ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん
俺は光ファイバー! の子単独インタビュー
俺に勇気があればバンドはもっと大きくなる
──の子さんはバンドの中心人物として、その戦略を考える立場にいるわけですけど、ここまで描いてきた設計図は思いどおりに実現できてるんですか?
とりあえずやりたいようにやってるんですけど、結果が思いどおりに反映されないっていうのはあります。「つまんね」と「みんな死ね」でレボリューション起こそうぜみたいな感じもあったのに、ところがどっこい。
──思ったほどセールスが伸びなかった?
そうですね。ファンにも「ざまあ」とか言われて(笑)。
──それでもやりたいようにやり続けるというスタンスは変わらない?
はい。とりあえずやるんです。やるためには勇気がいる。やっぱ勇気です。ぶっちゃけこのバンドは勇気です。
──それはどういうこと? 勇気があるとどうなるんですか?
勇気があれば俺はもっと配信ができます。勇気があればもっと広がります。俺はまだ勇気が足りてないです。配信とか、俺なんだかんだでビビりだから、プレッシャーを抱えすぎて「無理だ」っていう感じのときがあるんで。だから勇気がなかったら始まらない。バンドに一番必要なのは勇気ですよ。
──配信でファンの生の声にさらされるのはプレッシャーですか?
いや、ネットはダイレクトに伝わってくるじゃないですか。そんで俺も現代の、ダイレクトな人間で、俺は光ファイバーの人間なんで、だから叩かれるのは当たり前だって思う。今の時代においてはこんなの当たり前ですよ。
俺は神聖かまってちゃんだ
──今はライブで生のファンと接する機会もすごく増えたと思うんですが、それについてはどうですか?
まあネットと違って、リアルで会う人にはいきなり「お前はもう終わったんだよ! 死ね!」みたいなことは言われないですからね(笑)。
──リアルのファンのほうが優しい?
あはは(笑)、月とスッポンですよ。
──だったら普通にライブをやって、普通のバンドと同じようにリアルの活動に主軸を移したほうが健康的に活動できるとは思いませんか?
あー、でも健康的に活動したら僕らじゃなくなるんで。健康的なコースに行けば、そこにおいては勇気が必要じゃなくて僕としても楽なんですけど。
──でもそれはできない?
いや、やれないことはないです。ネットを使わなくてもやれるっていうのはわかってるんです。でも俺はやっぱ今の時代にマッチする存在でありたいっていう願望が強いので。ほかのバンドとは違う。そういうものではない。俺は神聖かまってちゃんだ。光ファイバーだ。光速でつながって然るべきなんだ、みたいな。みんなは俺のことキチガイだって言いますけど、必要なんです、己の感情を爆発させることが。今の時代にマッチし続けるためには。
──だからあえてやり続けると。
それに配信とかネットを止めてしまったら、普通のバンドにもならないんじゃないかな。普通以下だと思いますよ。だからやっぱ爆発ですね、感情の。そのためにはまず勇気が必要だと思います。
──じゃあ感情を爆発させてキチガイって言われてもいい?
そうですね。キチガイ……。勇気がキチガイ。キチガイは勇気……。
──キチガイは勇気?
だと思いますけどね。俺なんか本来は明らかにキチガイじゃないですからね。今も「こんなんでいいのかな」って悩んで、家で1日何もせずに終わる日もあるし。地味なもんですよ。
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)
の子(Vo, G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。
2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表した後、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月にメジャーレーベルのワーナーから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリースした。
2011年4月にはバンド史上最大規模の会場となる国技館ワンマンライブを行う予定だったが、東日本大震災の影響により中止に。これを受け、4月から6月にかけて全国8都市を回るフリーライブツアーを敢行した。同年8月31日に4thアルバム「8月32日へ」を発表。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。