ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん

俺は光ファイバー! の子単独インタビュー

お客さんのためにちゃんとやりたい

──昔から「このバンドはいつ解散してもおかしくないな」ってずっと思ってたんですけど、今はあまりそういう感じを受けないんですよね。

の子

僕もどっちかっていうと感じないです。ただふとした瞬間にはありますけど。たまに感情が爆発して「もうお前ら全員嫌いだ」みたいな感じになってしまうんですけど。

──ライブも変わりましたよね。昔に比べて破壊的なライブが減って、この前のツアーでもちゃんと曲を演奏していたし。

国技館のライブがなくなっちゃって、来てくれるはずだったお客さんのためにちゃんとやりたいっていう気持ちがすごいあったんで。でもちゃんとできなかった場所もあるんで、そこはごめんなさい。また行きます(笑)。

──やっぱり変わりましたね(笑)。昔のの子さんは「お客さんのために」なんて絶対言わなかった。

そうですね。客はみんな敵でしたからね。そこは確かに変わりました。今ワンマンやるとお客さんあったかいですからね。

──自分を支持してくれる人がいることは、やっぱり自信になりますか?

自信にもなると思いますし甘えにもなると思います。猫みたいに甘えてしまったり、「ダメだ!こいつらは敵だ!」って思ったり。俺は常に揺らいでますよ。葛藤してるんです。昔の自分が好きな面もありますし。今の自分が正直で好きな面もありますし。でも余裕こいてるとぶっ壊れるんですよ。いろいろ考えてます。

みさこ加入は“マイブラ効果”を狙った

──今のバンドの調子はどうですか?

どうなんですかね。でも僕は客観的に見て、うちのバンドは好きですよ。

──それはメンバーのことが好きということ?

違いますよ! バンドがですよ! メンバーが好きって、そんなわけないじゃないですか!

──でもメンバーあってのバンドでしょ?(笑)

バンドのあり方が好きってことです。

──みさこさん(Dr)は、最近は1人で雑誌に載ってたりすることも多いですよね。

それはまあ“マイブラ効果”と言いますか。べっぴん姉ちゃんをどう前に出すかって考えですわ。みさこさんにマイブラ効果があるかわかりませんが(笑)。

──でも確かにみさこさんの存在がバンド自体をキャッチーに見せているし、の子さんがみさこさんをメンバーにしたのは大正解でしたよね。

ぶっちゃけて言うと僕このバンドで成し遂げたことはそこだと思ってます。そこは狙ったところです。だからこそ僕は勇気をもって配信をしなければいけないんですよ。そこが普通のバンドと違うところなんです。

ほかのバンドにシンパシーは一切感じない

──の子さんはほかのバンドのことは気になったりしますか?

真実を言ってしまうと「唯我独尊」って感じです。神聖かまってちゃんというバンドは世界的に見てもアメリカにもイギリスにもどこにもいない光ファイバーしてるただひとつのバンドなんです。このバンドはいろいろな意味でオンリーワンです。ダイヤルアップのバンドどもには早く高速回線に乗り換えてもらいたい。時代は君の頭上、天空に位置してるんだから、ダイヤルアップじゃ無理!

──の子さんから見たらほかのバンドはADSLみたいなものだと?

ADSLですよ。マジでADSL以下ですよ。画像がゆっくりゆっくりエロ画像がカッカッカみたいな。ダイヤルアップです。でもそういうバンドのほうが僕らより人気あるんです。クソッ! なんなんだよ、THE BAWDIESとかなんであんなに人気あるんだ!

──あはは(笑)。

ダイヤルアップのバンドのほうが売れてるんですよ。なんなんですかね。僕はもっとみんなネットの海に飛び込んでくるべきだと思います。そういった意味で僕はほかのバンドにシンパシーなんて一切感じませんし、強がりとかナシに自分のバンドのほうがいいと思ってますもん。

──かまってちゃんが周りを気にして、そこに合わせても仕方ないですからね。

合わせてしまったらダイヤルアップになってしまうんで。

──普通のバンドと同じやり方はしないと。

いや、でも将来的にはこっちが普通になってきますよ。今は子供のときからネット使っていろんな情報見れるわけじゃないですか。エロも見れるしグロも見れるし、いろんなものを吸収して、宇宙人みたいな人間になるんじゃないですかね。ネットは確実にもっと当たり前になりますから。

──これからもネットを主軸にしてやっていく。その姿勢は変わらないということですね。

そうですね。音楽性とか以前の話です。ドロドロしてるとかしてないとか、そんなことより全然重要です。ネット上だといろんな言葉にさらされて、僕なんかもたまにダメになるんですよ、やっぱり人間なんで。だから僕も宇宙人にならなければいけないんですかね。もっと人間じゃなくなって、人間としての感受性がなくなって。ただのバカになる。置物になってしまうんですかね……。

の子

ニューアルバム「8月32日へ」 / 2011年8月31日発売 / 2800円(税込) / Warner Music Japan / WPCL-10988

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CD収録曲
  1. グロい花
  2. 22才の夏休み
  3. 夕暮れメモライザ
  4. コタツから眺める世界地図
  5. 映画
  6. 僕は頑張るよっ
  7. 制服b少年
  8. 死にたい季節
  9. バグったのーみそ
  10. 23才の夏休み
  11. 26才の夏休み(ボーナストラック)
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)

の子(Vo, G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。

2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表した後、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月にメジャーレーベルのワーナーから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリースした。

2011年4月にはバンド史上最大規模の会場となる国技館ワンマンライブを行う予定だったが、東日本大震災の影響により中止に。これを受け、4月から6月にかけて全国8都市を回るフリーライブツアーを敢行した。同年8月31日に4thアルバム「8月32日へ」を発表。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。