのかまったくわからなかった。
──全部を全力でやっちゃう、みたいな。
の子 まあ今でもほとんどのことを全力でやってるんですけど(笑)、ちゃんと抜くところは抜いてます。だから昔はすぐパンクして、やり場のない気持ちをメンバーにぶつける、みたいなことがホントにいっぱいあった。今の俺は羽化したんです。齢30にして、暗黒騎士からパラディンにチェンジしたんです。
ちばぎん そんないいもんじゃねえよ(笑)。さっき刹那的って話が出ましたけど、俺は今でも「3カ月後にはバンドやってるかどうかわかんねーな」と思ってます。ずっとそう思いながらもうすぐ10年(笑)。
の子 俺は逆に、ほかのバンドの奴らはどんだけ余裕ぶっこいてるんだって不思議に思っちゃうけどな。「お前らずっと続くと思ってんのか?」みたいな。
──monoさんも「バンドが終わってしまうかもしれない」という気持ちは常にありますか?
mono いや、僕はあんまりそういうこと考えないね。
ちばぎん monoくんは結成当初からなんにも考えてないから。「終わったら終わったでいいし、終わんないなら終わんないでいい」って。
の子 ホントにそうなんです。
──さっきmonoさんは、1年半前にバンドの人気が下降線を辿っていてヤバいと感じていた、という話をしていましたが。
mono 「ヤバいなヤバいな」って思ってるだけです。じゃあどうしようとか別に考えたりしないし。
人は簡単には死なない
──皆さんはこれから先、神聖かまってちゃんをどうしたいと思ってますか?
ちばぎん 僕は、できることがあるならいろいろやってみたいと思ってます。メンバーが自分でマニピュレーターをやってみたりとか。新しいやり方をみんなで探って、できる限りやった結果ダメだったならそれはしょうがねえな、みたいなスタンスでいけたらと。
の子 俺は「進撃の巨人」をきっかけに知名度を得て、もうちょっと金を稼げるようなバンドになりたい。別に今回タイアップもらったからって調子に乗って余裕ぶっこいてるわけじゃないですけど、今の俺らの状況を真面目に考えてそう思います。
ちばぎん うん。バンドの技量もメンバーの状態も、僕は今までで最高だと思うんです。昔のかまってちゃんって100点満点で20点、20点、30点、40点、20点、20点、120点の繰り返しみたいなライブをしてきたバンドだったけど、最近はホント、80点、90点、80点、100点って感じになってきてる。ただやっぱ、集客とか売り上げ的な意味では昔ほどじゃなくなってるので、そのへんを昔と同じくらいに引き戻したいなって気持ちは俺もあります。
の子 とは言っても、相変わらず自分第一で行きたいっすけどね。かまってちゃんらしさって、結局俺のわがままさからきてると思うんで。あんまり他人を意識せず、生きたいように生きれたらそれが一番なんだろうなと。
──今までを振り返って、の子さんのわがままさが出たほうが状況が好転してきたと?
の子 それはわかんないです(笑)。むしろ悪い方向に転んでるんじゃないんですか。でも別にそれでいいんだよ。何をやっても人は簡単には死なないんだから。なるようになる。
──「死にたい」と歌っていたの子さんが言うと妙な説得力がありますね(笑)。monoさんはどうですか?
mono 僕はもう結成してからずっと「なるようになれ」としか思ってないです。流されて生きてきたので。“なるようになる精神”はたぶんの子より僕のほうが強いです。
- 神聖かまってちゃん「夕暮れの鳥 / 光の言葉」
- 2017年5月24日発売 / ポニーキャニオン
-
[CD]
1620円 / PCCA-04531
- 収録曲
-
- 夕暮れの鳥
- 光の言葉
- 男はロマンだぜ!たけだ君っ(2017新録音ver.)
- コンクリートの向こう側へ(2017 最新リマスター)
- 進撃のかまってちゃん駆逐ツアー
-
- 2017年6月23日(金)
- 大阪府 umeda TRAD
- 2017年6月29日(木)
- 愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2017年7月2日(日)
- 東京都 東京キネマ倶楽部
- 神聖かまってちゃん(シンセイカマッテチャン)
- の子(Vo, G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の4人からなる“インターネットポップロックバンド”。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表したのち、ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・unBORDEと契約してメジャーデビュー。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やした。2014年9月にフルアルバム「英雄syndrome」、2016年7月にミニアルバム「夏.インストール」を発表。2017年4月から放送のテレビアニメ「『進撃の巨人』Season 2」にエンディングテーマとして「夕暮れの鳥」を書き下ろし、同曲を収めたシングル「夕暮れの鳥 / 光の言葉」を5月にリリースした。
タグ