ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん

俺は光ファイバー! の子単独インタビュー

神聖かまってちゃんが4thアルバム「8月32日へ」をリリースした。ナタリーではメジャーデビューから8カ月を経たの子(Vo, G)に単独インタビューを実施。現在考えていることやバンドの将来像などについて、奔放に語ってもらった。

取材・文 / 大山卓也 撮影 / 平沼久奈

一番興味があるのはやっぱりインターネット

──「つまんね」「みんな死ね」の2枚のアルバムでメジャーデビューしてから8カ月が経ちました。

8カ月、早いですね。いろんなことがありましたけどね。

──かまってちゃんの登場は、ひとつの“事件”だったと思うんですよ。

事件って?

──配信をやることも、ライブパフォーマンスや楽曲の世界観に関しても、かまってちゃんみたいなバンドはそれ以前にはいなかったですから。

事件かどうかはわからないですけど、2010年に出てこれたっていうタイミングは良かったですね。ただ、僕がインターネットを使って出てきたっていう、それをもって事件と言われるなら、そういった人はこれからも出てくると思う。

──確かに最初に受けた衝撃も時間が経つとともに消費されて、今はかまってちゃんの存在も、以前よりは受け入れられやすくなっていますね。

普通にそこにあるものみたいな感じになってますよね。僕らが時代ごと転がすってわけではなく、僕らはその中でやってるだけなんで。だからわかんないです。やっぱり僕はネットだと思うんで。

──ネットが自分たちにとって一番重要だっていう、その意識はブレてないんですね。

全然ブレてないです。そこだけはブレないです。ネットだと思いますわ。言ってもナタリーもネットじゃないですか。雑誌とか紙媒体は手に持てるっていうマテリアルとしての価値はあるけど、やっぱ僕はナタリーみたいなネットの媒体をものすごく信じてる派で、ネットの強さを確信してるんで。だいたい今の10代の子はそのへんの本屋に寄ったりしないで、家に帰ってパソコンの前に行くと思うんで。ナタリーって、できてからどのくらいでしたっけ?

──4年半ですね。

やっぱり時が経つにつれでっかくなってるじゃないですか。多分もっとでっかくなると思うし。だから僕はこの先、それこそ時代が答えを出してくれるんじゃないかって思ってます。やっぱ僕はネットに一番興味がありますね。

曲を吐き出すだけの普通のバンドにはなりたくない

の子

──でもかまってちゃんも、最近はネット以外の活動がどんどん増えていますよね。

メジャーの活動ですよね。ライブなりツアーなり。

──そういう普通の活動が増えてくることによって、普通のバンドになってしまうんじゃないかという危惧はないですか?

そうですね。僕は普通のバンドのいい面だけ吸収して、でも配信とか曲をYouTubeに上げたりとか、それはやっぱ続けていきたいです。ネットが最後の砦なんで。それがなくなってしまったら僕の中で普通のバンドになる。ただ単に曲を吐き出すだけになる。それはイヤなんです。

──配信ありきで始まったバンドですしね。

だから配信にはいまだにこだわってます。メジャーの制約の中でいかにわがままを通して配信をやるかっていう。

──配信の魅力はやはりファンとダイレクトにつながれる、というところなんでしょうか?

僕らが前より有名になってもファンとの距離は昔と変わらなくて、立場も同等かそれ以下だっていう、俺らのほうが低いくらいっていう(笑)、そこらへんがいいんですよね。配信でファンから「つまんねえ、なんかしろ」って言われたりする感じ。それができてるっていうのが一番だと思いますわ。それはほかのアーティストにはない部分だと思うんで。逆に俺はそれ以外で今の時代に「自分を見せつける」みたいなやり方はあんまり浮かばないです。

──最近はテレビ出演の機会もありますけど、それについてはどう思ってますか?

テレビは出たいですよ(笑)。でもどうなんですかね、テレビとかも今はあんまり僕ら呼ばれませんけど、こんぐらいがまたいいと思います。

──テレビはネットと違って不特定多数の人が観るわけですが、そこでの怖さみたいなものはない?

怖さはないですね。むしろそういう人にインパクトを与えて、ちょっとでも面白いと思ってもらえればいいんです。「MUSIC JAPAN」に出たときは、やったあとなんか動いた感が、ひとつ階段を上れた感はあった。だから「ミュージックステーション」とか「いいとも」とか、もし出たらそれはまた面白いんだろうなっていうのはあるんですけど、でもテレビに出れなくなったとしても正直がっかりしないですね。僕は自分のやりたいようにやるだけなんで。

ニューアルバム「8月32日へ」 / 2011年8月31日発売 / 2800円(税込) / Warner Music Japan / WPCL-10988

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CD収録曲
  1. グロい花
  2. 22才の夏休み
  3. 夕暮れメモライザ
  4. コタツから眺める世界地図
  5. 映画
  6. 僕は頑張るよっ
  7. 制服b少年
  8. 死にたい季節
  9. バグったのーみそ
  10. 23才の夏休み
  11. 26才の夏休み(ボーナストラック)
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)

の子(Vo, G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。

2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表した後、ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年12月にメジャーレーベルのワーナーから「つまんね」、インディーズレーベルのPERFECT MUSICから「みんな死ね」という2枚のアルバムを同時リリースした。

2011年4月にはバンド史上最大規模の会場となる国技館ワンマンライブを行う予定だったが、東日本大震災の影響により中止に。これを受け、4月から6月にかけて全国8都市を回るフリーライブツアーを敢行した。同年8月31日に4thアルバム「8月32日へ」を発表。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。